ワクチン推進派による無過失補償制度問題とは何か
ワクチン推進派による無過失補償制度問題とは何かを理解する前に、まずは、救済制度の確認から行います。
前の記事の通り、薬剤による副作用被害救済制度は無過失補償であること、1976年・1994年に予防接種法の改定で、法的な救済制度が予防接種に設けられたことを書きました。
それでは、次に予防接種健康被害救済制度についてみていきましょう。
日本で行われている予防接種健康被害救済制度とは?
予防接種健康被害救済制度は、勧奨接種か任意接種かによって、2つのフローに分かれています。
勧奨接種の場合の健康被害救済制度
今回のコロナワクチンや、定期接種で子宮頸がんワクチンを打った場合は、こちらのフローです。
任意接種の場合の健康被害救済制度
私のように任意接種で薬事承認が降りた子宮頸がんワクチンを打った場合は、こちらのフローです。
さらにもっと言うと、勧奨接種のアリ・ナシ・臨時接種かどうかによって、支給金額が変わってきます。(下図参照)
また、日本で薬事承認されていないワクチンをトラベルクリニックなどで接種した場合は、接種したクリニックを相手取っての訴訟しか手段はありません。前の記事で、2023年までの予防接種法の改定の歴史を2006年までしか入れていなかったので、A疾病・B疾病等ありますが、これは一類疾病・2類疾病を変更したものです。(あとで前記事に歴史を追加しておきます!)
参考)
予防接種健康被害救済制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkouhigaikyuusai.html
健康被害救済制度について
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000550939.pdf
給付金の原資はどこから?
更に、給付が支払われるお金の原資はどこからか?という点は、重要なので、触れておかないといけません。
勧奨接種の場合の健康被害救済制度は、国と自治体で運営されていることから、給付金の原資は、税金(2分の1国庫負担、4分の1都道府県負担、4分の1市町村負担)です。
(参考:予防接種法第25条2項、26条2項、27条3項、予防接種施行令31条2項2号)
任意接種の場合、ワクチン接種等による健康被害者は、生物由来製品等を介した感染等による健康被害者に対しての救済給付に該当します。
この給付金は、製造販売業者等が納付した感染拠出金などから給付されます。感染拠出金には、一般拠出金と付加拠出金があります。
一般拠出金は、ワクチン等の製造販売業者が前年度の該当商品の総出荷量に応じて申告・納付するものです。付加拠出金は、PMDAが前年度に感染救済給付の支給が決定したものに関係する疾病等の原因となった、ワクチン等の製造販売業者が納付するものです。
日本の予防接種救済制度は、既に無過失補償
それでは、厚生労働省の今回のコロナワクチンのQAを見てみましょう。
「副反応による健康被害が起きた場合の補償はどうなっていますか。」の問いに対して、一部抜粋します。
「救済制度では、予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり、障害が残ったりした場合に、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます。」
ですので、どこにも過失を証明する必要性はないので、予防接種健康被害救済制度自体は、無過失で給付されるものです。
それでは、何故、ワクチン推進派は、無過失補償制度の導入が必要だと言うのでしょうか?
ワクチン推進派により流布されている無過失補償制度の内容とはどのようなものか
有名なところは、このお二人です。
また、このお二人は、経歴にナビタスクリニック勤務という共通点があります。
また、特定非営利活動法人MEGRI(医療ガバナンス研究所)、MRIC(医療ガバナンス学会)の運営をされています。
では、言説を見ていきましょう。
お二人とも日本の予防接種救済制度が、無過失補償制度であるということは認めてらっしゃいます。その上で、アメリカの無過失補償制度を参考にするべきと述べてらっしゃいます。下の記事の方が詳しく書いてありますので、下の記事を中心に見ていきたいと思います。
※今後彼らの主張する無過失補償制度については、米国式無過失補償制度と区別がわかるように、記載していきたいと思います。
推進派の言う問題点や主張をまとめると以下のようになります。
①日本の無過失補償制度では、認定基準が曖昧
②国や製薬会社に対して訴訟を惹起しかねない
③被害者は無過失補償と賠償金の二重取り
④ワクチン訴訟は、弁護士と専門家の飯のタネ
⑤一覧表での補償対象を公開すべき
⑥VAERSの整備問題
⑦任意接種の救済額が低い問題
⑧予防接種は、コミュニティ全体に莫大な公衆衛生上の利益をもたらすが、避けようのない犠牲者は恩恵を受ける国民全体で救済すべき
では、①・⑤は、類似する話なので、ここから確認していきたいと思います。
1)果たして認定基準を明確にすることは、望ましいのか
まずは、日本でどのように認定されるのかを確認しましょう。ここでの認定とは、「健康被害救済・副作用救済給付」の方です。認定には大きく「健康被害救済・副作用救済給付」と「副作用・不具合等情報を収集する安全対策」の2種類があります。
殆ど認定されていない厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会副反応検討部会(以下、副反応検討部会)での検討は後者です。
さらに勧奨接種か任意接種により、自治体経由の健康被害救済での疾病・障害認定審査会(感染症・予防接種審査分科会)で行われているものとPMDA経由で薬事・食品衛生審議会で行われているものに分かれます。
そこ(健康被害救済・副作用救済給付)で行われている認定基準とは、どのようなものか確認しましょう。
・症状の発生が医学的な合理性を有すること
・時間的密接性があること
・他の原因によるものと考えられる合理性がないこと等
この認定の際の考え方は、白木4原則を基にされています。
白木4原則とは、先の記事で記載したワクチン禍集団訴訟の大阪弁護団から依頼された白木先生が因果関係の立証の蓋然性を高める為に最も適切と主張され認められて以降、ワクチン裁判での判断の基礎となっています。
1)ワクチン接種と接種後の事故(疾病)が時間的、空間的に密接していること
2)疾病についてワクチン接種以外の病因が考えられないこと
3)接種後の事故と後遺症(折れ曲がり)が原則として質量的に強烈であること
4)事故発生のメカニズムが、実験・病理・臨床などの観点からみて、科学的・学問的に実証性や妥当性があること
この詳細は、「侵される日本人の脳 ある神経学者の遺言」 白木博次著で解説されています。
アメリカで行われている方式では、このような妥当性の検証はされず、それぞれのワクチン接種後○日以内に○○という病名発症なら補償対象と細かく設定されています。補償が降りるのは確かに早くなりますが(これも疑義あって、最後に実際の比較を後述しています)、逆に言うと、基準は明確ですが、認定の範囲が狭まっているとも言えます。
特に白木医師の書籍を読むとわかりますが、ワクチンの副反応は千差万別で個体の持った要素・その当時の身体状況・反応もそれぞれなので、一義的に基準を示すことは大変難しいと言わざるえないと思います。
事実、上に貼った厚生労働省のスライドのあのWHOの言ですら、「個別事例について、予防接種と予防接種後に生じた有害事象の因果関係を厳密に証明することは通常不可能である」と言い切っています。
認定基準を明確化することは、分かりやすさと引き換えに、微妙なラインのものを審議なくふるい落とせるとも考えられます。確かに疾病障害認定審査会の認定理由はブラックボックスですが、「不支給決定」に対する取消訴訟が可能です。この「不支給決定」に対しての取消訴訟の中で審査会の判断に誤りがなかったか事後的にチェックされる為、ある種の透明性は確保されています。この取消訴訟を起こされる可能性があるということは、委員側に対してのある種のチェック機能が働くということです。
私は、本来「副作用・不具合等情報を収集する安全対策」の為の副反応検討部会での議論が滅茶苦茶なのは、あの場での判断をチェックする事後機能がどこにもないからだと思っています。また、疾病障害認定審査会の因果関係判定基準(白木4原則を基にした基準)であちらの因果関係も判定すればいいと思います。なぜならば、紛争の最終判断をする裁判所の基準とほぼ同じですから。
話が少し逸れますが、大事な事なので書きます。私は、この給付の際の基準と安全対策の基準が異なり、後者に対しての異議申立てや再審議の申請手段がないことが、給付というガス抜きを行われながら、「全体としてのリスクがベネフィットを上回らない」という詭弁が用いられている構図になっているように思います。
2)国や製薬会社に対して訴訟を惹起しかねない?
訴訟というのは、ある紛争に対して個々の言い分をぶつけ合い、第3者である裁判所が判断をするものです。事後的なファクトチェック機能が本当に働く唯一の場でもあります。また、特に日本の薬害や予防接種行政に対しての訴訟は、政策形成機能も果たしてきています。よくX(Twitter)で、「いくらでも医クラの言い分を論理的に打ち負かしてやる!」と言う人がいますが、いくらSNS上で打ち負かしても、決定打になるのは、訴訟の場か皆が呼応して世論が変わり大多数の民衆の目が覚める時しかないのです。裁判は民の権利であり、それを簡単に使えなくすれば良いというのは暴論以外の何物でもありません。
3)被害者は無過失補償と賠償金の二重取りなのか?
予防接種健康被害救済制度の死亡一時金は、一律の金額に定まっています。
それで逸失利益が賄えない場合は、追加で請求できることは当然の権利です。決して二重取りではありません。
4)ワクチン訴訟は、弁護士と専門家の飯のタネか?
過去の大型の薬害訴訟、公害訴訟の殆どでは、弁護士は手弁当でやっています。大抵の場合、完全成功報酬型のような形にしていました。弁護士に薬害訴訟や公害訴訟で被害者から法外な金額が取られたケースは殆どないはずです。
今までの薬害・公害訴訟で殆どの弁護士は、広義の意味での日本の未来の為、次世代の為、このままこのような事が続いて良いのか?という義憤から弁護団に加わった方が多いです。印象操作も甚だしいと感じました。
5)VAERSの整備問題
VAERS(ワクチン有害事象報告制度とそのシステム)が研究者が自由に解析研究出来るように公開されていること、経過観察が職員によって行なわれる等は良い制度だと思います。日本でひっそりとPMDAに自己報告する制度とは異なりますから(下記リンク)。この自己報告は、副反応検討部会の審議の対象とはなりません。
報告いただいた患者副作用報告に関する情報
https://www.pmda.go.jp/safety/reports/patients/0005.html
ただし、VAERSのような電子化には、恣意的なデータ削除・改ざんがないか等、第3者からのチェック機能も同時に必要だと思います。
また、このVAERSと同等のシステム自体は、米国式無過失補償制度とは別に導入できるはずです。
6)任意接種の救済額が低い問題
製造元に責任を取らせない制度というのは、必ずモラルハザードが起こります。疾病を予防するために健康な人間に投与するものですから、何らかの疾病に対して投与するものとはリスクの許容度が異なると思います。私はむしろ一旦全てのワクチンは、他の製剤と別格にし、最低限、PMDA側の救済額をせめて健康被害救済制度の4420万と同額にした上で、全て製造販売業者に責任を取らせる製造販売業者等の納付金で賄う方式にすべきだと思います。
7)予防接種は、コミュニティ全体に莫大な公衆衛生上の利益をもたらすが、避けようのない犠牲者は恩恵を受ける国民全体で救済すべきは、本当か?
殆どのワクチンが、害がないと推定されるプラセボ(例えば生理食塩水など)との比較の治験がありません。これはおそらく薬事承認時のルールに依拠しているはずです。
またいずれの治験も短期で、長期の無接種群との比較した研究はありません。その比較をしようとした研究を行ったアメリカの医師は、論文発表後、どのような理由かはわかりませんが、医師免許をはく奪されました。(過去記事参照)
つまり、「コミュニティ全体に莫大な公衆衛生上の利益をもたらす」という前提が甚だ怪しい言説であるということです。
前提に問題があるもので議論しても意味がありません。
改めて米国式無過失補償制度とはどのような制度かを考える
アメリカの無過失補償制度の概要
平時の時に適応されるNCVIA(National Childhood Vaccine Injury Act)とは、どのような制度か?
NCVIA成立の背景
1980年代、DPTワクチンの後遺症を理由に損害賠償請求が提起されました。アメリカには懲罰的賠償制度(逸失利益や実質の損失ではなく、罰金的な意味合いも含んだ多額の賠償金)がある為、巨額の賠償責任保険の保険料を支払うために、メーカーは、ワクチンの代金も大幅に引き上げました。8社あったワクチンメーカーは、この時、1社にまで減りました。ここに医療業界のロビイストであった下院議員によって推進された法律が、NCVIAでした。
NCVIAにおける被害救済制度
法律名に、Childhoodが入っていますが、大人の予防接種においてもこの法律の対象となります。指定されたワクチンの被害者は、連邦の基金(原資は、ワクチンに賦課された物品税 つまり税金)による無過失補償を申請し、連邦請求裁判所による保証なしの決定、もしくは補償額に不服がある場合でなければ、100ドル未満の請求を除き、州法に基づく通常の損害賠償の訴えを提起出来ない、原告がメーカーや医師にいきなり過失や製造物責任を理由に損害賠償を請求することは原則出来ないというものです。
この救済を受けた場合には、民事訴訟を起こせません。
また、この法律では、ワクチンが適切に製造され、予防接種にあたる医師に対して、適切な指示や警告がある場合(添付文書のことかと思います)には、ワクチンメーカーは責任を負わないものとなっています。
また、副反応によって、請求の証明責任が異なり、認定疾病一覧表(Injury table)に掲載されている被害であれば、予防接種と被害との因果関係の推定を受けることが出来ますが、それ以外は、原告側が予防接種と被害との因果関係を証明しなければいけません。つまり、症状のリストを変更するだけで、ワクチンの副反応に該当しないとすることも可能で、実際に、ある訴訟でかつて認定疾病一覧表(Injury table)に痙攣発作による重い脳障害が入ってたのに、このリストからNVIP(NCVIAによって設立されたワクチン被害の救済を審査する行政機構)での審議の際に削除されていた為、補償が却下されたという例もあるようです。
ロバートケネディJrは、「弁護士や裁判官、裁判所をワクチンの安全性を確保するよりどころから排除し、この法律の成立以来、ワクチン業界の収入は、10億ドルから440億ドルになった」と述べています。
NCIVAは、保険福祉省(HHS)が年2回、小児ワクチンの安全性を検討し、安全性向上のためにとられた措置について議会に報告することを義務付けていますが、ICANとロバートケネディJrが起こした訴訟で明らかになったのですが、HHS当局は、この法律が成立して30年以上、一度も安全性の見直しと報告義務を尊守したことはありませんでした。
NVICPが創立されてからの30年で、20,000件のワクチン被害が申請されましたが、NVICPが支払った保証金は40億ドル以上に上るものの、補償を受けるに値しないとして、56%以上が申請を却下されています。また12%は、未判決のままです。
研究によれば、ワクチンの有害事象のうち、報告されるのは1%未満です。その為、NVICPへの請求は、膨大なワクチン被害の氷山の一角にすぎません。
この特殊な製造責任がほぼ追及されない法律・裁判・審査制度により、通常の薬剤では副作用により多数の訴訟を抱え、賠償金を支払わざるえない製薬会社は、既存薬よりもワクチン製造、ワクチン開発にシフトしています。
また、1986年以降、多くのワクチンが小児用スケジュールに追加されたにもかかわらず、先の訴訟例のように削除されたことはあっても、新たな傷害が表に追加されたことはほとんどないそうです。
参考:有害事象のうち報告されるのは1%未満の根拠
https://digital.ahrq.gov/sites/default/files/docs/publication/r18hs017045-lazarus-final-report-2011.pdf
緊急時のPREP(Public Readiness and Emergency Preparedness Act)下のCICPとはどのような制度か?
まず、PREP法とは、PREP法に定義される「故意の違法行為」に関わる請求を除き、医療用対抗措置の製造、配布、投与、または使用に起因、起因に関連するもの、または 結果生じるいかなる損害請求に対しても、特定の個人および団体に免責を与える宣言を発行する権限を保健福祉長官に与えるものです。現状のCovid-19に対しての宣言は、2020年3月17日に保健福祉長官によって宣言され、2024年10月1日に失効する予定です。
今回のCovid-19 が初の宣言対象です。
PREP 法成立の背景
PREP法は、2005年12月30日に成立しました。化学・生物・放射線・核兵器によるテロ行為、伝染病、パンデミックに対する医療対策の製造、試験、開発、流通、投与、使用に関連する行為からの免責を医薬品メーカーに与える法です。2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件に大きく影響を受けた、異常事態に対応するための法律でした。
PREP 法下のCICPにおける被害救済制度
PREP法の下で、COVID-19ワクチンまたは対策によって負傷した人々は、CICP(Countermeasures Injury Compensation Program:防護措置負傷者補償プログラム)の下で補償を求めることができます。
ただし、CICPの下では、救済に高いハードルがあり、故意の違法行為による重篤な身体的障害・または死亡でない限り、免責という非常に制限されたものです。
バーモント州で保護者の意に反して6歳の生徒にCovid-19のワクチン接種が学校側のミスによって行われるということが発生しました。
保護者は、ワクチン接種に反対しており、また子ども自身も接種を拒否していました。学校側が名札を間違えており、学校側もそれを認めていたにも拘わらず、本来なら重大な過失として責任の問われるところを、裁判官によって、PREP法の適応範囲と判断され、学校の責任は免責されました。
また、ワクチンだけに関わらず、コロナのPCR検査で鼻腔に入れたスワブによって、脳脊髄液漏出を発症した女性が訴えた裁判がPREP法によって却下されています。
2023年9月1日時点で、アメリカのワクチン有害事象報告システム(VAERS)に報告されたCOVID-19ワクチンによる重傷者:300,026人、死亡者:36,135人です。
負傷者や遺族にほぼ何も支払われていません。
2023年8月1日、CICPはCOVID-19ワクチンと対策による傷害に対する補償を求める12,576件の請求を受けています。
そのうち1109件は却下され、10,887件は「審査中・審査待ち」、29件が補償の対象、4件が補償、24件は補償を受ける資格があると判断されていますが、まだ補償を受けていません。(更に1件は、補償の対象となったものの費用について適格性で再確認中です。)
では日本はどうか
楊井人文さんの作成された新型コロナワクチン健康被害補償審査状況の集計表です。
先の推進派の言説を読んだ方は、この現実に驚くでしょう。
確かに時間はかかり半数近く審査未了であるもの、既に4240件が認定され、審査が行われたものは87.8%も認定されています。
どれほど米国式無過失補償制度が、医療業界・製薬会社とって都合の良い制度か。
この現実が、補償が迅速でないといい、ワクチン推進派の方々が喉から手が出る程、推進したくてたまらない米国式無過失補償制度の実態です。
唯一、国の過失や製薬会社の過失を正面から追及することができる裁判を封じる方法です。
日本は、先に記載した通り、平時と緊急時で制度は分かれていません。補償を受けた上で訴訟を提起して国や製薬企業の責任を追及していくことも可能です。 確かに1件1件審査している為、認定は遅れているものの、概ね申請から1年半程度で給付がされていると聴いています。一部では、免疫染色が必須という噂もありますが、決してそんなことはなく、そこまでしなくても因果関係は認定されています。
資料を集めるのは大変なものの、カルテや剖検等の書類を送付するだけで申請自体はできます。
勿論、細かく言い始めると日本の被害救済制度自体の問題点はいくつもありますが、この米国式無過失補償制度が推進されることがどれほど恐ろしい事かはおわかりいただけただろうと思います。
改めて、日本の無過失補償制度と米国の無過失補償制度を比較するために表に纏めました。また、支給までの期間すら、日本の方が早いと言うことに驚きました。(文字が小さいので拡大して確認下さい)
また、今回、沢山の医学・日本の法学関係の文献・論文を読みました。
大きな日本の法曹界の議論の流れとして、国家による緊急避難の場合には免責しようという内容のものが沢山ありました。 それが濫用される危険性がある、国家による緊急避難権の濫用がコロナ禍であるということを殆どの日本の法曹界の人は認識していません。
代表的なものの1つは、下記のリンクです。
この中では薬機法を修正することで、緊急時の予防接種健康被害を免責にしてしまおうという内容でした。
先の記事でも書きましたが、憲法配下でも強制はあり、このように法律の修正で免責も可能となる可能性があるということです。
職域における予防接種と健康被害救済 -新型コロナウイルス感染症流行の中で-
https://www.jstage.jst.go.jp/article/juoeh/44/2/44_177/_pdf
あとがき
子宮頸がんワクチン被害者の保護者達は、「さっさと米国式無過失補償制度を認め、補償だけを受け取って、子宮頸がんワクチンの接種反対はやめれば良いのに」という多くの医師や子宮頸がんワクチン推進勢からの圧力にずっとさらされてきました。
参考ブログ記事
子宮頸がんワクチンの副反応問題の医学誌特集の際にも、必ず米国式無過失補償制度を日本に導入すれば解決という夢の手段のように書かれた記事が同時にあることが多いです。
私は、ずっと数々の被害者を抱えた保護者の方に補償だけを受け取って口を噤(つぐ)めと言い、被害者や保護者に猛攻撃をする医クラの言い分に腹が立っていました。
その保護者と必死で害を訴えている若い女の子達の為に、分かりやすく正確に反論の礎となる記事をずっと書きたいなと思っていました。
この機会にここまで書けて、私も大変嬉しいです。(滅茶苦茶時間はかかりましたが…笑)
米国式無過失補償制度の問題の本論は、こちらの記事となりますが、当初、3記事で、前提知識・米国式無過失補償制度の問題点(含むロビー活動について)・補償を超えてという形で構想を練っていましたが、やはり、米国式無過失補償制度の問題点だけで相当な量になりましたので、この後、大変関係のあるロビー活動について、補償を超えてという記事を書いていきたいと思います。
また久しぶりに白木博次先生の書籍に目を通しました。「私の総論として4原則のうち、特に問題視されるのは、第1原則のワクチン接種とワクチン禍の潜伏期間が、特に改良ワクチンの場合には変わってくることが当然考えられる」といった先見性に溢れる内容や遺伝子組み換えワクチンの安全性に対する懸念、遅延型の脳機能障害をどう制度対象として救うかという問題点についても言及されており、1998年出版の本ですが、今読んでも色あせないと感じました。
どうぞ、沢山の方に読んで頂けると嬉しいです。
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参考文献
冒される日本人の脳 ある神経病理学者の遺言 白木博次
医療事故の原因究明と責任追及をめぐる医療と司法の対立 畑中綾子
「犠牲のシステム」としての予防接種施策 野口友康
医療ビジネスの闇 “病気産生”による経済支配の実態 崎谷博征
参考資料
第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会
2020(令和2年)年1月27日 資料3-3 健康被害救済制度について
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000588416.pdf
PMDA 医薬品副作用被害救済制度に関する業務
第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 2019(令和元)年9月26日 資料2-2 接種類型と定期接種化プロセスについて
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000550939.pdf
予防接種後健康被害救済制度について
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000912784.pdf
健康被害救済制度の考え方
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001017433.pdf
アメリカ合衆国における予防接種法制
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2010/101031/201005022A/201005022A0002.pdf
職域における予防接種と健康被害救済 -新型コロナウイルス感染症流行の中で-
https://www.jstage.jst.go.jp/article/juoeh/44/2/44_177/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/juoeh/44/2/44_177/_pdf