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愛に溢れたナシゴレン

初日に訪れた、ナシゴレン屋さんがある。
一食約150円、安すぎる笑
しかも、うまい。じゅんいちだびっとそん風の店主の屋台でナシゴレンを食べていると、後ろの家のバンバという男がタバコを吸っていた。彼らは快く僕らを迎え入れてくれた。とても楽しい、インドネシア旅の幕開けだった。

2日後、またそのナシゴレン屋さんを訪れた。今日も変わらず、彼らは優しく迎え入れてくれた。前回と同じく後ろのおっちゃんから50円の水を買って、ナシゴレンを頼んだ。今日はバンバがよく話してくれた。どうやら日本人の友達がいるらしい。東京でミュージカル俳優をしているそうだ。日本のドラマも好きで仮面ライダーが特に好きらしい。そんな彼の好きな日本トークを2時間くらいしていただろうか。

また、その2日後くらいに一緒に行動していた九産大の後輩、すずきたいきが早めの帰国だった。最後に何を食べたいか聞くと「ナシゴレン」だという。僕らはいつものコースでナシゴレン屋さんを目指した。到着したが、ナシゴレン屋さんもバンバもいなかった。すると、そこらへんにた人たちが「pos office」にいるかもしれないという。郵便局?と思いながら指さされた方向を目指した。すると、pos officeという芸術センターがあったその前でナシゴレンを出している出店を発見した。紛れもなくじゅんいちダビットソン似の彼だった。僕らは飛んで喜んだ。


その日は、ミーゴレンを頼んだ。ちょっと他のメニューが気になったから笑(ナシ=米 ミー=麺 なので、ミーゴレンは焼きそばみたいな料理)
彼は、ここでは沢山の注文が入って人気だった。いつも、ここのお客さんがいなくなってバンバの家の前に移動するのだとなんとなくわかった。彼は、今日も笑顔で150円のナシゴレンを作る。僕らのミーゴレンも作ってくれた。とても美味しい。
今日は、水を持っていなかったので夜間から水も注いでくれた。少し、衛生面が怖かったが一度熱しているような熱さだったので飲むことにした。


彼と談笑しているとインスタント麺の袋を僕らに笑顔で見せて「作るよ!」みたいなジェスチャーをする。僕らは「テレマカシー」といった。インスタント麺にたくさん具材を入れてアレンジした料理が出てきた。めちゃくちゃうまい。
それを食べ切った僕らをみて、また2袋分のインスタント麺で同じものを作ってくれた。僕はお返しにと、近くの出店で彼の吸っていたタバコを買った。
すると彼は、とても拒んできた。「俺は受け取れない。」と。しかし、僕は3食もサービスしてもらっているタバコくらい渡させて欲しかった。強引に屋台の台に置いた。その後も彼は「いくらだ?40,000IDRか?」と言ってくる。僕はいらないと言った。


彼のその姿に、僕は涙が溢れそうになった。一食150円のナシゴレン。インスタント面はおそらく60円くらい。日本人はお金を持ってるとわかってるはずなのに、こんなにもサービスしてくれて僕が渡したタバコも「受け取りたくない。」と言う。
こんなに与えることのできる人がいるだろうか。僕は、帰りぎわハグをした。本当に大切なものを教えてくれた彼と。

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