自由と行動力の人
雨が降った日があった。あったはずである。
晴れた午後があった。あったはずである。
恋人と楽しくすごした日々があった。あったに違いない。
とんでもない。
私は私として、これまで50年間生きてきたのだった。
誰でもない、私として。
なんだか最近ね、就活生にインタビューしてるんだけど、「普通のところに就職したい」とか「恥ずかしくないところに行きたい」「有名なところに行きたい」とか言うんだけど、それじゃあ受験でペーパーテスト通ったみたいにやればいいじゃん、て思うんだけど、なんでかできないみたいね。
まあ、性格もあるよね。
ていうか、性格しかないんじゃないかな。
そもそも私じしん、ぜんぜん就職する気なかったよ。ひきこもりたかったのね。けっこうさ、インタビューでね、世界を見てみたいでの就職しませんでした、自分で起業するから就職しませんでした、みたいなガッツある意見をおうかがいするんですが、私自身はね、まったく、何もない、すっからかんでした。
それから、30くらいまでは、、、いや、、、40くらいまでも? 別にやりたいことなかった気がするな。
やりたいことがあって生きてる人間なんて、全体の0.1%くらいなんじゃないのかなって思ったりしてる。まあ、芯から笑える日がくるといいね。
ありがとう。無名人インタビュー、今日も楽しんでいってくださいねー!!!
【まえがき:栗林康弘(無名人インタビュー主催)】
今回ご参加いただいたのは あいこめ さんです!
現在:生きていることを人に任せてるみたいな、自分の人生なのにそれでいいのかなと思って。
toki:今何をしていらっしゃる方ですか。
あいこめ:今はメインは農業のアルバイトなんですけど、地域づくりとかまちづくりみたいなところに興味があって、そういうののお手伝いって感じですかね。
toki:地域づくりとかまちづくりとかって、具体的にはどんなことをされているんでしょう?
あいこめ:空き家や古民家とかを、リノベーションして住めるようにしたりとか、ゲストハウス的なものを作ったりとか、移住者の人との交流会とかのイベントを企画したりとか。今やってるのはそんな感じですかね。
toki:なるほど。ちなみに今はおいくつでいらっしゃいますか。
あいこめ:23歳です。
toki:社会人ですか?
あいこめ:一応。大学卒業して、まあ働いてはいますね。
toki:今やってることとして、農業のアルバイトと地域づくりが挙がりましたが、他には何かありますか?
あいこめ:遊んでるというか。今徳島にいるんですけど、徳島県内で地域づくりみたいな動きがいっぱいあるので、そこを見に行ったりとか、そこの人たちと交流して、情報共有みたいな感じで、そういうので遊んだりしてます。
toki:徳島県っていうのには理由があるんですか?
あいこめ:元々旅をする予定で。最初、行ったことなかったんで四国に行こうと思って、徳島に着いたんですけど。
3ヶ月ぐらい滞在する予定でやってたら、なんかめちゃくちゃ楽しくなっちゃって。それでちょうど1年ぐらい経っちゃった感じなんで、徳島でこれからもやっていこうかなっていう。
toki:なるほど。今のところ、徳島でやったことの中で何が一番楽しかったですか?
あいこめ:ええ、何だろう。結局農作業が一番楽しいかもしれない。今お米と小麦を作ってるんですけど、みんなで田植えしたりしたのが結構楽しかったですね。
toki:農作業の楽しいポイントってどこにありますか?
あいこめ:時間の流れがすごいゆっくりしてて、自然と一緒にいられるところが楽しいというか。あとイベントとかだと、手で植えて、その後皆でご飯食べて、みたいなのがセットであるんで、そういう人と時間を共有できる、同じ体験ができるみたいなのが楽しいポイントです。
toki:ありがとうございます。あいこめさんは趣味はありますか?
あいこめ:基本インドアなんですけど。大学時代、落語研究会に入ってて。たまに今でもしていて、趣味でやってます。
toki:今でもしているっていうのは、お客さんの前で?
あいこめ:そうそう、そんな感じです。
toki:へえ〜。落語はどういうきっかけで始められたんですか。
あいこめ:なんか初めて寄席、落語を生で見たときに面白いなと思って。そっからネットとかでバーッて見て、面白いなと思って、大学でサークル調べてるときに落語研究会あったんで、じゃあ入るかと思って入ったのがきっかけですね。
toki:ほうほう。面白いなと思ったあと、みる側じゃなくてやる側になろうと思ったのはどうしてだったんですか?
あいこめ:なんか、やれるって思いました。
toki:徳島でも落語やられたりとか?
あいこめ:ちょうど今週末の日曜に音楽のイベントがあって、そこでやらせてもらうことになってます。前までは土曜日に定期的にやってました。徳島県内で引っ越すことになっ他ので、そっちは終わっちゃったんですけど。
toki:落語を見たお客さんの反応とかっていかがですか。
あいこめ:結構、普段の私を知ってる人が観に来てくれるんで、なんかギャップというか、そんな大きい声出るんだねって言われます。
toki:ギャップってお話ありましたけど、普段は周りの方からどういう人だって言われることが多いですか?
あいこめ:最近は独特な感じって言われましたね。そんなにキラキラしてないのに、行動力があるから、なんか独特な感じがするっていう。
toki:そう言われて、ご自身としてはいかがですか。
あいこめ:キラキラしていないんだと思って(笑)。
そんなに感情を表に出す方じゃないというか、声低いし、そんな面白いことをたくさん言える人ではない。でも、いろんなとこに顔を出すんで、そういうイメージなのかなっていうので、なんか「わかる」って感じでした。
toki:落語やっているときのあいこめさんはどんな感じなんですかね。
あいこめ:営業じゃないけど、お客さんに向けてめっちゃ元気な感じでやらせてもらってます。
toki:スイッチを入れる感じなんですかね。
あいこめ:そんな感じです。
toki:そうなんですね。
さっき、「面白いことをたくさん言える人ではなない」とおっしゃってましたけど、落語って、私の中では「面白いことをして、人を楽しませるもの」というイメージで。そのあたりいかがですか?
あいこめ:落語は台本があるので。なんだろう、演じてるから面白いことを言ってもいいと思っている。普段の私とは違う人としてやってるのでそれはそれで楽しいなって感じです。
toki:なるほど。ありがとうございます。
最近の毎日の調子としてはいかがですか。
あいこめ:それこそ、徳島県内で引っ越すんですけど、直近はすごい不安定な生活を送ってて。不安定の生活っていうか、本当にいろんな人の家に行って遊んでるだけなんで、まあでも楽しい感じがすごいしてますね。
toki:今の生活の満足度、100%が最高だと何%くらいになりますか?
あいこめ:60%ぐらいですかね。
toki:あとの40%はどうなったら満たされそうですか。
あいこめ:自立したいというか。
なんかやっぱ、周りも独立した農家さんとか、どっかのゲストハウスのオーナーさんとか、それぞれに役割があるというか、「自分はこれをやってます」って言えるものがあるんですけど、私はまだそれがないんで。それを見つけたいなとは思ってて。
自立できたら、あと40%満たされるなっていう感じです。
toki:今その「自分はこれをやってます」を探していらっしゃるっていう段階なんですね。
あいこめ:探してます。
toki:そもそも、徳島に来て今の生活を始める前は、「旅をしよう」と思っていた、というお話でしたよね。
あいこめ:そうですね。
toki:それはいつ頃から考えていらっしゃったんですか?
あいこめ:1年前に大学卒業したんですけど。その時に、とりあえず会社員になることはやめようっていうことだけ決めてて。旅っていうか、いろんなところ見たいしなと思って、そこで決意をしました。
toki:それで最初に行ったのが徳島にだったと。
あいこめ:はい。
toki:徳島で、農業やまちづくりをやろうと思ったのは、なぜだったんですか?
あいこめ:就職活動は一応大学3年ぐらいからしてて、でもなんか違うなと思って、何のためにお金稼いでるんだろうみたいなところで結構悩んだ時期があって。そのときに、生きてるってなんだろうなみたいなことも考えて。
生きるのには、やっぱり食べ物とか家とか、そういう衣食住って必要だけど、大学生のとき、私は全然自分では生み出せなくて。それがどうやって作られてるのかとか、誰が運んできてくれるのかとか、そういうところも全然わかんなくて、それがすごい嫌というか。
なんかそういう、生きていることを人に任せてるみたいな、自分の人生なのにそれでいいのかなと思って。
まず食の部分からかなと思って農業やりつつ、いろんなところを見てみたいなって考えてるときに、住み込みの農業アルバイトが結構あって。これいいなと思って、それで旅しようと思いました。
toki:自分で生み出す体験をするっていうのが、最初のきっかけだったんですね。
あいこめ:そうです。
toki:なるほど。
質問がガラッと変わるんですが、最近やっていて一番楽しいことってなんですか。
あいこめ:やっぱ人が集まってみんなでご飯食べてるときというか、そういう空間が一番楽しいです。
toki:集まりは好きなタイプですか。
あいこめ:そうですね。最近っていうか、それこそ旅をし始めて好きになりましたね。
toki:それ以前はそんなに?
あいこめ:そうです。ずっと本読んだりとか、1人でなんかする方が好きだったんですけど。
toki:なぜその変化が起きたんでしょう?
あいこめ:なんだろう。なんか新しい場所に行くと、1人だと何もできないっていうのは痛感したというか。
あとは結構輪の中に入れてもらえて、大人数でわいわいしてる人たちの姿が楽しそうだなと思って、意外と参加してみたら楽しかったっていう。そんな感じだと思います。
toki:徳島に来てから、周りにいる人や、付き合う人の変化とかって何かありました?
あいこめ:もう全然。それまでやっぱ学生だったんで、自分と似てるような境遇の人が多いなっていう感じで。ちゃんと勉強していい大学に入って、いい会社に入るみたいな人たちの中で過ごしたんですけど、徳島来てからは、自営業とか、年齢層も上になったし、全然違う考え方とか、生き方してる人たちに出会ったなっていうのはあります。
toki:どなたか印象的な人っていますか?
あいこめ:印象的な人。それこそ、今働いてる農家さんは印象的な人ですね。
本当にどんどんどんどん新しいことを取り入れてやっていくような人で、元々東京で、建築とか商社とか、異業種から親元にUターンして農家をやっている方なんですけど。
だから、小屋とかも立てるし、イノベーションとかもするし。あと小麦も作ってるんで、それ使ってクレープ屋さんをやったりとか、そうやって農業だけじゃなくて、いろんなところに手を出して、幅を広げていって、今はクラフトビールやろうかなって言ってたりとか。
しかも、すごい楽しそうに働いてるっていうか。
私はすごく働くことに抵抗感があって、会社員になったらずっと働かなきゃいけない、仕事は嫌なものみたいなイメージがあったんですけど。でも徳島にきて、その人に会って「こうやって生きていいんだ」みたいな。そういうところが、結構私的に救われたというか、考え方が変わったところではあるので、印象的な人です。
過去:それまではわりと勉強もできたし、人よりもできる位置にいたんですけど、就活でみんなちゃんと面接とか頑張って、就職してるのを見てたら、人にできることも私はできないのかみたいな感じになって、それがしんどくてやめました。で、解放されました。
toki:小さい頃はどんなお子さんでしたか。
あいこめ:小学生ぐらいですか。
toki:自分が思う小さい頃で大丈夫です。
あいこめ:あんまり記憶ないんですけど、なんか幼なじみに「昔ぶりっ子だったよね」って言われて。
4人兄弟の末っ子で、親戚中でも一番下だったんですけど、すごいかわいがられてたから、かわいがられるのが当然だと思ってて。楽しくやってたなと思います、小さい頃。
toki:性格はいかがでしたか?
あいこめ:みんなの中心にいたいっていうか、我が強い子だったと思います。
toki:我が強いエピソードで覚えてるものあったりしますか?
あいこめ:よくなんかね、姉のものを欲しがって姉にねだってた気がする。あとなんかすごい覚えてるのが、スーパーボールすくいの網あるじゃないですか、網っていうか、すくうやつ。あれがすぐ破けるからってボールを入れる器で取ろうとして止められたっていう記憶があります。
toki:小さい頃はどんな遊びをすることが多かったですか?
あいこめ:普通にシルバニアとかでみんなと遊んだ気がしますね。
toki:友達づきあいとかいかがでしたか?
あいこめ:友達は多かった気がしますね、小さい頃。
toki:ちなみにご出身は。
あいこめ:佐賀県です。九州。高校卒業するまでずっと実家の佐賀県で。
toki:今小さい頃として話していただいたのって、大体いつごろまでですか?
あいこめ:小学校1、2年生ぐらい。
toki:小学生の時とかって、何してるのが一番楽しかったですか。
あいこめ:それこそ友達と遊ぶことですかね。遊んでました。うん。
toki:小学校時代、印象に残ってることとかってありますかね。
あいこめ:絵描くのも好きだったんですけど、なんか友達と交換日記みたいなのを結構5,6人ぐらいで回してて。それが結構楽しかったなっていう。普通のノートに絵描いたりとか、その日あったことみたいなのを書いて、次の人に回すみたいな。1、2年ぐらい続けた気がします。
toki:あいこめさんの家族構成をお聞きしてもよろしいですか。
あいこめ:祖父母とも暮らしてたんで、祖父母と父母と姉と兄2人の8人で暮らしてましたね。
toki:結構大所帯ですね。どんな家庭だったとか、そのあたりいかがですか。
あいこめ:そうですね。母が病院で臨床検査技師として働いてて、父親が小学校の教員っていう中流階級のちょい固めな親、家族って感じで。もう何の不満もなくっていうか、何の疑問もなく育ったなっていう感じですね。
toki:なるほど。ありがとうございます。
先ほど小学校のことをお聞きしましたが、中学校生活はいかがでしょう。印象に残っていることでも良いですし、起きた出来事でもいいんですけれども。
あいこめ:中学は受験して、電車通学してたんですよね、市内の学校に。課題の量とか多くてちょっと厳しめの学校だった。
美術部に入ってたんですけど、美術部のグループ創作みたいな感じで一人一人のイメージのキャラクターを作って、それでストーリー作るみたいな感じのことをしていて。今でも美術部の人とはたまに会って話すんですけど、それがなんか流行ってました。
toki:自分のキャラクターを作るということですか?
あいこめ:そうです。1人1人のキャラクターを作って、こういう設定でみたいな感じですね。それで漫画とか描いたりしてました。
toki:あいこめさんのキャラクターはどんなキャラクターだったんでしょう。
あいこめ:めちゃくちゃファンタジーなんですけど、私は森の妖精で回復魔法を使うキャラクターでした。
toki:中学受験したというお話でしたが、中学受験をしようってなったのはどうしてだったんですか。
あいこめ:上の兄がそこの学校に通ってて。そんな強い意志があったわけじゃないんですけども、兄とも仲良かったし、記念受験じゃないけど受かるかなみたいな感じで。
toki:なるほど。中高一貫ですか?
あいこめ:中高一貫です。
toki:高校では何部に入られたんでしょう?
あいこめ:美術部です。
toki:あ、そうか、中高一貫ですもんね。
小学生のときは、我が強いとかってお話ありましたけど、中学生、高校生になるにつれて、性格の変化などはありましたか?
あいこめ:めちゃくちゃ内向的になりました。内向的っていうか、なんかあんまり周りの人に興味がなくて、小説読んだりとか、漫画読んだり描いたりするのが楽しくて。現実世界よりそっちの世界の方が面白いなと思って。うん、そんな感じでした。
toki:気づいたらそうなってたって感じ?
あいこめ:そう、気付いたら。
toki:なるほど。ちなみに小中高大、今の中で、一番思い入れの強い時期でいうと、いつ頃になりますか。
あいこめ:今が一番楽しいけど、過去でいうと高校ですかね。
toki:高校はどんなことがあったんでしょう。
あいこめ:進学校だったので、みんな大学行って、頭いい人がすごいみたいな価値観の所で過ごしたんですけど。勉強は普通にできて、勉強していい成績を取るのが楽しかったというか、一番打ち込んでた気がします。夢中になってた時期だと思います。
toki:勉強の何があいこめさんを夢中にさせたんですかね?
あいこめ:授業とかで、違う教科で教えられたことが繋がるときがたまにあるんですよ。そういうときに「面白いな」みたいな。
あとは、やったらやっただけ成果が出るところ。
本質じゃないですけど、勉強の型というか、自分はこうやったら覚えれるなとか、勉強を通して自分のことがわかっていくというか。そういう感じもなんか面白かった気がします。
toki:なるほど。いい成績をとって褒められたいとか、そういうモチベーションというよりは、もう少し深く勉強について捉えていらっしゃったんだなってちょっと思ったりしました。
あいこめ:多分そうですね。高い成績とかそういう部分もあったとは思うんですけど。それより、勉強したら何かがわかるんじゃないかみたいな、そういう感じでやってきました。
toki:その後、進学する大学はどのように選ばれたんでしょう?
あいこめ:私あんまり考えてなくて、とりあえず東京大学を目指してて。日本で一番頭がいいから。そういう環境に身を置いたらいいのかなと思って選んでました、あんまり考えず。
toki:東大を目指すのが、「とりあえず」だったんですね。
あいこめ:そう言われればそうでした。
toki:東大を目指す人のレベルも様々だと思うんですけど、「頑張るぞ」という上を目指す感じなのか、「自分のレベルだったらまあ東大だろうな」という感じだったのか、どれくらいのレベル感だったんでしょう。
あいこめ:まあ「頑張るぞ」って感じではありました。目標は高くした方がいいって言われたんで、そうなんだなと思って。
toki:実際にどうだったんでしょう、受験の結果は。
あいこめ:受験はセンターが全然駄目で。九州大学にしました。でもまあいっかって。駄目だったんだっていう、そう感じ。
toki:まあいっかって感じ。
あいこめ:そう。センターが駄目で、無理だろうなと思って。なんか東京大学に行って、この研究室でこういう研究がしたいとかそういう感じじゃなかったんで。そうなんだっていう感じでした。
toki:悔しいとかとはまた違う感情なんですかね
あいこめ:悔しいっていうのもあったと思うんですけど。しょうがないっていうか、こんなものかみたいな、そういう感情ですね。あんまり悔しいって感じじゃなかった気がします。
toki:九州大に進学されて、大学生活はいかがでしたか。
あいこめ:大学生活は、何したらいいかわかんなかったです。
1年のときって結構教養科目みたいな感じで、すごく広く浅くな授業だったんですけど、全然面白くなくて。なんだこれはみたいな、何しに大学に来たんだろうみたいな感じで、授業はそんなに面白くなかったかな。
toki:授業以外には面白いなって思えるものはあったんですか。
あいこめ:それこそサークル。落語研究会は楽しかったですね。
toki:落語研究会は何が楽しかったですか。
あいこめ:変な人ばっかりで。
あと1人暮らしも始まったんですよ。めちゃくちゃ自由度が上がって、それまで外食とかもほとんどしなかったし、中学高校で友達とどっか遊び行くみたいなあんまりしてこなかったんで、サークルのみんなで出かけるとか、みんなでイベントを企画するとか、そういうのはすごい新鮮だったし楽しかったですね。
toki:落語から、あるいは落語研究会から学んだことってなんですか?
あいこめ:意外とやったら何でもできるんだなっていう。別に、元々人前に立つのが好きとか、話が好きとか、そういう感じではなかったんですけど、やったらできるし、楽しいなって。
toki:ほうほう。ありがとうございます。
あいこめさんは就職活動もされたんですよね。
あいこめ:しましたしました。
toki:就活はどうして始めようと思ったんですか。
あいこめ:就職はしないといけないと思って。大学生活もなんかよくわからないまま終わりそうだなと思って。だったら大学院という感じでもないし、就職なのかなっていう感じで始めましたね。
toki:当時はどんな考えで、どういうところを見ていたとか、そのあたりはいかがですか。
あいこめ:文学部で言語学を専攻してたんですけど、元々小説書いたりとか文章書くのが好きだったので、ライターとかマスコミ系に行こうかなと考えて、出版社とか新聞とかそこら辺を見てましたね。
toki:当時はどんな気持ちで就活やってらっしゃったんでしょう。
あいこめ:よくインターンとか説明会とかで、質問コーナーあるじゃないですか。毎回「仕事楽しいですか」って聞いてて、仕事って楽しいのかなって思いながらやってました。
toki:そう聞かれた大人たちは何と答えるんですか。
あいこめ:結構笑われるんですよね。すごいモチベーション高くやってる人は楽しいって言ってくれるし、それこそお金のためにやってる人たちはしんどいこともあるけどやりがいはあるみたいなこと言われて、そうだなと思いました。
toki:現在のパートで「働くことに対して抵抗感があった」というお話がありましたけど、「仕事楽しいですか」って聞いたり、就活していく中で、その思いの強弱って何か変化しましたか?
あいこめ:多分強まったと思いますね。おそらく会社に勤めるってなると、時間が縛られるじゃないですか。やんなきゃいけない責任みたいのはあるし、なんだろう、自分で仕事を選べないし、一緒に働く人も選べないし、すごい自由度が減るなと思って、働きたくないなと思いました。
toki:結局会社員になることはやめよう、と決断されたわけですよね。その思考に至った経緯をお聞きしてもいいですか?
あいこめ:本当に働きたい会社見つからないし、こっから探すの無理だなと思って。あと普通に、面接の感じとかが嫌で。「あなたの強みは何ですか」とか「学生時代に力を入れたことは何ですか」って聞かれて、なんだこれ、何だこの質問はと思って。就職するために別に大学入ったわけじゃないしなとか、謎のプライドみたいなのが出てきて。そう、しんどくなってやめました。
toki:就活をやめた時、どんな感情でしたか?
あいこめ:決めたら楽になった気がします。
就活の時期がしんどすぎて。それまでは割と勉強とかもできたし、人よりもできるみたいな位置にいたんですけど、就活でみんなちゃんと面接とか頑張って就職してるのを見てたら、人にできることも私はできないのかみたいな感じになって、それがしんどくてやめました。
で、解放されました。
未来:農業って、生きるために必要な食べ物を作ってるわけだから、すごく意味がわかる。やってることの意味が分かる。
toki:最後に未来のことについてお伺いしていきます。
5年後でも、10年後でも、何年後でも構わないんですけれども、こういうことがしたいとか、こうなりたいとか、未来についてどんなイメージを持っていらっしゃいますか?
あいこめ:とりあえず3年ぐらいで独立して農業をやろうかなと思います。メインは果樹とか、徳島はゆずとかすだちが産地なんで、そういう柑橘系で考えてます。
体験できる場所にしたいなと思ってて。それこそ私が就活とか、生き方とかで悩んでた時期があって、それで徳島来て農業やってみて、こういう生き方あるんだなとか、楽しく生きていいんだなっていう思いが生まれたので、それを今度はホスト側で、誰かに提供できたらなっていう思いがあって、そんな感じです。
生き方に悩んでるような人たちがこれる場所を作りたいなと思ってます。
toki:なるほど。今やりたいことをお聞きしたんですけど、内面的にこうなりたい、みたいなものって何かありますか?
あいこめ:ネガティブな気持ちになっても、そのネガティブでもOKみたいな心持ちになりたいです。
toki:今はあんまり、ネガティブな気持ちがOKじゃないっていう感じですか。
あいこめ:OKを出せないときがたまにありますね。自分もOKだし周りもOKになれるようになりたいですね。
toki:あいこめさんは、普段大切にしていることとか、こだわりとか、これだけは譲れないなみたいなものってあったりしますか。もしくは、こういうことは許せないとか。
あいこめ:何だろう、考えたことないですね。
でも大切にしていることは、俯瞰的に見る、じゃないですけど、何かがあったとしても客観的に捉えるようにはしてて。
悪いことをやっている人がいたりして、やばい人だなとか思ったとしても、地球規模とかで考えたら、そもそも人間って地球にすごい悪いことしてるみたいなもんだから、あんま大差ないよなみたいな。
あんまり自分にとらわれすぎないっていうか、広い視点を持つとか、そういうところは大切にしているかもしれないですね。
toki:確かに、地球規模で捉えてみると、なんとなくちょっと肩の力が抜ける感じがしますね。楽になる感じというか。
あいこめさんが、死ぬまでにやっておきたいことはなんですか?
あいこめ:行きたいところがたくさんあって。まだ海外に行ったことがないので、とりあえず行っておきたいなって。ゲストハウスとかに結構遊びに行くんですけど、よく海外をたくさんまわっている人の話を聞くんで行きたいなって。いろんな国に行きたい。
toki:ありがとうございます。
大学3年生の就活してた頃に、「何のためにお金稼いでるんだろう」って考えていたというお話がありましたが、今の時点で、答えらしきものって見えてきたりしたんですかね。
あいこめ:そうですね。最終的には、自給自足っていうか、今食べてるものが誰がどういう思いで作ったことがわかる範囲のもので生活していきたいなみたいなのもあって、それに到達するまでには、変な話なんですけどお金が必要で。
だから、自給自足の生活をするためにとか、いろんな経験をするためにお金が必要だなと思って。お金があったらできることの選択肢も増えるし、そういう理想の生活をするためにちょっとお金稼ごうって感じです。だから前向きなお金の稼ぎ方ですね。
toki:なるほどなるほど。
農業って、合う人合わない人いると思うんですけれども、お話聞いた感じ、あいこめさんにはぴったりはまったんだなあという感じがしたんです。
農業とか、自給自足の生活とかの、どんな部分があいこめさんにはまったんだと思いますか?
あいこめ:そっちの方が自然だよなって思ってて。
食べ物とか、大量に生産して大量に捨てられてっていう仕組みになってると思うんですけど、そっちの方が不自然だよなって思ってて。今まで工業化とかが進んできて、当たり前にあったことができてるのがすごいっていう感じがするんですよね、農業やってたら。
人間らしい生活ってこっちなんじゃないかなみたいな、生きてるなっていう感じですね。
農業って、生きるために必要な食べ物を作ってるわけだから、すごく意味がわかる。やってることの意味が分かる。
会社員、それこそ自分が出版社とか新聞社に勤めてたら、これやる意味あるみたいなことをやんなきゃいけない。この記事書いたら何がどうなるんだみたいな。働いているところを想像したんですけども、わかんなくて。意味が。
でも農業だったら、自分が今やっていることの結果や意味がわかるなと思って。
toki:自分がやったことがどうなるのか、そのつながりを実感できることを大事にされているんだなと思いました。ありがとうございます。
毎回皆さんにもしもの未来についてお尋ねしてるんですけれども、もしも就活されたときに、「いいかも」って思える会社を見つけて会社員になっていたとしたら、その後の人生ってどんなものになってたと思いますか。
あいこめ:嫌なことあったらすぐやめてる気がします。
toki:仮にいいかもって思える会社があったとしたら、どんな会社だと思いますか?
あいこめ:そうですねえ。なんか今、正社員で1人だけ認められて、自由に旅してる人がいるんですけど、そういう感じかな。自由を認めてくれる会社。
それか、そういう農業系のツアーみたいなのを企画する会社のプロジェクトにも一回参加したことはあるんですけど、結構楽しそうだなと思います。
自分の裁量で決めることができるみたいな会社だったらいいかもしれないです。
toki:ああ、なるほど。それでいうと、農業って自分の裁量で決める最たるものですもんね。
ちなみになんですけど、今回のインタビューってなんで受けようと思ってくださったんでしょう。
あいこめ:なんか最近、というかここ1年ぐらいなんですけど、新しい人に会うことも増えて、毎回自己紹介してるんですけど、なんか良い自己紹介というか、自分のストーリーみたいなものが欲しいなと思ってて、インタビューされたら整理できそうだなって、そういう気持ちで受けました。
toki:そうだったんですね。今初めてあった人に、自分を一言で紹介するとしたら、なんと言いますか?
あいこめ:一言で。そうですね。多分「自由と行動力の人」。
toki:おお。ありがとうございます。今回のインタビューが少しでも何かのお役に立てていたら嬉しいですね。
そろそろインタビューも終盤なんですけれども、最後に言い残したことなどありますか。
あいこめ:悩むことってあると思うんですけど、行動し続けたら出会うっていうか、見つけられるんだっていうのがあって。行動するのは大事だなっていうのが最近ずっと思ってることですね。
toki:ありがとうございます。ではこれでインタビュー終わらせていただきます。よろしいでしょうか?
あいこめ:はい。ありがとうございました。
あとがき
今回のインタビューのキーワードの一つは、「つながり」だと思っています。
みんなで農作業をして、ご飯を食べる時間がもたらす、そこにいる人とのつながりを感じながら生活を送り、
仕事先の農家さんは、自分のあらゆる経験をつなげて、新しいものを生み出していて、
自分の食は誰にどのように支えられているのか、自分がした働きは誰にどのように役立っているのか、そのつながりを明確に実感できる道を選択する。
つながりを考えずに生きていくこともできるのだと思います。
なんの意味があるかわからない。誰のためにやっているかわからない。
でもみんなそうしているから。やれと言われたから。
これまでずっとそうしてきたから。
なんなら、そうやって深追いせず、流れに任せていく方が、楽で、生きやすいのかもわかりません。
それでもつながりを問い続け、意味を考えることから目を背けずにいられることって、一つの能力ですよね。
「つながっている」という感覚を、絶やさず灯し続けたいと思わされるインタビューでした。
あいこめさん、ありがとうございました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回の無名人インタビューもどうぞお楽しみに〜
【インタビュー・編集・あとがき:toki】
【文字起こし:komima】
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