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お前がいたから人生楽しかったわって言ってもらいたい芸人の人

人の笑ってる顔を見るとなぜこちらも楽しい気分になってしまうんでしょうかねー。
不思議です。ニコニコ顔の伝染。
まあよくよく考えていれば、人間て社会的動物なんて言われますし、他人の「好行動」を受けると自分も「好感情」が起きるという「好循環」をハートに内臓させてる人のほうが、集団として好ましいのかもしれませんね。
ただ一方で、巨視的に見ると、そういう「好循環」inマイハートな人は詐欺にひっかかりやすいのではないのかなと思ったりします。他人からの影響を受けやすい感情構造を利用されてお金を引っ張られるというか。ATMにされてしまう。まあ分かってて騙されるというのもありますがね。お金だけが最強の価値観ではないので。
あとそのまた別の一端として、例えば電車の座席に座っていて、目の前の席の人が急に声を押し殺して笑いだしたりして、でそれを見て「自分が笑われた?」「なんか変なことをした?」「バカにされた?」と思って何の根拠もないのに不安になりだしたりする。その日一日嫌な気持ちになる。でもランチ食べてる間に忘れたと思ってたら、寝る時に思いだしたりしてまた嫌をぶり返す。まあそういう良くない面も、笑いにはありますね。
で。そういう上記を鑑みるに、自然発生的に出る笑いに比べて、人をただ笑わせるためだけの純然たる”お笑い”って貴重だなと思います。
笑わせられたからって騙されるものでもなく、自分をあざけることを目的にしたものでもない。ただ、もう素直に笑えるってね。
雑味のないものは存在させることは難しいことではありますが、まあそれだから良いってこともありますよね。
ということで本日の無名人インタビューもお楽しみくださいませ!(主催:qbc)

今回ご参加いただいたのは 雫石将史 さんです!

現在:芸人をしています。

toki:今、何をしていらっしゃる方ですか?

雫石:芸人をしています。

toki:芸人になってどれくらいですか?

雫石:今年(2022)の9月に養成所を卒業したので、3ヶ月ぐらいです。

toki:ちなみにご年齢は?

雫石:23です。

toki:なるほど、芸人さんなんですね。

雫石:言ってるだけで、本当にライブとかにも出れず、バイトばかりの日々ですが、一応名乗ってはいます。

toki:最近の1日の過ごし方を教えていただけますか?

雫石:まず起きます。バイトに行きます。で、1日8~10時間くらい働いて、帰ってきて、note書いたり、ネタ作りをします。noteを上げる日だったらnoteを上げて、ネタができたらネタ友達に見てもらって。で、お酒飲んで寝るって感じです。

toki:ネタはお一人で作っていらっしゃるんですか?

雫石:そうですね。1人です。養成所のときはコンビ組んでたんですけど、卒業してコンビも解散して。養成所の成績優秀者は事務所に所属できるんですけど、そこに入ることができず、今は事務所に入らず、ピン芸人としてやってるんです。ネタ作りも自分で、気が向いたらっていう感じですね。

toki:なるほど。バイトは何をやられているんですか?

雫石:学校通ってる時は、最寄り駅の中のそば屋で働いていたんですけど、最近また引っ越して、映画館のアルバイトを始めました。

toki:バイト先に映画館を選んだのには、何か理由があったんですか?

雫石:これは長くなります。そもそも映画見るのが好きっていうのもあったんですけど、大学時代に自分が所属していた学科が「人を幸せにする学科」みたいに名を打っていて。
山形県の芸術大学に通ってたんですけど、山形の地方のイベントに人が集まらない、どうしたらいいんだろう? っていうのがもし課題であったとしたら、こうやればいいんじゃないっていうのを学生同士で話し合って、実際にイベントを開いて、その結果どうなったか検証するっていうのを1年かけてやる学科に入ってたんですね。そういうふうに人のために動くこととか、人を楽しませるようなことが、ちっちゃいときから好きだったので、大学でもそういうことを学んで。

大学卒業して上京してきて、最初そば屋やってたんですけど、やっぱ人をもっと楽しませる、人が楽しむために来る娯楽施設のスタッフをやりたいなっていうのがあって。遊園地のスタッフとか、イベントのスタッフとか、映画館スタッフとか。それで映画館に応募しました。
映画館落ちたら、遊園地のキャストさんとかに応募しようかなって思っていました。

toki:そんな背景があったんですね。ありがとうございます。
何か趣味はありますか?

雫石:映画を週に1本必ず見たりとか。あと料理とか、お酒飲むのも好きだし。
あと、僕は元々お笑いのファンみたいな感じから、憧れで芸人になったので、お笑いを見ることも趣味ですね。

toki:映画だとどういう作品がお好きですか?

雫石:僕、邦画を見るんです。洋画は見なくて。
洋画を見ない理由は、誰が誰だかわかんなくなっちゃうってのがまず1個あって。「ジョンって誰だっけ?」ってなっちゃうし。
あと、洋画って字幕が出るじゃないですか。で、「ここがアメリカンジョークだよ」ってところに「“ ”(クォーテーションマーク)」が出てくるじゃないですか。「“ ”」があるから、これはアメリカンジョークなんだって感じることができるけど、アメリカンジョークがわかる外国人の方と比べて、こっちはそのセリフを100%楽しめてないじゃないですか。その時点で、作者が本当に伝えたいこと、こっちに伝わってないよっていう、変な尖った考え方をしてしまっていて。
なので、基本的には洋画ではなく、邦画を見ます。

toki:作者の思いを100%受け取りたいんですね。

雫石:邦画ってたまに「最後の汲み取り方はあなた次第」みたいなエンディングのときあるじゃないですか。ドラマも映画も。僕、馬鹿なので、そういうのすごい結構苦手なんです。お前が全部言ってくれよってなるんですよ。そういう、全部理解したいなってところがありますね。

toki:ありがとうございます。最近1番やってて楽しいことはなんですか?

雫石:note書いてるのが結構楽しかったりしますね。

toki:noteはどういうきっかけで始められたんですか?

雫石:まず自分、養成所を卒業して、芸人としてやっていくぞってなったんですけど、そのタイミングで引っ越しをしまして。それでちょっとお金がなくなりまして。芸人って、下北沢とかでやってるようなライブに出るのにも、1人1,000円、2,000円って払うんですよ。それを払える余裕すらなくなりまして。やばいってなって。
そのタイミングで、YouTubeを養成所の同期の友達とやろうってなって。撮影する予定だった日に、僕がコロナに罹りまして。1週間弱寝込み、YouTubeも延期になって。
そいつとユニットでライブも出るはずだったんですけど、そのライブもコロナの療養期間とかぶり、お笑い活動もできず。

何かすることないかな、何か発信できないかなってなったタイミングで、どうやら世の中にはnoteというものがあるぞと。これは無料でできるらしいぞと。それで、「これだ!」ってなってnoteを始めました。
だから、始めてまだ1週間2週間なんですけど。そういうきっかけですね、note始めたのは。

toki:noteを書くのが楽しいとのことでしたが、どんな部分が楽しいですか?

雫石:自分、めっちゃ自分好きなんですよ。「俺面白いな」って思ってるんで、「俺が書いてる文章おもしろ!」って思いながら書いてるんですよ。
めっちゃきもいな、これ大丈夫かな。

toki:全然きもくないですよ。素敵だと思います。

雫石:この文章、この書き方にしたらもっとおもろくなるわって、感覚としてはネタ作りに近いかもしれないです。

toki:なるほど。今、楽しいことや好きなことをお聞きしたんですけど、逆に嫌いなもの・ことって何かありますか?

雫石:揉めごと。人と極力喧嘩したくないので。あんまり人に対して怒ることもブチギレることもないし。喧嘩することもあんまりないし。
嫌なこと…なんだろうな、他の方ってどういうふうに答えてます? 

toki:そうですね、本当に人それぞれなんですけど。苦手なことって文脈で話される方もいますね。

雫石:苦手なことなんだろうな。あんまりないかも知れない。あんまりないことはないだろうけど、あんまり思いつかないなって感じです。やばい、面白くないな、どうしよう…

toki:やっぱり職業柄、自分の発言が面白かったかどうか、常に考えるものですか?

雫石:考えちゃいます。めっちゃ考えちゃう。人が喋ってたことに対してツッコんだりするじゃないですか。「うわ、このツッコミよかった!」ってなる瞬間とか、結構ありますね。そうですね、常に周りを見ちゃいますね。

toki:今1番時間を使いたいことはなんでしょう?

雫石:ネタ作りですかね、やっぱり。

toki:ネタ作りってどういうふうにやられてるんですかね? やり方は芸人さんそれぞれだとは思いますが。

雫石:自分は最近は、テレビに出てる芸人さんとか、同期とかがやってるネタを見て、例えばテーマが「桃太郎」だったとしたら、「自分だったら桃太郎をどうやってやるだろう」って考えたりします。早口言葉のネタをやってる人がいれば、どう早口言葉をボケようって感じで、どんどんネタを広げていくかもしれないっすね。

toki:なるほど。誰かがやっているのを、自分だったらどうするかっていう視点でネタを作っていくんですね。

雫石:そうですね。過去、誰もやっていないボケを考えるんですよ。
あと日常のふとした瞬間に面白かったことをメモってそっから広げたりもしてますね。

toki:すごくイメージがつきました。ありがとうございます。
質問の方向が変わりますが、雫石さんは周りの人にどういう人だって言われることが多いですか?

雫石:アホで、なんかずっとふざけてる声でかいやつ。
だからなんか、面白いって思っててほしい、いや、思っててくれてる、って勝手に思ってるんですけど、俺調子乗りなので、みんな面白いとあんまり言わないんですよ。でも「将史いると楽しいよね」って言ってもらえることが多いですね。

toki:そう言われることに対して雫石さん的にはいかがですか?

雫石:めっちゃ嬉しいです。飲み会とかで、例えば「雫石の話になったから電話かけてみた」とか、「今から来れる?」とか、結構嬉しいっすね。やっぱり、盛り上げ要員として飲み会とかご飯とかイベントとかで呼んでもらえると、非常に嬉しいです。

過去:全然ウケないんです、ネタは。でもめっちゃ楽しいんですよ。

toki:小さい頃はどんなお子さんでしたか?

雫石:ちっちゃいころは、怪我がめっちゃ多かったですね。ずっとスポーツやってたので。
あとは、ずっとニコニコしてました。3人兄弟の末っ子で、家族にも甘やかして愛してもらって、周りの人にも愛されて。だから人当たりはちっちゃいときから良くて、今でも人見知りはあんまりしないです。

toki:小さいときには、自分が愛されてるなっていう自覚はあったんですか?

雫石:ないです。ないけど、上2人の話を聞くと、おやおや? と。俺めっちゃ甘いんちゃう? って。将史はすごい甘やかされてるよって、親は将史にだけ甘いよねって。俺ってすごくよくしてもらってたんだって気づいた感じです。

toki:ちなみにスポーツは何をやられてたんですか?

雫石:小学校からサッカー。高校までサッカーやってて。大学ではアメフトを簡略化したタッチフットっていうマイナースポーツがあるんですけど、それをやってましたね。

toki:小学校の頃のサッカーはどういうきっかけで始められたんですか?

雫石:小学校の頃のサッカーは、自分の兄がサッカーやってて、そういうスポーツ少年団とか中学校の部活とかを見に行くと、やっぱ憧れるじゃないすか。兄の影響っていうのが非常に大きかったのかなっていうのはありますね。

toki:ありがとうございます。小学校時代、性格的にはどんなお子さんでしたか?

雫石:目立ちたがり屋ではありました。ちっちゃいときから。
「天才てれびくん」ってわかります?「天才てれびくん」のてれび戦士にすごく憧れてたんですよ、僕。あとは、学芸会みたいなのは積極的に手挙げて。何かやったり、代表でスピーチするとかはすごく積極的にやってた人だったらしいです。

toki:小学校のときに、印象に残っている出来事って何かありますか?

雫石:6年生を送る会みたいなのがあったんですけど、たしか自分が4年生のとき、その1年間活躍した芸能人になりきって、6年生にメッセージを送るみたいなのが、自分たちの学年の出し物だったんですよ。
で、その中の1つで「ヘキサゴン」の「羞恥心」になるっていうのがあって、応募者が多かったから、「羞恥心」オーディションがまず開催され、自分は落ちて。「羞恥心」が大好きで上地くんになりたかったのになれず。

それでめっちゃ泣いてたら、担任の先生が「雫石、羞恥心じゃなくてジョイマンやらないか?」って。その落差すごいけど、嫌々ながらもやったっていう思い出はあります。
それで、6年生も結構いい反応をしてもらって、アホだったんで、なんか結果オーライじゃんみたいになったのはあります。

toki:なるほど。結果的にはいい思い出になった感じですね。

雫石:これ、大丈夫ですか?書くところあります?

toki:ありますあります。全然大丈夫なので、気にせずお話しなさってください。
そこから中学校に進学されて、中学校生活はいかがでしたか?

雫石:中学校生活は、いかがだったかなあ。まあでも、楽しく過ごしながらも、軽いいじめみたいなのも経験して、良くも悪くも充実してたのかなっていう。
良くも悪くもっていうか、別にいじめもめちゃめちゃ悩んでたわけじゃなくて、友達もしっかりいたので。卒業式のときはちゃんと泣きましたし。っていう感じですかね。

toki:友達づきあいはどういう感じでしたか?

雫石:友達づきあいは、心を開いた人にはめっちゃ開く感じでしたね。人見知りもしないし。目立ちたがり屋だったんで、こいつ誰? っていう存在でもなくて。友達は多かったですね。

toki:高校はいかがでしたか?

雫石:高校も、全然広げてもらって大丈夫なんすけど、いじめを経験して。高校でのいじめの方はちょっと陰湿だったんですけど。
でも、いじめを受けながらも、部活はサッカー部で。サッカー部の人がいたから、不登校とかにはならずに、嫌な気持ちにならずに学校には行けてて。クラスの男子からいじめられてたんですけど、同じクラスの女子からはすごく仲良くしてもらってたりして。高校2年生、高校3年生では、もうなんか「イエーイ!」ってなってました。

toki:いじめられてたことに対しては当時はどう感じてらっしゃったんでしょうか?

雫石:「あ、いじめられてんなあ」って感じですかね。そう、だから、「めっちゃやばい」「学校行きたくない」って感じは一切なかったですね。なんか嫌がらせされたわー、みたいな。で、友達にちょっと相談して、っていう感じですかね。

toki:悩んではいたんでしょうか?

雫石:まあでも、親とかには言えなかったんで。親とか担任の先生って、表の雫石しか知らないから。
親とかは特に、ちっちゃいときから目立って、みんなのムードメーカーの将史、のイメージがあるから。高校生になっても、親からはそう思われてるだろうなって思ってたから、親には1回もいじめられてたことを言わなかったですね。

で、僕はいじめられてんのに学級委員とかやってたんで。自ら手挙げるタイプで、お前やれよみたいな押しつけでやるんじゃなくて、「やります」っていうやつだったんで。先生にも、雫石はクラスをまとめてくれてるって思われてるだろうなって思ってたから。

toki:なるほど。

雫石:進級するときに、実は僕、誰々からこういう感じで実はいじめられてましたってカミングアウトしたことはあります。親も2年生に上がるタイミングで、実はこの1年間いじめられてたんだよねみたいな話をしました。

toki:ありがとうございます。
その後、大学は受験されて入ったんですか?

雫石:AO入試で。出身宮城なんですけど、隣の山形の東北芸術工科大学にAO入試で入って。入ったきっかけとかも喋っても大丈夫ですか?

toki:ぜひ教えてください。

雫石:そもそも自分は、高校卒業して、上京して芸人になろうとしてたんです。ただ、自分の父がすごく厳格な人で「このご時世、芸人失敗したときのために大学は行っておいてくれ」って感じの人だったから。
それで「大学かあ……」ってなりながら、専門学校か大学をいろいろ探してて。テレビ関係だったらスタッフとか撮影する方でやってみようかなとか、いろいろ探してたら、その自分が入った大学を見つけて。芸術大学なので、映画撮ったりテレビ撮ったりする映像学科があったんですよ。

そこのオープンキャンパスに行ったら、なんか雰囲気違うなって思って。その流れで、のちに自分が入ることになる企画構想学科に行ってみたら、ちょっと良くない? みたいな。
俺そういえば、ちっちゃいときから目立つこと好きだったし、学級委員とかやってたわって。人のために動く学科めっちゃいいやんってなって、AO入試で入ったって感じですね。

toki:高校卒業時点で、芸人になろうと思っていたんですね。

雫石:もう小6ぐらいから思ってて。中学校の三者面談でも芸人になりますって言って。高校の進路相談でも芸人になりますとは言ってましたね。

toki:すごくベタな質問ですが、どうして芸人になりたかったんですか?

雫石:さっきも言いましたけど僕、宮城県出身で、小学6年生の時に東日本大震災を経験して。で、卒業式とか入学式とかもできるかなみたいになってたタイミングの3月4月ぐらいに、復興ライブみたいなので芸人さんが宮城に来てくれたときがあって。その時来てくれたのはNON STYLEさんだったんですけど。それを親と観に行って。
で、ネタを観てたら、NON STYLEさんが「この会場で一番若いやつ誰なんやろうね」みたいな話になって。その時、明らかに子供が自分1人だけだったんで、「自分だな」って思いながらも、緊張して手挙げられなかったんです、そんとき。それを見かねた目立ちたがり屋な母が、僕の腕を半ば強引に引っ張って「はい!」って手挙げさせられて。

toki:はい。

雫石:それで、NON STYLEさんが僕を見て「お兄ちゃん、何歳なん?」みたいな。「小6です。12歳です」って言って。そしたら、NON STYLEのお2人が「小6なんて、自分、膝擦りむきながら走り回ってたわ、ありがとうな」みたいなことを言ったら、会場がすごい笑いに包まれたんですよ。
別に自分が笑わせたわけじゃないけど、自分を介して人を笑わせてて、めっちゃ素敵やんって、かっこいいって思って。
そっから「芸人になりたい」って言うようになったっぽいです、どうやら。あんまり覚えてないけど、親は「あのライブからじゃない?」 って言ってますね。

toki:そうなんですね。でも芸人になりたいって思いは、そこからずっと変わらなかったんですね。

雫石:変わらなかったっすね。芸人になりたいって思いはずっとあったから、授業中とかでもワーッてなった瞬間に、うしろでガヤるんですよ。〇〇じゃん! って言って、この、〇〇じゃん!でクラスが笑いに包まれたら、もう授業入ってこない、嬉しすぎて。みたいな感じの毎日でした、中学校高校は。どれだけ自分の発言でクラスのみんなが笑ってくれるかみたいな。
常日頃からどんだけ人を笑わせられるかとか考えてましたね。

toki:なるほど、そんな背景が。ありがとうございます。
その後、大学に入学されてからはどういうふうに過ごされていたんですか?

雫石:大学に入学してから初めて、お笑いの活動をするようになって。
まず自分が所属した学科が、日本で唯一企画を勉強する学科で。人が集まるイベントを企画して、実施して、その振り返りをやってとか、商品開発とかも実際に企業さんが来て課題を提示して、考えてやって、みたいな学科だったんです。
その学科の授業の一つに、「ラジオチュートリアル」があったんです。山形県の山形市の駅前の商店街に流れるラジオを隔週1時間、隔週の日曜日の1時間生放送でやりませんかっていうチュートリアルで。めっちゃ楽しそうじゃねって、仲良くなったやつと一緒にそのチュートリアルに入ったのが大学1年生の時なんですけど。
自分たちの大学って、結構地域密着型の大学だったから、隣町とか大学近辺のイベントのチラシとかもバンバン入ってくるんですよ。そしたらある日、大学の掲示板でパパッて顔を上げたときに「隣町で漫才してみませんか」っていうチラシを見つけて、「おおっ!」ってなって。

toki:おお。

雫石:で、その同じラジオチュートリアルに入ってた仲良いやつに「これやってみね?」って言って。そっからですね。
だから大学2年生と3年生のとき、ずっとお笑いの活動はさせてもらって。で、学科もそれなりに、単位とかは落とさず、平凡に過ごし、っていう感じでしたかね。
企画構想学科って名前だけあって、いろんなイベントを企画していろんなことを実施していく1年間で。だから毎月のように学科でイベントがあったんですよ。お笑いの活動を始めてから、そういうイベントの司会やらせてもらったり、スタッフやったりって感じでしたね。

toki:大学に入って、より「芸人」に近いことをやるようになったんですね。実際に、お笑いの活動を初めてみて、いかがでしたか?

雫石:全然ウケないんですよ、ネタは。自分は面白いと思ってるけど、見てる人誰も笑ってないみたいなことはザラにありました。お笑いの大会とか出てもずっと最下位とかで。全然ウケないなみたいな。
でも、めっちゃ楽しいんですよ。もう自己満です。

toki:ウケなかった時って、どんな感情になるんですか?

雫石:なんでウケないんだろうって、マジでめっちゃ落ち込みます。
ただ、ネタがウケなくて落ち込むけど、漫才やっててめっちゃ楽しいし、しかも自分が面白いと思ってるやつと組んで漫才をやれる。
当時組んでたそいつが、ネタ中に台本にないことをひっちゃかめっちゃかやるやつだったんですよ。自分の胸ポケットからリポビタンDとか出して、ネタ中に目の前で一気飲みをされて。それを見て、腹ちぎれるぐらい俺が笑ってる。見てる人は多分何も面白くないけど、これめっちゃ楽しいんですよ。だからもう、本当に自己満でしたかね。
まあでも、大会とかに出ると、ネタが面白いかどうかってもう、浮き彫りになるじゃないですか。俺らはめっちゃつまんないんだなって、なんでウケないんだろうって、それで落ち込んだりはしましたね。もはや、3年間やってスベりすぎて、もうスベることが普通だと思ってました。

toki:全然ウケない、それでも漫才をやることをめっちゃ楽しいと思えるのって、どうしてなんですかね。何に楽しさを感じていらっしゃるんですか?

雫石:自分が面白いと思ってるやつと、自分が好きな自分とで、ずっと憧れていたお笑いの活動ができてるっていうだけです。
大学んときに組んでた人とは、大学入って1番最初に仲良くなって「こいつめっちゃ面白いやん」と思ってたやつだったんで。めちゃめちゃ友達として好きだったんで。友達が面白いことやってたら面白いじゃないですか。そういう感じだと思います。

toki:ありがとうございます。過去パートの最後に、養成所時代についてお伺いしたいんですけれども、養成所は大学卒業した後に入ったんですか?

雫石:そうですね。自分は元々、大学卒業したら養成所入りたいって思っていたので、大学4年生のときとか、みんな必死に就活してる中、1人だけ就活せずに紛れてるんですよ。だからゼミとか入って、みんな自己PRとかポートフォリオとかよく作ってるけど、みんな頑張れーみたいな感じで。
大学のときに話が若干戻っちゃうんすけど、自分の学科って、4年生は卒論じゃなくて、それぞれがアイデアを考えて、イベントを開いて、そしたらこんな人が来てくれて、こういう声がありました、地域はこう変わりましたっていうのを、全員が一年かけてやるんですよ。
みんなは就活しながらそういうイベントをやってる中、俺は就活がないから、卒業展示のリーダーとかを率先してやろうと思ってやったけど、卒展も不安になりながらもみんな勢いだけでついてきてくれて、っていう感じの大学4年生でした。

toki:養成所にはどれくらいの期間通っていたんですか?

雫石:1年間でした。

toki:その1年間、いかがでしたか?

雫石:自分が入ってたのがワタナベエンターテインメントの養成所だったんですけど。ワタナベの養成所は、中目黒に学校があって。で、毎回来たときは、そのまま教室に行っちゃだめってルールがあって。2階の職員室で必ず顔を出して「失礼します。◯期の雫石です。今日1日お願いします」って挨拶をして、「よろしく」って言われたら行っていいみたいな。
芸人として面白くなる以前に、人として挨拶ができる人になってくださいっていうルールだったんです。どこの養成所もそうだと思うんですけど、芸能人って自分を商品として売る仕事なわけだから、まずは基礎として、人間として、人間力をつけてくださいっていう感じだったので。なので人としてすごく成長できた1年間だったかなっていうのは思いますね。

授業終わっても、必ず職員室の前に言って「◯期の雫石です。今日1日ありがとうございました」って。声小っちゃかったらもう1回やらされるんです。

toki:人間力を磨く教育も施されるんですね。なかなか知る機会のない世界です。ありがとうございます。

未来:幸せになるんだったら、自分だけじゃなくて、みんなで幸せになろうよっていう。それの手助けが自分にできればなって

toki:最後に未来についてお伺いしていきます。5年後や10年後、何年後でもいいんですけど、ご自身の未来について、どんなイメージを今持ってますか?

雫石:芸人としては、メディアやTVに出ていたいなっていうのはあるんですけど。それよりも、自分が活躍してるっていうよりかは、見てる人に笑顔を届けれる人でありたいって、そういう思いはずっとあって。ちっちゃいとき自分が芸人に憧れたきっかけにもなったので…あれ、何を言いたかったんだろう、すみません。もう一回質問してもらってもいいですか?

toki:何年後でもいいんですけど、自分の未来に対してどんなイメージを持っていらっしゃいますか?どうなっていたいとか、こういうことをしたいとか。

雫石:テレビに出続けたいっていう、芸人としての夢はもちろんあるんですけど。人として、日常生活を普通に送ってても、いろんな人を笑顔にできる人でいたいなっていうのはありますね。まとまった!よかったー。

toki:お話聞いていてずっと不思議だったんですけれども、どうして雫石さんは、そこまで人を笑わせたいとか、楽しませたいって思うことができるんですかね。

雫石:自分が笑ってたいし、例えば一緒にいる人が笑ってなかったら、自分も楽しくないじゃないですか。自分が楽しむには、一緒にいる人とか周りの人を笑わせるべき。笑わせるべきなのかわかんないけど、笑ってたら楽しいやんって、人生楽しんだ者勝ちっていう考え方なので、常に。
あと、揉めたくない。繋がってきますね、これは。人と争い事をしたくない、極力幸せでいたいってのはあるので。幸せになるんだったら、自分だけじゃなくて、みんなで幸せになろうよっていう。それの手助けが自分にできればなって。で、それの手助けが自分にできればなっていう考え方ですね。

toki:常に自分の発言が面白いかどうか考えたり、人のことを楽しませようとしたりすることで、疲れちゃうときとか、ないんですか?

雫石:疲れたりはね、これ、しないんですよ。
めっちゃ寂しがり屋だし、まず。常に誰かと一緒にいたいっていう感じなんですよ。寂しかったら死んじゃうぐらいの。本当に、1人の時間は寝る前30分だけでいいみたいな感じの人なんで。だからそれ以外はずっと人といたいってのがあるから、疲れない。
人と一緒にいるんだったら、みんな楽しい方がいいじゃんという考え方なので、このサイクルですよね。めっちゃ寂しがりやなのは、多分末っ子だからだと思います。
これ答えになってんのかな、大丈夫すかね?

toki:大丈夫です。なるほど、ありがとうございます。
何か死ぬまでにやっておきたいことってありますか?

雫石:バンジージャンプ。あと、家族がやっぱり好きなので、自分の家族も欲しいですよね。幸せな家族に、自分も。
……何言ってんだろうなあ、俺。そういうことじゃないと思うんだよ、死ぬまでにやってみたいことって。

toki:いや、でも本当にパッと思いつくもので大丈夫です。

雫石:そうっすね……。

toki:言い方を変えますね、これをしないと死ねないなって思うことはありますか?

雫石:まず芸人として売れることが1個目。
で、自分がちっちゃいときに芸人さんを見て憧れたっていうのがあるから、宮城で。売れて地元凱旋をしたい。これは絶対。自分が育ってきた小学校中学校高校大学に行って、育ってきた環境に恩返しをしたい。親に恩返しをしたいっていうのもあるかな。家族に恩返しをしたい。
あと、すごく情けないんですけど、飲み会とか呼んでもらえるって言ったじゃないですか。お金ないんで全員に払ってもらってるんで、売れてちゃんと返済してみんなに恩返しがしたいっていうのはありますね。
あとなんだろうな……何かあります?逆に。

toki:私がですか? 

雫石:こんな人、あんまりいないですよね、すみません。

toki:でもまあ、親孝行はしておきたいですね。

雫石:やっぱりそうですよね。

toki:ここまで家族って言葉、何度か出てきていますが、ご家族に何か伝えたいことはありますか?

雫石:ええ、難しい。でも日頃の感謝と、こうやって芸人、東京でポンコツやってるけど応援してくれて、背中を押してくれてるのは本当にありがたいなと非常に思ってるので、その感謝をまず伝えるべきなのかなと思ってはいますね。

toki:うんうん。ありがとうございます。またちょっと質問変わりますが、どういう死に方が理想とかってありますか?

雫石:笑いながら死ぬってないですよね。最後まで仲いい人とか、大切な人たちとか、家族の泣く顔をあんまり見たくないので、最後はもう周りに笑ってもらいながら死にたいかも。

toki:自分が死んだ時、例えば自分の葬式に来てくれた人に、どういう人だったって言われたいですか?

雫石:「お前がいたから自分の人生楽しかったわ」って言ってもらいたい。これはそうかも知れない。みんなにとってそういう存在でいたいかもしれないっすね。家族にとっても。うん。

toki:ありがとうございます。

雫石:いや、さっきの、何か家族に言いたいことありますか、で「いつもありがとう」はちょっとおもんなさすぎるなあ。やばいなあ。

toki:そんなことないですよ(笑)。
雫石さんご自身は、自分のことをどういう人だと思いますか?

雫石:人好き。人が好きな、寂しがり屋の……そういうことじゃないんだよなあ。
めっちゃアホなやつだと思います。なんか、楽しければいいっていうのが全部にあるから。で、なんとかなるっていう考え方をずっと持ってるから。そんな簡単にいかねえよって思われるけど、なんとかなるでしょって思っちゃう人だから。めっちゃアホなやつだなって。

toki:現在パートで「めっちゃ自分のことが好き」っておっしゃっていましたよね。そんな「アホ」な自分のことも好きですか?

雫石:そうっすね、自分のことは好きですね。自分のことを好きでいてくれる友達とか家族も好きですし、ありがとうって。こんなアホの相手をしてくれてありがとうっていう気持ちは常にみんなにはあります。

toki:毎回、皆さんにもしもの未来についてお伺いしているんですけれども、雫石さんには最後に2つだけお聞きしたいことがあって。
まず1つ目。2択なんですけど、自分が面白いなと思う大好きな人と一緒にお笑いができるけれど、全くウケないし売れない人生か、もしくは、全然好きじゃない人とお笑いをやるけれど、自分の思った通りにめちゃくちゃ売れる人生か、もしもどちらか選ばなければならないとしたら、どちらの人生を選びますか?

雫石:そんなん、めっちゃ究極の2択だな。でも、1個目の人生ですかね。自分が面白いなと思う大好きな人と一緒にお笑いができるけれど、全くウケないし売れない人生。それは多分変わらないと思います、これから先も。
養成所のときも、何回かコンビ解散とかコンビ結成を繰り返したんですけど、やっぱ自分たちが1番面白いって思ってることを面白いと思ってほしいし、最悪お客さんに笑ってもらえなくても、自分が面白いと思うこいつとだったら売れなくてもいいやって思える人と組みたい。最悪、自分のお笑いができればいいやと思ってるので。

toki:ありがとうございます。そして2つ目。もしも、明日からお笑い以外のことをしなければいけないってなったら、雫石さんは何をしますか?

雫石:お笑いができないってなったら……でも、お笑いやってるのも、自分の力で人を笑顔にさせたいっていう考えが、やっぱり奥底にはあるので。だからそれこそ、イベントのキャストさんとか、ディズニーのキャストさんとか。そういうのもいいし、学校の先生とかも憧れます。あとは自分怪我が多かったから、病院の先生とか。なんか少しでも人のためになれることはしておきたいかもしれないです。

toki:ありがとうございます。それでは、何か最後に言い残したことはありますか?

雫石:いやあもう、めちゃめちゃあります、マジで。今日これダメだなあ、これはやばいなって思いながら話してたんですけど。マジで大丈夫かなあ。

toki:ええ、全然やばくなんかないですよ。

雫石:やばくないですか?

toki:はい。

雫石:だって理由ないけど家族好きなやつだし、アホアホ言ってるのに自分のことめっちゃ大好きな変な奴だし。でも人のために何かしていたいみたいな綺麗事ばっかり言うし。
やばくないですか? 大丈夫かなあ、これ、いい記事になるかなあ。

toki:心配ですか? 

雫石:めっちゃ心配です、俺。

toki:本当ですか? 私は全然心配じゃないですね。

雫石:本当ですか。すごいっすね、見えてるんだ。ありがとうございます。

toki:どなたの記事も素敵なんですけど、雫石さんの記事も、漏れなくすごく素敵なものになると思いますよ。

雫石:言い残したことは……そうですね、言い残したことを悩んでるってことは、言い残してないってことじゃないですかね?それか、何を言い残したかめっちゃわかんないときですよね?
わかんないときなのか、言い残したことがない状況なのかわかんないけど、そうですね、でも、みんなの生活が幸せだったらいいなって思います。
終わった、やばい、ごめんなさい。これはやばいぞ。

toki:ありがとうございます。全然やばくないですって(笑)。

雫石:大丈夫ですかね、不安は残りますが。お願いします、どうにか。良く見せてください。

toki:全然不安に思うことないと思いますけどね。私もすごく楽しませていただきました、この1時間。

雫石:お恥ずかしい。これなんか、1年後もう1回やってる人とかいませんでしたっけ?

toki:1年以上あけていただければ、2回目も可能ですよ。

雫石:俺、成長して戻ってきます。これはちょっと駄目ですわ。

toki:おお、ではもし1年後、まだこのインタビューのこと覚えていらっしゃっていたら、ぜひ戻ってきていただければ。

雫石:絶対忘れないって、これは。

あとがき

読んでくださった皆さま、いかがでしたか?
雫石さんのインタビュー、全然やばくないですよね?(笑)
きっと皆さん同意してくださっているはず。

話の節々から、雫石さんのまっすぐさ、良い意味での単純さが滲み出てくるような、そんなあたたかい記事になったのではないかと個人的には思っています。
ところどころで、面白いかどうか気にされていたり、インタビュー終了後に大丈夫ですか?と何度も何度も確認してくださったり、そんなところからも、雫石さんのお人柄がひしひしと伝わってきました。
このあっけらかんとした感じといい、「笑ってたら楽しいやん」というシンプルな価値観といい、まるで雲ひとつない青空のようなインタビューとなりました。

個人的に衝撃を受けたのは、「ウケなくても漫才が楽しい」というお話。
全くウケなくてもいいから、自分の大好きな人と、自分が面白いと信じるやり方で突き進むこと、それが何より大事、とのことでした。
「お笑い」って、「人を笑わせること」のためだけに存在しているのではなくて、「自分自身が幸せになること」もできるのだなと感じたと同時に、そもそも自分の好きな人とお笑いができていること、それ自体が幸福というケースもあるのだなと、新しい視点に出会った気がします。
人を笑わせたい、楽しませたいという思いと同じくらい、目の前の人をどうやって笑わせるのか、誰と一緒に笑わせるのかが大切な方なんだなと感じました。

近い将来、テレビの画面越しにお会いできることを楽しみにしています。
1年後のご応募も、お待ちしておりますね!

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
次回の無名人インタビューも、どうぞお楽しみに。

インタビュー担当:toki

編集協力:生きにくい釘

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