さんざん人間関係でつらい思いしてきたの、このためだったんじゃないかっていうぐらい、今すごく楽しい人
私の20代の悪い冗談で、二浪してた時に自殺しなくてよかったー、っていうのがありました。
私は世の中に出るのが怖くて、高校も行きたくなかったんですよね。母親に高校に行きたくないと言うと、泣いていたのを覚えています。
大学も行きたくなかった、働きたくもなかったです。何もしたくなかったんです。
別に助けてくれる人もいませんでした。ただ生活は親が面倒を見てくれたので生きていました。
そんな時、ふと、何もしないと本当に何もないのだなと怖くなって、大学に行くことにしたのです。別に前向きになったわけではなくて、そのまま、何もないまま生きるのが怖かったからですね。
それで大学生になりました。
大学に入ってからも、人間関係が器用ではなくて、よくケンカしていたように思います。
いや、人間関係が器用ではないというよりかは好戦的だったのかもしれません。
自分のことなんか、よくわかりません。
そういう、自分がよくわからないまま、20年以上が経過して、ようやうく40を過ぎてから無名人インタビューっていう面白いものに出会い、今こうして無名人インタビューをしています。
出会えてよかった、無名人インタビュー。お楽しみくださいませ。
【まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)】
今回ご参加いただいたのは 千夏(ちなつ) さんです!
現在:刺激がなくて。何かしら、新しいことを始めたいなとか、もうちょっと自分の成長に繋がることを、内側から変えていかなきゃって思ったりしてます。
toki:今、何をしていらっしゃる方ですか?
千夏:今は、大学生をしています。
toki:大学何年生でしょう?
千夏:4月から3年になります。(※インタビュー実施:2023年3月)
toki:大学ではどんなことを勉強されているんですか?
千夏:専攻が日本文学で、これから論文を書くっていう段階なんですけど。今は主に、近代文学について学んでます。
toki:学業以外では普段、どういうことをして過ごしていますか?
千夏:大学の団体に3つぐらい入っていて。合唱団体と、ボランティア団体と、図書館に関する団体と。
大学の手話サークルに入っていたんですけど、そこが活動日が合わなかったり、人数が少なかったり、熱意が違ったりして、やめて。かわりに、地域の手話サークルに入ったりしてます。
toki:色々やってらっしゃるんですね。中でも特に夢中になっていることはなんですか?
千夏:手話サークルだと思います。
他の活動は、友達のすすめで入ってるっていうのが大きくて。合唱団体だけは自分から入ったんですけど。
手話サークルは週に1回なので、あんまり頻度としては高くないんですけど。結構、年配の方が多い手話サークルで、なんか若い人が来たっていうことで、大歓迎っていう感じで。雰囲気はあたたかいです。
toki:なるほど。ありがとうございます。
毎日の過ごし方といいますか、1日のルーティーンとか、大体こんなスケジュールで過ごしている、みたいなものって何かありますか?
千夏:結構休みはずっと家に引きこもってるというか。ちゃんとしたことをするっていうのはないんですけど。
ただ、朝は大体、何かしら、ラジオ体操とか体を動かして、それをnoteに記録してるっていうことが多いです。
toki:何か趣味はありますか?
千夏:趣味は、昔からテレビっ子なので、ドラマが好きで。あと、音楽を聴いたり、たまに散歩したり。結構いろいろ好きで。お笑いも観たりします。浅く広くっていう感じです。
toki:結構興味の幅が広い方なんですね。
千夏:そうですね。
toki:千夏さんはどういうことをしてるときが一番楽しいですか?
千夏:えー、どういうことだろうな。誰かと話したり、誰かとおやつを食べてるときとか。あとは歌ってるときが一番楽しいです。
toki:うんうん、なるほど。ちょっと似てる質問ですけど、幸せを感じるのはどんな時ですか?
千夏:特に大学生になってからなんですけど、私、幸せのハードルが低いので、なんかしら好きなものに触れたり、関わったりしてるときは、いつも幸せだし、楽しいなっていう感じです。
toki:ありがとうございます。さっき、「誰かと話したりおやつを食べてるときが楽しい」っておっしゃってたと思うんですけど、そうやって誰かと一緒にいることの何に楽しさを感じるんですかね?
千夏:基本的には、誰かと喋っているときが好きで。大学生とかになると、いろんな場所に行ったりっていうことする人多いと思うんですけど、あんまりそういうのは得意じゃないので。大学内で空きコマに、誰かとずっと喋り倒してるだけで、一番楽しいですね。
toki:お友達との交流はよくされるタイプですか?
千夏:いや、それが微妙なところで。大学内だとするんですけど、それ以外だと、積極的に誰かとどっか行こうよ、とかをやらないから。
それを、積極的に交流してるって言えるのかどうかは、曖昧なところかなと思います。
toki:そうなんですね。最近の生活の調子といいますか、毎日過ごしてて、どうですか?
千夏:ん-なんか、3年生になったっていうのもあるんですけど、結構、刺激とかがなくて。
何かしら、新しいことを始めたいなとか、もうちょっと自分の成長に繋がることを、内側から変えていかなきゃって思ったりしてます。
toki:へえ、なにか「変わりたい」っていうような気持ちがあるんですね。
千夏:その日その日は毎日楽しいんですけど、自分が進んでいるという感じがあんまりしなくて。やっぱり不安が大きいからだと思いますね。
toki:進んでいる感じがしないのは、不安ですか?
千夏:そうですね。なんかずっと、なんていうんだろう、時に流されるみたいな感じで生きてきちゃってるから。それはちょっと不安かもしれないですね。
toki:ちょっとした危機感みたいなものがあるんですね。
さっきは好きなことについてお伺いしたんですが、逆に嫌いなもの・ことは何かありますか?
千夏:結構嫌いなものが多いんですけど。なんだろう、衣替えとか片付けとか。
あと、人で言うと、何かを決めつける人がすごく嫌いで。先入観をもって、それだけでずっと話を進めちゃう人が苦手だなって思ったりしますね。
toki:なるほど。ご自身の中では、人と接する時に大切にしていることとか、何かあったりはしますか?
千夏:何かを大切にして話さないと、とは思うんですけど、やっぱり人と話すときはそういう意識が飛んでしまって。結構、お喋りに夢中になると、自分の方が話しすぎてしまうので。大切にしているというよりは、話す量が心配になっちゃう感じです。
toki:そうなんですね。ありがとうございます。
先ほど、手話サークルの話が出てきたと思うんですけど。そもそも手話はいつ頃から始められたんですか?
千夏:手話を始めたのは、大学に入るとほぼ同時で。大学の手話サークルに入ったときからですね。
toki:その手話サークルに入ろうと思ったのはどうしてだったのでしょう。
千夏:幼いときから「手話を学びたい」って思うことがたくさんあって。でもそのきっかけをたくさん逃してきちゃったから。じゃあやるなら入学するときだなと思って、始めました。
toki:ということは、手話はずっと前から学んでみたいとは思っていたんですかね?
千夏:そうですね。きっかけはたくさん転がってはいて。
例えば、小5くらいの時、たまたま耳の聞こえない人についての発表をする機会があって、そのときに手話とか、指文字ってものを知ったりしたり。
あと、コーラスを習ってたんですけど、コーラスで手話を使った歌をやったりとか。
その後に入った部活でも、手話で歌う機会があったり、そういう機会が何度もあったのに結局、ちょっとやって終わりみたいになっちゃって。その場限りというか。それをちゃんとやるなら大学だなと思って。
今思えば、高校生のときに『聲の形』を家で観て、そのときもやろうと思えばできたんですけど、高校時代はいろいろと、精神的にも時間的にも余裕がなくて。で、結局やるところまで繋がらなかったので。で、今に至るっていう感じですね。
toki:ほうほう。今まではなかなかやるところまで行かなかったけれど、でも大学では、実際に手話を学ぶという行動まで繋がって、今でも続けていらっしゃるんですよね。どうして大学では続いているんでしょうね。
千夏:なんか、大学になって初めて、人間関係が安定してきて。何かをする時間がやっと持てたっていうのがすごく大きいと思います。
小中高はずっと、何かしらに悩んでる期間がとにかく長くて。何かやろうって思っても、もうやりたいことがわからなくなっちゃうとか。なんかもう、何かを続けることができる精神状態じゃなかったような気がしますね。
toki:なるほど。大学に入って、何かに取り組めるような余裕が出てきたんですね。
千夏:はい。
toki:最近は何か、悩みとかってあったりされますか?
千夏:悩みっていうほどの悩みは今はあんまりなくて。ただ、さっきも言ったように、変化がないっていうか。
3年になって、そろそろ将来のことを考えないといけない状況なのに、まだ「これだ」って方向がはっきり決まってないから。そこについて莫大な不安はあったりするんですけど。
でも、ものすごく悩んでいることというか、深刻に、メンタルが落ちるぐらいに悩むことは、今はないと思います。
toki:大学3年生だと、そろそろ就職も視野に入ってくる時期ですもんね。ありがとうございます。
千夏さんは、周りの人からはどういう人だって言われることが多いですか?
千夏:その質問絶対来るなと思ってたんですけど。必ず、関係性によって言われることが違って。
大学だと、「よく笑う子だね」とか「明るいね」って言われるんですけど、小学校と中学校ぐらいまでは「おとなしい子」って言われたり。
あと「何考えてるかわからない」とか。高校の同級生に、今週会ったんですけど、そのときにも、千夏ちゃんって何考えてるかよくわかんない、ミステリアスで、どういう生活してんのかわかんないって言われて。
妹や家族には、「よく喋るね」とか「ひねくれてるね」って言われます。
toki:なるほど。今まで言われてきたことの中で、自分でもそう思うな、もしくは、本当は違うんだけどなってところって、何かありますか?
千夏:全部自分だと思うんですよ。言われることは違う、同じではないんですけど、いろんな自分がいると思っていて。
おとなしいっていうのも、本当におとなしい性格ではなかったと思うんですけど。でも人に見せるのが怖いからおとなしくしておこうとか、そういう気持ちが働いてるので。見えてる部分としては間違ってないのかなとは思います。
本当の自分がどっちかって言われたら、別にどっちでもないし、両方が自分の面なのかなっていうふうに思ったりしますね。
toki:自分のことを人に紹介するとしたら、「どんな人間です」といいますか?
千夏:うーん、なんだろうな。やっぱり人に言われたことの中だったら「明るい」とは思いたいけど、でも、あんまり「こういうふうに見られたい」っていうのは、人には言わないと思うので。わりと誰とでも話せる性格だっていうのは、伝えたいなと思います。
過去:今まで、さんざん人間関係でつらい思いしてきたの、このためだったんじゃないかっていうぐらい、すごく楽しいですね。
toki:千夏さんは、小さい頃はどんなお子さんでしたか?
千夏:小学校にいた頃から、中高と、段々変わっていったような気がするんですけど。ああ、でも、芯のところは一緒だったのかな。
とにかく自分のことを話したいっていうか。結構、自己アピールがつよい子だったな、っていうふうに思います。
toki:例えばこんなことがあったとか、覚えてることってありますか?
千夏:小学生ぐらいの頃に、母とお風呂から出てきて。私はずーっと当時観てたアニメの話をしてて。「ずーっと喋ってるね」って言われて。鳥じゃないんだからさって。ずーっと、喋ってたなって思いますね。
toki:それって、話をすることで、どうしたかったんですかね。自分に興味を向けて欲しかったのか、純粋に聞いて欲しいことがたくさんあったのか。
千夏:多分、聞いて欲しいだけだったと思います。特に自分のことを話してるっていうわけでもなくて。自分が見聞きしたことを、全部喋りたくなっちゃうみたいで。
これはやめておこうとかっていうのを、わざわざ考えない限りは、大体話してたと思います。
toki:小学校の頃とか、友達付き合いはいかがでしたか?
千夏:小学校の頃は友達がいなくて。
私、双子の妹がいるんですけど、誰かと仲良くなっても、妹の方が友達づきあいが上手だったので、みんな妹の方に流れていってしまって。
自分だけの友達っていう子がいなくて。大体、妹の友達が、自分の友達でもある、みたいな感じになっちゃうし。
妹に、千夏だけの友達を作ってよってすごく言われて。でも結局できなくて。親とか祖母からは心配されました。
toki:その状況に対して、当時の千夏さんは、どういうふうに感じていたんでしょう?
千夏:小3ぐらいまでは、そういう友達が欲しくて仕方なかったんですけど。それ以降は、あんまり。友達いないんならいいやって、結構開き直っていて。
小3ぐらいから、(妹は通っていない)習い事では仲間ができていたので、できないならできないなりに「それでいいじゃん」って思ってたんですけど。
それよりも、妹や両親や祖母が、友達を作らないことをすごく心配していて。作らないといけないっていうことの方に不信感を持ちました。
toki:そうなんですね。ちなみに家族構成をお聞きしてもよろしいですか?
千夏:家は、妹と父と母で。祖父母は、両方の祖父母が別々に暮らしてるっていう感じです。
toki:ご家族の雰囲気とか、関係性とかっていかがでしたか?
千夏:父は、とにかくじっとしてられない人で。いつもどっか出かけようって言っていました。寂しがり屋なので、どこ行くんでも「お前たちついて来い」みたいな感じで。いつも、どっか出かけていました。
toki:思い出に残ってるお出かけ先とかありますか?
千夏:結構どこにでも行ってたんですけど、毎年おもちゃショーに連れて行ってくれてて。あと、まちのお祭りに出かけていって、そこで買ったものを全部ひろげてみたら、和室が埋まっちゃった、みたいな感じで。結構浪費家なんですけど。
今思えば、こういう家族は珍しいのかなと思います。
toki:愉快な感じがしますねー。
ちょっと学校のお話に戻るんですけど、中学生になってからは、何か変化したこととか、もしくは印象に残っていることとか、何かあったりしますか?
千夏:小学校が公立で、中学は私立だったんですけど、雰囲気がだいぶ小学校と違ったんですよ。小学校は結構、頭がいい子だったり、察する力が強い子が多くて。
でも中学に入ってみたら、私立なんですけどすごく荒れていて。なんかあんまり、中学受験した自分を歓迎してる感じじゃなくて。結構戸惑いました。
友達は一応いたことはいたんですけど、小学校でも中学校でも、浮いてはいて。中学でも結局、ちゃんと友達だって言える友達はそんなにできなくて。楽しかった、とは言えないなっていう感じでした。
toki:そうなんですね。私立ということは、受験されたんですね。受験はそもそも、どうしてすることになったんですか?
千夏:小5までは絶対に公立に行こうって思っていて。吹奏楽部に憧れていたので、そのつもりだったんですけど。
小5の秋ぐらいから、トイレに入ってるとドアを叩かれたりとか、今思えば軽いいじめなんですけど、そういうことをされていて。
で、小6になるちょっと前に、母方の祖母が中学受験をすすめてきて。勉強はあんまりできる方じゃなかったんですけど、どうしてもいじめてきた上級生から逃げたくて、いじめに遭ったことは隠したまま、私受験するって言って、しました。
toki:なるほど。理由は今の環境から逃れるためだけど、それはご家族には伝えず。
千夏:そうですね。どうせ逃れるんだったら、からかってくる男子も好きじゃなかったから、女子校に行こうと思って、そうしました。
toki:中高一貫ですか?
千夏:はい。
toki:中学では、部活は何か入っていましたか?
千夏:結構ハードなミュージカル部に入っていて。そこも結構、人が減っていってしまって。
最初は楽しいなとか、憧れとかで入ったんですけど。入ってみたら、全然自分には合っていなくて。ただ辞めるきっかけもなくて。迷惑かけまくり、トラブル起こしまくりだったんですけど、結局ずっといましたね。
toki:そこで、やめようっていう思考に至らなかったのって、なぜなんでしょうね。
千夏:やめるにはまず、ちゃんと相談をして辞めていかないといけなかったし。あとは、かなり小規模な中高だったので、やめるとやっぱり、クラスの雰囲気とか、いろいろ言われちゃったりするっていうのが怖かったんだと思います。
toki:そうですか。
千夏:多分親からいい子だって思われたい面がすごく強くて。それが一番だったと思います。
toki:親からいい子で思われたい、という意識は、いつ頃から自覚されてたんですか?
千夏:多分もともとそういう面はあったと思うんですけど、しっかり自覚したのは、中学入ってからだなと思っていて。
父の二面性が結構強くて。すごく家族サービスはしてくれるんですけど、自分のこだわりと合わないと、ものすごく怒ったり、制限をしてきたりする父で。
それで、何が何でも学校には通わないといけないって思ってたし。何が何でも今やってることは頑張らないと、っていう気持ちが強かったですね。
toki:うんうん。なるほど。
中学・高校時代は、あまり楽しかったとは言えないとお話しされてましたよね。そんな中で、中高の6年間という短くはない期間、千夏さんはどんなことを考えて過ごされていたのでしょう?
千夏:そのときは、全部、自分の中に起きてることなんだけど、自分の中に起きていない、みたいな感じで。そういうふうに捉えることによって、耐えてたっていう感じが強いです。
toki:そうして耐え抜いた先に、こうなりたいとか、こういう未来が待っててほしい、みたいなことって当時考えていたりしていましたか?
千夏:いやなんか、そもそも未来が待ってるっていう感じが全然なくて。いつ(人生が)終わりになるんだろう、っていうふうにずっと思っていたから。
大学に入ってみて、そういうのがやっと終わって、全部リセットされたなっていうふうに今は思うんですけど。当時は、大学にも全く期待はしていなかったので。そういうことは考えてなかったですね。
toki:そうだったんですね。
では大学生活の方も伺っていきたいんですけど、そもそも進路選択の段階では、どんな思考で、どんな大学を選んだのでしょうか?
千夏:まず、ずっと日本文学をやりたいって思っていたので。他にも、これにしようかなって思っていた分野はありつつ、結局最後まで変わらなかった感じで。
そっから、どこの大学にしよう?は、もうかなり迷いに迷って、高3の夏まで決まらなかったんですけど。ずっと迷って、いろいろ条件を照らし合わせていって、ここが、いいところが多いからこっちにしよう、みたいな感じで決めました。
toki:日本文学はどうしてやりたいと思っていたんですか?
千夏:このジャンルが、とか、この作家が、っていうのは特になかったんですけど。ずっと幼い頃から、なんとなく憧れが強くて。
中3のときに、修学旅行で源氏物語に出会ったことで、私やっぱりこういうのやりたいんだって思って。結局大学入ったら、近代文学に興味を持っちゃったんですけど。そういう感じです。
toki:文学の、どういうところに惹かれたんですかね?
千夏:どういうところなんだろうな。なんか、あまりにも身近にありすぎたから、どういうところかっていうのは自分でもわかんないですね。
toki:感覚的に、みたいな感じですか?
千夏:そうですね、はい。
toki:それで、大学受験はされたんですよね。
千夏:そうですね。ただ、一般受験じゃなくて、指定校だったので。その指定校のために面接をして。で、面接終わったらもう、合格、みたいな感じでした。
toki:なるほど。
大学に入学して、2年間、学生生活を送られたと思うのですが、どうですか? この2年間を振り返って。
千夏:本当に自分を受け入れてくれる人が多いというか。今まで、さんざん人間関係でつらい思いしてきたの、このためだったんじゃないかっていうぐらい、すごく楽しいですね。
toki:そんなに。すごい楽しいんですね。大学生活が。
千夏:はい。
toki:大学生活が始まって、一番変わったなと思うことってなんですか?
千夏:変わったと思うのは、これまでは自分から何か気を遣ったりとか、動いたりっていうことをしてこなかったんですけど。会話をするときに、ただただ話すだけじゃなくなったなとは思いますね。
これは聞いちゃいけないかなとか、そういうのを初めて、大学で考えるようになりました。
toki:ほうほう。今まではあまりしてこなかったけど、大学生になってそういう変化が起きたのって、なぜだと思いますか?
千夏:多分なんですけど、ずっと小中高って、ほぼ自分の家の近くの地域の学校だったので。大体どれぐらいのお金を持ってる家庭で育ったかっていうのもほぼ変わらなくて。
だから、みんな前提が一緒だったんですよ。もちろん、成績が違ったりとか、家庭の考えが違ったりっていうのはあっても、ほとんど同じような子たちが集まっているところだったので。
初めてそこから抜けてみて、ああ、こういう前提ってこの子にはないな、って思ったりとかすることが多くて。それで、そうやって、相手の状況を探りながら会話をするようになりましたね。
toki:あーなるほど。だからできるようになったということですね。
千夏:それがいいことなのかどうかはまだわかんないです。探らない方が、もうちょっと楽しくありのままにできるって言われたら、それもそうかなと思うし。
だから、できるようになったというよりは、単に変わったっていう感じですね。
toki:千夏さんにとって、これまでの人生で一番楽しかったことって何ですか?
千夏:うーん、なんだろう。
常にみんな、誰かしらが、自分を楽しませようとか、そういう気持ちを持ってくれている人は多くて。なんか、ものすごく、ああ今が楽しいっていうときは、多分楽しいっていうことすら考えていないので。どこがピークっていうのはなく。
いろいろつらいことはあったんですけど、その中でもずっと、周りの人が楽しむ時間を作ってくれてたなって思いますね。
あ、でも、今まで一番楽しいって思った瞬間は、初めて、推してるアーティストができた瞬間かもしれないです。
toki:そうなんですね。
あとこれ、お聞きしたかったんですけど、双子であることって、千夏さんの人生に何か影響を与えていたりしますか?
千夏:ああ、かなりありますね。
なんか、双子っていうと特別みたいな感じに思われたりとか、似てる? って聞かれるのがすごく嫌で。実際全然似てないんですけど。
先入観を持たれたくないっていうところに多分繋がるんですけど、世間の双子のイメージとは全然違っていて。ただ年齢が一緒なだけなのに、なんでこんなに、みんな特別な感じで聞いてくるんだろう? っていうふうに思ったりとか。
あとは、年齢が一緒だから、教材の貸し借りできたり、親戚と一緒にいても、2人で喋ったりできたり、そういう楽しいところがある一方で、全部(環境が)一緒だからこそ、比べてしまうんですよね。
あの子はできるのに私はこうだ、っていうのがすごく強くて。今はあんまり、(昔と比べると)そういう思いって、だんだんなくなってきてはいるんですけど。それでもやっぱり、自分が選ばなかった方の道、こっちを選んだらこうだったんだろうな、みたいなふうに考えてしまうこと、今でも多いですね。
toki:うんうん。ありがとうございます。
ここまで20分間、過去のことについてお聞きしてきましたが、過去パートの最後に、過去についてこれは話しておきたいなってことは何かありますか?
千夏:過去で話しておきたいこと。
中学生ぐらいのときからかな、今こうやって喋っててあんまりわかんないと思うんですけど、「吃音」っていう言語障害があって。それを笑われたりとかして。
ある時、吃音についての説明を、クラスで先生がしてくれたんですよ。そのときに「千夏ちゃんは吃音があるから(他の人が吃音をからかってきたことが原因で)喋らなくなったんです」って言われて。私、中2ぐらいで喋らなくなったので、先生としては多分、喋らない私のために言ったと思うんですけど。
でも本当は、自分の意見を言うのが怖かったりとか、自分の声を噂されて、変な声だって言われたりして、いろんな思いがあって喋らなかったのに、なんか全部そういうのって消されちゃうんだと思って。それが過去で印象に残っていることだと思います。
toki:本当は色んな思いがあったのに、「吃音があるから」という一言に全て集約されてしまったというか。
千夏:そうですね、はい。
未来:ああ、なんかやっと、人生の中で本当に、本格的にここからスタートしていけるんだなっていうふうに思ってます。
toki:最後の20分間、未来のことについてお伺いしていきたいんですけれども。
1年後2年後、5年後10年後でも、何年後でも構いません。こんなことがしたいとか、どういうふうになっていたいとか、未来に対してのイメージって何かありますか?
千夏:前よりは色々と自分から動けるようになってきたんですけど、やっぱりもっと行動的な子はいて。そういうふうになりたいっていう思いがあるので。もっともっと、自分の殻を破れるようになっていきたいなっていうのがあって。
それとやっぱり、自分は周りに支えてもらってるばっかりだっていう思いが強いので。自立して、今度は自分が支える側になれたらいいな、っていうふうに思ってます。
toki:自分の殻を破ってやってみたいことってありますか?
千夏:ええと、そうですね。1人行動をもっといろいろやってみたい。まずやりたいのはソロ活ですかね。
toki:ソロ活。1人で何します?
千夏:最終的には1人旅行とか。1人焼肉とかしてみたいです。
toki:うんうん。なるほど。あとは、自分が支える側になりたいっていうような言葉も出てきたと思うんですけど、こういう人を支えたいとか、こんなふうに支えたいとか、今の時点で何か考えていることはありますか?
千夏:今やってもらっていることというか、家事とかも全部はできてないんですけど、まずはそういうのも自分から、全部できる能力というか、身につけていったら変わるのかなって思ったり。あとは、まだ具体的なことは考えてはいないですね。
toki:将来について、何をするとか、まだ決まっていないというお話も最初の方にありましたが、将来のことを思い浮かべたときに、どういう感情になりますか?
千夏:ああ、なんかやっと、人生の中で本当に、本格的にここからスタートしていけるんだなっていうふうに思ってます。
toki:大学卒業してからが、本当のスタートっていうような感覚ですか?
千夏:今ももう、始まってはいるんですけど。新しいステージに立つのは社会人になってからだなっていう感じがします。
toki:うんうん。その新しいステージに立つことに対しては、ワクワクするのか、それとも、どうなるんだろう?っていう不安が強いのかでいうと。
千夏:五分五分ですね。半分ぐらいは、なんか楽しみたいなっていう気持ちはあるんですけど。結構、心配性なので。でも表向きはそう思っていなきゃっていうのが強くて。本当は多分、9割ぐらいは不安なんじゃないかなと思ってます。
toki:でもワクワクもしていたり。
千夏:はい、そういう気持ちもなくはないです。
toki:なるほどなるほど。
では、遠い未来のことについてもお聞きしたいんですけれども…あ、千夏さん、今、おいくつですか?
千夏:20歳です。
toki:20歳か。この先、30歳とか40歳とかになったときに、どういう自分でいたら嬉しいですか?仕事でも、生活でも、何でもいいです。
千夏:ずっと、ドラマの主人公とかに憧れがあって。
朝ドラの主人公たちって、だいたい30代とか40代になると、何かしら見つけて、どんどん人と接して、っていうのをやってるから。自分もなんかそういう大人に。
今20歳って法律上は大人だと思うんですけど、本当に大人だって言える姿になれるのって30ぐらいだと思うので。誰が見ても大人だって胸張れるようになりたいなと思います。
toki:うんうん。どういう生活をしてたらいいな、みたいなものって何か思い浮かんだりしますか?
千夏:今が結構、自堕落な生活をしているので。メリハリがあって、規則正しい生活できてたらいいなっていうふうに今はイメージしています。
toki:なるほど。ありがとうございます。
千夏さんは、死ぬまでにやっておきたいこととかってありますか?
千夏:そういう質問って結構あると思うんですけど、パッとはあんまり思いつかなくて。でも死ぬまでに1回は、自分1人でどこかに、遠いところに行ってみたいっていうのがあるので。死ぬまでに日本一周してみたいです。
toki:はいはい。
千夏:あと今思いついたんですけど。noteにもちょっと書いてたんですけど、重松清さんっていう作家さんの本を読破してみたいっていうのをずっと思ってます。
toki:なるほどなるほど。
ちなみに、旅行の方からお聞きすると、などこかに行くとか、旅をすることによって、どういうことを得たい、みたいなものって何かあるんですか?
千夏:えー、なんかどこかに行って、行ったらこれを活かそうっていうのはあるんですけど。行く前からそれを考えちゃうと、そこにがんじがらめになっちゃうなって気がしていて。
今いるところと全然違う何かを感じ取ることはできると思うので。日本にはこういうものもあるんだってことを知って、今いるところに戻れたらいいなって思います。
toki:ありがとうございます。
あと、重松清さんを読破したいと。千夏さんは文学を勉強されてるということですが、文学に触れていて、どういうときに一番テンションが上がりますか? テンションの波のグラフがあるとして、そのグラフがピンって上に上がる瞬間とかってどういうときなんでしょう。
千夏:まず普通に読んでいて、その後に新たな発見があったり、学んでいることで言うと、こういう解釈もありなんだっていうのを知ったときに、ピンってたちますね。
toki:今までで一番、思い出に残ってる本ってなんですか?選ぶの難しいかもしれないですけど。
千夏:今までで一番。『よろこびの歌』っていう、宮下奈都さんの本。その本をずっと、何かあったときに必ず読むようにしているので。その本です。
toki:どんな部分が残ってるんですかね?心に。
千夏:この名前、千夏っていう名前もそこからとっているんですけど。自分の現状に満足はしてないけれど、簡単に、この環境やだなって愚痴をこぼすことはしない。ただ、だからといってすぐには進まないんですけど。それでも、人と関わって、進んでいく方法を模索しているというところが、すごく、自分にも重なるんです。
ふてくされちゃったりすることが自分は多いから、それをしないで生きるのってかっこいいな、と思いながら読んでますね。
toki:お話を聞いていると、すごく、変化していきたい、今の自分をアップデートしていきたいという気持ちの強さを、私はすごく感じたんですけれども。
でも世の中には、このままの自分でいいやと思う人もいると思うんですね。その中で、変わっていきたいと思う、その気持ちの源泉ってどこにあるんですかね。
千夏:やっぱり自分は、大学に入るまではずっと人間関係も失敗してきたし、周りに対しても常に不信感を持ってきちゃった部分があって。
でも、気持ちを持ってるだけでは何も変わらない。なのにそうやって過ごしてきてしまったので。
今の自分のままありのままでいたいっていう思いはありつつ、全てを好きになるっていうのができなくて。今の自分は否定はしないでおくつもりなんですけど、でもやっぱりこういう部分は変わらないと、今のままじゃいけないっていう危機感が、常にあるっていう感じですね。
toki:なるほど。ありがとうございます。
20年生きてきて、人生の一番の学びって何ですか?
千夏:一番の学びは、やっぱり人を決めつけないっていうのが強くて。
そういう思いを持っていても、何かポロって、あの人はこうだとか、こういうものはこうだっていうふうに言ってしまって。あ、これっていけなかったんだって、のちのち気づくことがすごく、本当にすごく多いので。
それを、いろいろ失敗とか挫折とかから学べたっていうのは、大きいなと思います。
toki:うんうん。
千夏さんは、自分が死んだとき、自分のお葬式でどういう人だったと言われたいですか?
千夏:そうですね。あんまり他人にこう言われたいっていうのは、特に考えたことがなかったんですけど。でもやっぱり、何かしらいいことを言われたいっていうのはやっぱり強くて。
自分の知らない、いいところを、その人が何か知っててくれたらいいなって思います。自分の魅力って、こうしたいって思っても、思うようにはいかないと思うから。自分の知らない、いいところを、葬式が終わったときにポロって言ってくれてたらいいなって思います。
toki:なるほど、「自分の知らないところ」を言ってもらいたい、という答えは初めて聞いたような気がします。ありがとうございます。
毎回、皆さんにもしもの未来について質問しているんですけれども。もしも、千夏さんが一人っ子だったとしたら、どういう人生になっていたと思いますか?
千夏:一人っ子だったら…。中学時代、受身だってすごく言われて学校生活を送ったんですけど。もっともっと自分の殻に閉じこもっていただろうなっていうのは思って。
言われたくないこととか、すごく妹に言われて、喧嘩ばっかりしてたんですけれど、そういう刺激がなかったら、もっと親の言うことは絶対だって思ってたなっていうのはすごく思います。
toki:ある意味、妹さんが殻から引き出す存在だったんですかね。
千夏:そうだと思います。
toki:もう一つ、もしもの質問を。
もしも、小学生の時、千夏さんがクラスの全員と友達だったとしたら、千夏さんの人生ってどういうものになっていたと思いますか?
千夏:うーん、なんか良くも悪くも、人に愛されるって当たり前だなって、自分のいいところを見てくれて当然っていうふうに思っていたと思います。
toki:実際は当然とは思っていないですか?
千夏:全然、思ってないですね。
toki:なんだかすごく、達観していらっしゃるというか、自分のことを客観的に捉えることが上手な方なんだなって印象を受けました。
千夏:初めていわれましたね。
toki:本当ですか? すごく、自分や、自分を取り巻いている状況を冷静に捉えていらっしゃる感じがします。
ちなみに無名人インタビューには、どうして応募してくださったんでしょう?
千夏:ずっと家にいて、自分で空っぽだなっていうふうに思っていて。どうせ空っぽなんだったら、今までの自分の人生全部言っちゃえば、本当に空になれるなと思って。
toki:そういうことだったんですね。どうでしたか? 受けてみて。
千夏:最初は面接みたいで怖いなと思ってたんですけど。自分ってこんなこと言うんだって思ったり、思いのほかいろいろ話せたので、とても良いものになったんじゃないかなって感じてます。
toki:よかったです。
そろそろ1時間経ってしまうんですけれども。最後に何か、言い残したことはありませんか?
千夏:無名人インタビューを受ける前は、インタビューって特別な人が受けるっていう感じが強かったんですけど、本当にそんなことはなかったので。何か悩んでる人も、悩んでない人も、どういう人でも、ちょっとでも興味を持ったら、みんなやってみたらいいなと思いました。
toki:うれしいです、そう思っていただけて。ありがとうございます。
千夏:ありがとうございました。
あとがき
中学生の頃、学級委員長をやっていました。
いきなりなんの話?とお思いでしょうが、まあ聞いてください。
自分でなりたくて立候補した学級委員長。
でもその肩書きのおかげで、中学時代、友達を作るのにはとても苦労しました。
なぜならみんな、私のことを「学級委員長」というフィルターを通してしかみてこないからです。
学級委員である、ただそれだけで「真面目」「優等生」というイメージをもたれ、
みんなは呼び捨てで呼ばれているのに、私は苗字にさん付け。
当時流行っていた恋愛ドラマの話をすれば、「そういうドラマとか観るんだ!」と驚かれました。
それくらい観るわ。
私も中身はみんなと同じ、ひとりの女子中学生なのだから。
学級委員長になんか立候補しなければ、呼び捨てで読んでもらえたんだろうか、みんなと同じ目線で仲良くなれたんだろうか、もっと友達を作れたんだろうか、と思ったこともしばしば。
でもまあ、自分がそうやって他人によって作られたフィルターを通して接された経験があるからこそ、自分は同じことは人にはしない、という決意を持てたこと、そうやって、人間としての成熟が少し進んだことは、よかったのかもしれません。
インタビューの中で、千夏さんが度々口にされていた「決めつけないこと」。
自分にも、重なる部分があるなと思いながら、お話を聞いていました。
個人的に今回、一番心に残っているのは、
「今まで、さんざん人間関係でつらい思いしてきたの、このためだったんじゃないかっていうぐらい、すごく楽しいですね」
という一言。
今が楽しい。
それに勝るものはないと思います。
生きているのは今、この瞬間。
その今を楽しいと言い切れること、それ自体が、とても素敵なことですよね。
新たなスタートをきった千夏さんのこれからの人生が、ますます輝かしいものになることを祈って。
千夏さん、どうもありがとうございました!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回の無名人インタビューもどうぞお楽しみに。
【インタビュー・編集・あとがき:toki】
【文字起こし:あおい】
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