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unknown.-誰も知らない答えを探してる②-

あの日だった。
私の人生がやっと一歩動き出した日は。

友兄に言われた答えを知ってる人たちは世界中にいるらしい。
にわかに信じがたい話だが、
のちにそれがウソではないとわかった。
それは日本人にとってはかなり抵抗があり、
怖いとも思える存在。

自分「宗教⁉︎」

まさかそこに繋がるとは思ってなかった。
宗教といえば世界人口の30%近くを占めるキリスト教、
25%近くを占めるイスラム教が目立つ。
その他ヒンドゥー教、ユダヤ教などがある。
そして日本は仏教の国と言っていたりいなかったり。
名前とその規模は高校生の自分でも多少知っていた。
彼らは確かになんのために生きているかの答えを持っている。
世界の大勢は答えを知っていると考えると、
自分は世界の中でのマイノリティサイドなのだと悟った。

その瞬間だった。

私は、生きている世界が小さすぎると気づいた。

友兄「比較宗教おすすめだよ。」

初めて聞いたワードだった。
それぞれの宗教を回ってそれぞれのことを知り、
それぞれの観点から世界を見るということらしい。
全く知らない世界の扉が開こうとしている予感がした。

が、やっぱり怖い…というのが正直なところ。

自分「…洗脳とかされないんですか?」

友兄「その疑問をしっかり持っていればきっと大丈夫だよ。」

友兄も実はその疑問を持っていて、
過去に比較宗教をしたことがあるらしい。

自分「それで、答えは見つかったんですか?」

とってもせこいことをしようとしていることは自負している。
海賊王の宝が本当にあるのか冒険する前から知ろうとしているようなもの。
私はきっと麦わら帽子の船長に殴られていただろう。

友兄「今言ってもきっと理解できないし自分の体験を通して見つけた方が自分のためになるよ。」

この人は相変わらず答えてくれない。
…だけど少しホッとした。
この先のワクワクがその場で消えてしまうところだった。


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帰宅してからも、頭の中はずっとぐるぐるしていた。
次の日も、そして次の日も。
受験まであと数ヶ月のところでとんでもない出会いをしてしまった。
あの人と会わなければこんなことにはならなかっただろう。
机に向かって過去問集を広げ、
シャーペン片手に白紙のノートを見つめる。
答えを書くはずの罫線には頭の中の疑問文が浮かび出す。
あんな複雑な解の公式がどうやってできたのか?
この二次関数は現実世界でどうやって応用するのか?
現実世界に存在しない虚数なんてなんの意味があるのか?
お風呂に浸かろうものなら疑問は加速する。
湯気って水面から少し上がったところで出てるけどなんで?
水って何度からお湯って呼ぶんだ?熱い水って言わないよね?

だめだ、何も手につかない…。

考えても全く意味のないことが次から次へと出てくる。
受験勉強は一向に進まない。
ついには一つひとつスマホで調べ始めた。
解の公式の成り立ちを理解するついでに、
円周率が約3.14である理由、
湯気が水面から少し上がったところで出る理由のついでに、
雨や雷が降る仕組みまでも。
全く意味のない疑問が解決していくことに面白さを覚えてしまった。

小さい頃大好きだった恐竜についても、
実は恐竜の色はテキトーに充ててることを知ったときは、
思わず一人で笑ってしまった。

なんだか子供心を取り戻した不思議な気分になった。
純粋に知りたいと思ったことを調べて知るということが、
自分にとっては何よりも楽しかった。
役に立つか立たないかはどうでもいい。
その日、自分の探究心の強さを思い出した。

そして、私は受験2ヶ月前にして、
受験勉強を捨てることを決意した。

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