unknown.-誰も知らない答えを探してる⑦-
店員「メニューどうぞ。」
あ、カフェだ。
A「カフェラテと〜、スイカマンゴーで。」
え、なにそれ。
自分「とりあえず、カフェラテで。」
A「シーシャ初めて?」
自分「シーシャ?」
A「日本では水タバコって言われてる。」
え、タバコ?しかも水?
覚醒剤の隠語か何か?
タバコすら吸ったことないし、、、
まあ、一応20歳だけど。
自分「ちょっとトイレ行ってきます。」
シーシャについてググってみた。
(すぐ調べられる、なんていい時代だ。)
シーシャは水タバコとも呼ばれ、
水蒸気とフレーバーを使った中東の嗜好品らしい。
もちろん日本でも犯罪ではないが、
20歳以上の制限はある。
はぁ、良かった。
トイレから戻り、
Aさんにシーシャが初めてだと伝えると奢ってくれるとのこと。
好きなフレーバーを選ぶようだが、
よくわからないのでスイカフレーバーを注文した。
A「飲み物は?」
メニューにはなんと、
ドリンクセット2,000円の文字が…。
なんて高いお店だ。
自分「あ〜…じゃあアイスココアで。」
とりあえず飲み物も注文できた。
10分後。
何やら大きなガラス製の壺みたいなものが運ばれてきた。
てっぺんには熱々の四角い炭が何個か乗っていて、
壺から長いホースのようなものが出ている。
戸惑っている自分の横では、
Aさんが早速ホースの先端を吸い始めた。
「(ゴボボボボ)」
壺の中に入ってる水が沸騰したかのように音をたて、
Aさんは大量の煙を口から出している。
異様だ。
A「吸ってみなよ。」
勇気を出して吸ってみた。
「(ゴボボ)コホッコホッ!」
吸ったはいいものの、
一瞬でむせてしまい咳をしてしまった。
なんだこれ、無理だ。
A「アハハハハ、まあそうなるよね。」
めっちゃ笑われてる。
A「肺呼吸じゃなくて腹式呼吸で吸ってみな。」
ん?腹式?
「(ゴボボボボ)」
おお!むせずに吸うことができた。
スイカの香りもする!
そして大量の煙が出る!
なんだこれ、おもしろい!!
A「おれはフレッシュ系のフレーバーには甘い飲み物が好きなんだよねぇ。」
そう言われて自分のココアを飲んだ。
うん、合う!!
慣れないせいかたまに腹式ができずに、
何度かむせてしまうこともあったが、
次第に上達してきた。
自分「さっきちょっと調べたんですけど、これ中東の文化なんですか?」
A「そう、イスラム教では飲酒・喫煙が禁止されてるから代替品だね。」
なるほど。
A「物にもよるけど基本的に日本のシーシャはニコチンは入ってなくてタールが微量に入ってるパターンが多いね。」
喫煙とシーシャのラインが曖昧になったが、
タバコの代替品ということらしい。
ちなみにその店でのシーシャは1時間半くらい楽しむことができるそう。
時間と共にフレーバーが弱くなるからとのこと。
1時間半ほどAさんと色々話していた。
比較宗教をするに至った経緯や、
キリスト教で質問攻めしたことなど、
包み隠さず全て話した。
Aさんも同じように過去について話してくれた。
そして彼はムスリム(イスラム教徒の名称)とのこと。
自分「トイレに行ってきますね。」
トイレでふと思った。
イスラム圏と言われる中東地方の人たちは、
こうやって嗜好品を長い時間楽しむ文化がある。
日本では1本数分のタバコや、
居酒屋で記憶がなくなったり生産性のない話で盛り上がるためのお酒。
イスラム教徒では1日に何度も数分間のお祈りの時間がある。
日本では忙しさのあまり1日が一瞬で過ぎ去ってしまう。
なんだか時間の感覚や1日ごとの噛みしめ方の違いを感じた。
さあ、そして本題に入る。
自分「Aさん一個聞いてもいいですか?」
Aさんは楽しそうに頷く。
自分「どうしてムスリムになったんですか?」