政治団体の作り方
あけましておめでとうございます。
昨今、林社長による使途不明党設立が話題となっていますね。
事実として、政治団体を設立することは、政治活動の推進や特定の候補者の支援に役立つだけでなく、税制面での恩恵が期待できます。
しかし、その手続きは複雑であり、事前にしっかりと準備することが重要です。
そこで、初の記事として「東京都での政治団体設立手続きと注意点」について順番に解説します。
1. 政治団体の種類と目的を明確にする
政治団体を設立する第一歩として、団体の種類と目的を明確に定める必要があります。これは、団体の運営方針や法的な位置づけを決める基盤となります。
言うまでもないですが、目的に「節税です」とか馬鹿正直に書かないようにしましょうね。
1.1 政治団体の種類の把握
政治団体は大きく「政党」「政治資金団体」とその他に区分できます。それぞれの特徴を軽く押えておきましょう。
政党:特定の政策を推進し、選挙で候補者を立てることを主な目的とする団体。
政治資金団体:政党や特定の政治団体の資金管理を目的とする団体。
その他の政治団体:後援会や地域住民の政治的意見をまとめる団体など。
1.2 団体の目的
団体設立の際には、具体的な目的を明記する必要があります。一般的には以下の決まり文句が使われますがお好みでアレンジして構いません。
・政治上の主義・主張の推進(例:環境保護、地域活性化)
・特定の候補者の支援(選挙活動の補助や後援会の設立)
・政策に対する市民意見の集約と発信
2. 必要な書類の準備
政治団体の設立には、お役所仕事に特有の病的なまでに正確で詳細な書類の準備が必要不可欠です。不備がある場合、手続きが遅れる可能性があるため、十分に注意しましょう。
2.1 政治団体設立届
団体の基本情報を記載する書類です。団体名、設立目的、代表者および役員の氏名・住所、団体の連絡先および事務所所在地を記載します。
ここで、代表者は後援会会長などでなくても構いません。よく勘違いされているポイントですので注意しましょう。
会長や副会長というのは団体内部での位置付けですので、本申請には何も関係してきません。
2.2 定款
団体の基本的なルールを記載したものです。法人の定款と異なり、以下の内容を含める必要がありますので注意しましょう。
・団体の名称と所在地
・活動目的
・組織構成(代表者、役員、会員の定義)
・会計基準(収支報告の方法や寄付の取扱い)
2.3 会員名簿
初期会員の情報を記載します。以下の内容を網羅する必要があります。個人情報の取り扱いについて団体内で共通認識を作り、書面で残しておく方が良いでしょう。プライバシーポリシーは一般的な法人でも重要とされる部分です。手を抜かないようにしましょう。
・氏名
・住所
・連絡先
3. 東京都選挙管理委員会への提出
準備した書類を、東京都選挙管理委員会に提出します。東京都以外の場合は管轄の選挙管理委員会となる場合が多いですが、場合によります。電話すれば丁寧に教えてもらえるので自力で調べて悪戦苦闘するよりも、とりあえず電話して聞いて回る方が良いでしょう。
なお、この段階では、書類の形式や内容が正確であることが求められます。お役所仕事です。
3.1 書類の提出方法
提出は以下の3つの方法で行えます。が、私個人としては基本的に窓口提出をオススメします。郵送はミスがあった場合に時間か必要ですし、オンラインは事前に登録が必要で面倒です。公的機関運営のwebサイトはどれも大体UXがお粗末なので古き良き窓口提出を行いましょう。
・窓口提出:東京都選挙管理委員会の受付窓口に直接持参。
・郵送提出:必要書類を封筒にまとめ、指定された住所に送付。
・オンライン提出:一部の手続きでは、オンライン提出も可能です(事前に確認が必要)。
3.2 受理と審査
提出された書類が受理されると、内容の審査が行われます。不備があれば修正依頼が届きます。不備がない場合、団体として正式に認められます。
3.3 法務局への登記
選挙管理委員会での手続きが完了した後、団体の所在地を管轄する法務局に登記を行います。この登記によって、政治団体としての活動が正式に認められます
4.やっておいた方がいいこと
わざわざ言う必要もないと思いますが、節税目的の政治団体設立はあまりよろしいものではありません。
「あくまで政治活動が目的です」と胸を張って言えるよう、一般的な政治団体が行っている事はしておいた方が良いでしょう。
4.1 設立趣意書の作成
団体設立の背景や目的を記した文書です。設立の正当性や活動方針を明確にするために重要です。
しかしながら政治団体設立の目的は節税なのでそんなものはないでしょう。
その場合は他の政党から適当に引用しましょう。もちろん一言一句同じではいけませんが、ある程度内容が重複するのは仕方の無いことです。胸を張ってパクりましょう。
4.2 役員の選出
代表者や会計責任者を含む役員を選出します。役員は、団体の運営や財務に関して責任を負います。
信用できる友達や家族に頼みましょう。
4.3 事務所の設置
事務所を設置し、団体の活動拠点とします。事務所住所は設立届にも記載されるため、事前に確定しておきましょう。
営利法人の場合はバーチャルオフィスが使用できますが、政治団体の拠点としての利用が容認されているかはしっかりと確認するようにしてくださいね。
賃貸の場合も同様です。
4.4 銀行口座の開設
資金管理のために、団体名義の銀行口座を開設します。寄付金や収支報告の管理がスムーズになります。
ネット銀行は不可ですので注意してください。よくここで引っかかる方がいますが古き良きに従い銀行窓口に行きましょう。
4.5 印鑑の作成
政治団体専用の印鑑を作成し、書類や契約に使用します。
5. 節税効果と注意点を抑えましょう
政治団体の設立には税制面でのメリットがありますが、遵守すべきルールも多く存在します。
当然ながら、本来政治団体というのは国民の皆様の生活をより良くするために設立されるものですので、「俺は節税目的だから知らねえよ!」みたいなことは許されません。
ルールの範囲内で上手く立ち回りましょう。ルールを守れないのであればそれは政治団体とは言えません。
特に、収支報告義務(毎年選挙管理委員会に収支報告書を提出する義務)には気をつけましょう。
内容に虚偽がある場合、罰則の対象となることがあります。デートで使ったレストラン代を政治活動の費用として計上してはいけません。
ただ、「使途不明金」を計上すれば領収書すら必要ありませんのであまり気にしなくて良いでしょう。