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1年間でマダミスを6作発表してみて

皆さん、こんにちは。秋山真琴(あきやま・まこと)です。

本記事「秋山真琴のミステリーラボラトリー」は『アナログゲームマガジン』で不定期で連載している記事です。本記事の後半は定期購読者のみが読める形式となります。試し読み部分で「面白そう!」と感じていただけましたら、ぜひ定期購読(月額500円、初月無料)をご検討ください。
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「秋山真琴のミステリーラボラトリー」は、私が、マーダーミステリーに関して勝手気ままに書く連載です。

今回は、マーダーミステリー作家として、今年1年を振り返りつつ、来年の計画や展望についてをまとめます。

それでは、行きましょう。

byぺこらさん

通過されたくない気持ちとの向き合い

昨年、2023年の時点において、私は通過という言葉に嫌悪感を抱いていました

マダミスを1作、仕上げるのはたいへんな労力が掛かります。

遊びたいゲームを積み、家族との時間を手放し、何日も創作と向き合う必要があります。時間的な犠牲もおおきいですし、精神的に気持ちが下を向くこともあります。

それでも創作をやめないのは、私のなかに、まだ世界に存在しないものを、この手で作り出したいという気持ちが強くあるからです。

万感の想いをこめて発表した作品に対して、通過という言葉を使われたとき、私は傷つきました

しかし、遊び手に「通過という言葉を使わないでください!」と呼びかけるのは理不尽な話です。

何故なら、作り手が自由に創作し、自由に表現できるのと同じように、遊び手もまた自由に解釈し、自由に表現できるからです。

通過という言葉を妨げることはできません。

そこで私が考えたのは「通過という言葉を使えなくなるくらい、深く心に残る作品を、それもいっぱい作ろう」でした。

前者は、立ち止まらざるを得なくさせるアプローチ。

後者は、作品数が多くて、通過しても通過しても通過しきれなくさせるアプローチです。

こうして、私は「2024年は、とにかく心に残る作品をリリースしよう」と心に決めました。

ちなみにマダミスという略語に対しても、得体のしれない違和感を覚えていて、当時の私は執拗にマーダーミステリーと記載していました。……この話は、また後述します。

店舗型マダミスとそれ以外のマダミス

もう1点、2023年時点で、私は4作のマダミスを発表していました。

  • ループ探偵の憂鬱

  • 水平線に沈むアリア

  • 月百合が咲く時

  • 日蝕に捧ぐ鎮魂歌

『ループ探偵の憂鬱』『水平線に沈むアリア』『月百合が咲く時』の3作はいずれもRabbitholeさんにお預けし、『日蝕に捧ぐ鎮魂歌』のみ自分でオープン公演を企画したり、呼ばれたときに出張していました。

4作は、いずれも店舗型や公演型と呼ばれるものです。

2019年に『ループ探偵の憂鬱』を作り始めて以来、長らくこの形式を続けてきた私にとって、マーダーミステリーは店舗型とそれ以外の2種類でした。そして、この2種類は、どちらもマーダーミステリーと呼ばれるけれど、実態は似て非なるものであると認識していました。

この考えは、ちょうど年始に言葉にしていました。

店舗型の公演は、基本的に3~4時間に収める必要があります。

また、全体の満足度を上げなければならないですとか、店舗特有の条件があります。

こういった背景から「店舗側の事情に縛られることなく、パッケージ型で自由にやった方が、より自分らしさを表現できるのではないか?」と考えました。

こうして、2024年の方針が定まりました。

  • 多作(通過されないため)

  • 心に残るもの(通過されないため)

  • パッケージ型(可能性を模索するため)

後、ここまで書き忘れていましたが、私が好きなマーダーミステリーベスト10 2023で振るわなかったことも2023年の出来事としてショックでした。性格の根っこが負けず嫌いなので、反骨精神が前向きに働いた、というのもあります。

さて、それでは前置きが長くなりましたが2024年の成果を見ましょう。

駆け抜けた2024年の成果

  • 今宵バー17次元にて(パッケージ型)

  • 金色のプラタナス(パッケージ型)

  • 咎暮館の殺人(公演型)

  • 土牢に悲鳴は谺して(公演型)

  • 名探偵一二三四五六と十の珍事件(UZU)

  • マーダーミステリー・オブ・ザ・デッド:ビフォア・アライバル(UZU)

いや、がんばりましたね……!

これは、もう自分で自分を褒めていいレベルですよ!

この上に「たいへんよくできました」がありましたが、そちらは温存します。

と言うわけで、心に残るもの……は遊んでくださった方が、個々に判断するものなので置いておくとして、

  • 多作

  • パッケージ型

の2点は達成できたと言えます。

また、上記のほかにボードゲーム作家の活動として、2024年は『終わりから始まるクロニクルBOX』『VRマスカレイドトリック』『車窓でビンゴ』『楽園島物語 -ミステリーデュオ-』も手掛けたので、もう、ほんとうに息も絶え絶えで死ぬ! ってくらい活動しました。

いや、ほんっと、がんばりましたね……!

自画自賛はこの程度にしておいて、実際に6作をリリースした結果、新たな地平が広がったので、その景色を共有します。

マダミスは通過されていい

これが私の結論です。

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