不思議な鉄拳の夢を見た。
学生時代の友人から久々に電話があり、「最近鉄拳8買って準にハマってるんだよね。多分俺が勝つと思うんだけどちょっと対戦しない?まだお前鉄拳やってる?」と聞かれたので「まぁ細々とだけどやってるよ^ ^ じゃあ今からオンラインで対戦しようか。俺も準でいいよ」
同キャラで圧勝してこの世間知らずに現実を思い知らせてやろう…
開幕から66WP(走って発勁打って有利取る技)を連発する俺の準。相手は横移動どころかその場から微動だにすることもできない体たらくだった。技自体知らないレベルなのかもしれない。
「ハッハッハ!いつまでそうやって亀のように固まっているつもりかな?この技はガードされても相手の体力を削る!君の残り体力はもはや風前の灯だ!」「くっ…」
みるみる内に体力は削られジャブが当たってもKO圏内というところまで追い詰めていた。
「ひと思いに葬ってやろう…そして生涯悔いるがいい。破壊神に楯突いたことをな」「破壊神!?お前は既に破壊神になっていたのか!」「今更後悔しても遅い!」俺はそう言い放つと渾身の力を込めて生ローを打った。
「ずっと待っていたぜ…この瞬間を!」高らかに叫ぶと友人は下段捌きをした。「チィッ!だが少々死期が遠ざかっただけのこと…」「究極召喚!ムカデ戦車!」「え?」
相手の準は突如現れた長さ20mを超えるムカデの形状をした悪趣味な戦車に乗って頭上からこちらを見下ろしていた。
「究極召喚に成功するには3つの条件がある。①対戦開始から一度もレバーとボタンに触れないこと②残り体力を5以下にすること③とどめとなる相手の下段を捌くこと。今その条件は全て整った。轢けムカデ戦車!」
3Dシューティングゲームのような画面に切り替わり所狭しと追いかけてくるムカデ戦車。情けなく逃げ回ることしかできない俺の準。しかもレバーレスなのでめちゃくちゃ操作しづらい。「クソ…あと1発でも当てれば勝てるのに!」
「言い忘れていたが、ムカデ戦車で移動中は30F毎に5ずつ白ゲージが回復していく。つまり…」ふと見たら相手の体力は既に半分程まで回復している。「何ぃッ!」
…いやこのまま最後まで逃げ回れればタイムオーバーで俺がギリギリ勝てるくらい…か?
「タイムオーバーまで逃げ切れるなどとは思わないことだ」更にスピードを速めた戦車は今にもぶつかりそうになっている。「やめろぉぉぉぉ」
友人は溜め息をつきながら「…LKで左横転、RKで右横転だ」と言った。正にぶつかられる寸前だったが言われた通りにLKを押したら左側に横転して九死に一生を得た。「うおーマジかサンキュー!」
ぶつかる瞬間にタイミング良くLKやRKを押すことで突撃を避けられることが分かった。「この期に及んで敵に塩を送るとは…浅はかにも程がある!このまま逃げ切って今度こそ俺の勝ちだ!」「ああ、言い忘れていたがその横転は一度使用する毎に5ダメージを食らう」
見るとこちらの体力ゲージは半分以上無くなっており相手の体力ゲージは8割程度まで回復していた。「さっき驚いたのはこんなネタも知らない破壊神がいるのかということに対してだよ」「ぐわぁぁああああ」
タイムオーバー寸前の所でムカデ戦車の突撃を食らって俺の準は息絶えた。2ラウンド目すら無かった。1ラウンドで戦いは終わってしまった。
「あのー…俺実はシャオユウメインなんだけど良かったらもう1戦やらない?」と情けなく言った辺りで目が覚めた。