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【技術】映像送信プロトコルについて


■ 1. 初めに

株式会社ユニゾンシステムズ、S.Kと申します。
ユニゾンシステムズでは、iPhone/android端末で撮影した映像/音声のライブ送信について取り組んでいます。

今回は映像/音声のライブ送信での映像送信プロトコルについて、少しだけ説明をしていきたいと思います。

■ 2. 映像送信プロトコルについて


映像のライブ配信について、「YouTube live」や「TickTok live」、「Facebook」、ゲームのライブ配信等、いろいろなところでライブ配信が使われています。

また、被害を最小限に抑えるために川の氾濫を定点カメラで監視している事例や、被害の現場を知ってもらうためにスマートフォンを活用したライブ配信も利用されているようです。
スポーツでの試合配信のように、映像/音声のライブ配信は「できるだけ遅延時間を短く、そして、高画質、より安定して配信ができる」ことが求められています。

そんなライブ配信を実現する為の映像送信プロトコルについて、かつてはAdobe Flash(RTMP)、Adobe HDS、Microsoft Smooth Streaming、Apple HLS といった規格が乱立していました。

2010年代前半ぐらいまではRTMPが多く利用されていたのですが、RTMPそのものはAdobe「Flash」で利用するために策定されたものであり、Flashの終了に伴いRTMPは衰退することになりました。

そのためRTMPは新たな規格に追従できない(規格の更新がされない)という問題があります。現在は徐々に HLS/Mpeg-Dashが使用され始めているという状態になっています。

そんなRTMPですが、RTMPインジェストの後継として期待されている一つにSRTプロトコルがあります。今回はこのSRTプロトコルについて、もう少し説明したいと思います。

※ RTMPインジェストとは エンコードされた映像や音声データをストリーミング配信用にサーバーへ送信するプロセスのこと。

■ 3. SRTプロトコルについて

SRT( Secure Reliable Transport )は、Haivision社によって独自に開発されたオ
ープンソースの映像送信プロトコルであり、

  • UDPベースでの送受信

  • エラー訂正(FEQ)

  • 自動再送要求(ARQ)

  • AES暗号化対応

という大きな特徴・機能があります。

RTMPではTCPベースであったのに対して、SRTはUDPベースです。映像データ転送速度はRTMPよりも速くなります。

また、送信ペイロードのデフォルト値がMpeg-TSの1Unit Size(188byte)7個分の1316byte になっていたりと、随所にMpeg-TS送信用にチューニングがなされているようです。


188 * 8 = 1504 // 一般的なEthernetのMTUサイズ(1500)を超えてしまう
1500 - ( 20 +8 + 16 ) = 1456 // MTUサイズ - (IPV4 + UDPヘッダサイズ + SRTヘッダ)
188 * 7 = 1316 // 1456 に収まる188の最大積


そのほか、RTMPでは非対応であったH.265(HEVC)コーデックにも対応しており、長い間更新の無かったRTMPよりも高機能です。

■ 4. おわりに

今回は映像送信プロトコル、RTMP/SRTについて簡単に説明しました。
RTMPの後継としてのSRT。詳しい説明をしませんでしたが、H.265(HEVC)、H.266(VVC)といった次世代コーデック、「遅延時間を短く、高画質に、より安定した配信」というライブ配信への課題について、着実に進んでいるようです。

遠い未来にどういう進化をしているか、不思議に楽しみですね。

■ 5. 参考リンク

ユニゾンシステムズでは、一緒に働く仲間を募集しています。
ぜひ一度オフィスに遊びに来てみませんか?お気軽にDMもお待ちしています!

求人の詳細はこちら: https://www.unixon.co.jp/recruit/
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