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大学授業一歩前(第130講)
はじめに
今回は政治学者の坂井亮太先生に記事を寄稿して頂けました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非、今回もご一読下さいませ。
プロフィール
Q:ご自身のプロフィールを教えて下さい。
A:坂井亮太(さかい りょうた)。「誰を会議に呼ぶべきか」というテーマを研究しています。大学教員(中央学院大学)として政治学・政治思想史を担当しています。
研究者としては、政治学のなかで、規範的な分析をあつかう政治理論という分野の研究をしています。私は気が多いようで、公共政策学、政治学、Political Theoryと修士号を3つ持っていたりもします。博士論文をもとに『民主主義を数理で擁護する』という本を最近出版しました。
オススメの過ごし方
Q:大学生にオススメの過ごし方を教えて下さい。
A:研究者として過ごしてください。実は、大学生は、大学という研究者コミュニティーの一番の新入りメンバーです。大学では、皆さんは「学生」と呼ばれ、もはや「生徒」とは呼ばれません。大学教員は、先生ではなく、研究上の先輩と考えてください。
大学では、レポート作成時に「コピペ」をしてはいけないというルールがあります。なぜでしょうか。それは、教育的配慮ではなく、オリジナリティを重視する研究者と同じルールが、学生にも適用されるからだと考えています。人生で唯一認められた自由な研究・自己探究の期間を有効に活用してください。
必須の能力
Q:大学生に必須の能力を教えて下さい。
A:アウトプット能力だと思います。大学では、高校までと違い、自らのアイデアを発表する機会が格段に増えます。例えば、ディスカッション、レジュメ、口頭報告、質疑応答、レポート、記述問題、ゼミ論、卒論など、書ききれません。
アウトプットが苦手なときは、インプットが足りていないことが多いです。大学では、アウトプットへのプレッシャーが、皆さんを、インプットへと駆り立てる好循環が期待できます。発信を頑張ってみてください。
学ぶ意義
Q:先生にとっての学ぶことの意義を教えて下さい。
A:自分なりのアイデアで理解する。それが楽しいという事だと思います。私自身は、勉強嫌いの研究好きだと思います。なぜ、研究が好きなのか。それはコスパが高いからです。
スポーツの世界で、人類の限界を超え、世界新記録を樹立することは、大変難しいことです。しかし、研究の世界で、人類の知の体系の限界を超えることは、意外に容易です。皆さんが疑問に思ったことを、皆さんのアイデアで考察すると、世界中から「面白いね」と褒めてもらえます。スポーツで世界一になるよりも、コスパが高いのが研究だと思います。
オススメの一冊
Q:今だからこそ大学生に読んでおいてほしい一冊を教えて下さい。
A:九鬼周造『「いき」の構造』。
(画像は九鬼周造著・全注訳藤田正勝『「いき」の構造』講談社学術文庫)
出会いと別れ、偶然の出会いを最大限大切にしようというのが本書のメッセージです。大学生になると、これまで想像もしなかった様々な種類の人々と交流をもつようになります。必然的に、偶然の出会いと辛い別れを、数多く繰り返すことになります。出会えている一瞬を無駄にしないことを九鬼は推奨します。
面白いことに、バロン九鬼のネタもとは、「夜」の交流なのです。出会いと別れが高速に繰り返される場。どんな場所にも、学びのネタが満ちているでしょう。
メッセージ
Q:最後に学生に向けてのメッセージ をお願いします。
A:あらゆることを試し、失敗して、飽きていくうちに、自分が続けていける興味を持っていける分野を探す期間にして下さい。皆さんの失敗を歓迎します。
おわりに
今回は政治学者の坂井亮太先生に記事を寄稿して頂けました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。先生の新刊『民主主義を数理で擁護する』の一部が👇の勁草書房の「けいそうビブリオフィル」でもご覧いただけますので、是非合わせてご一読下さいませ。
https://keisobiblio.com/2022/02/28/atogakitachiyomi_suurideyougo/
皆さんが疑問に思ったことを、皆さんのアイデアで考察すると、世界中から「面白いね」と褒めてもらえます。
面白いことを私も探求して研究の世界へ一歩づつ入って行きたいと思います。次回もお楽しみに!!