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大学授業一歩前(第38講)
はじめに
今回はかんき出版編集部様に記事を書いて頂きました。実は「大学授業一歩前」の開始当初から応援をして頂いている小池陽慈先生の『無敵の現代文 記述攻略メソッド』を通して編集部の方に記事を書いて頂く形になりました。先生並びに、かんき出版編集部様ご協力頂きありがとうございました。
是非、『無敵の現代文 記述攻略メソッド』もレポート作成などで、非常に有効だと思うので、一読してみてください。それでは第38講の開講です!!
概要
Q:かんき出版様の概要を教えてください。
A:かんき出版は、ビジネスパーソンの仕事に役立つ本を中心に、経済、経営、自己啓発、実用、人文、語学、学参など幅広いジャンルの書籍を出版しています。「学ぶ。みがく。変わる。」をテーマに、著者の経験・研究・思索に培われた知見をわかりやすくぎゅっと凝縮。読者の皆様の「?」が「!」になる瞬間をイメージしながら本作りをしています。
出版社の方が考える読書
Q:出版社の方がお考えになる読書とはどのようなものでしょうか。
A:かんき出版のテーマとも重なりますが、人は、学ぶことによって自分をみがき、そして変わっていくことができます。ただし、自分を変えるために学ぼうと思っても、ひとりで考えて行動することには、どうしても限界があります。本はそれを超えるための手段です。本を読むことで、同時代を生きている自分以外の人や自分が生まれるずっと前の人が考えたり経験したりしてきたことを、自分の経験値にすることができます。つまり、読書は「よりよく生きるための知恵を獲得する積極的な行為」なのです。
オススメの本(他の出版社の本の中から)
Q:他の出版社の本の中からオススメの本を二冊ほど教えてください。
20代後半から30代をイタリアで過ごした、イタリア文学の翻訳者・須賀敦子さんのエッセイ集です。彼女の人生を支えてくれた大切な本が、読書の歓びにみちた文章で紹介されています。
表題作の「塩1トンの読書」は「古典再読」が主題になっています。塩はそうたくさん使うものではないので、1トンの塩を舐めつくすには、とてつもない時間がかかりますね。古典といわれる作品を理解するためには、まさに、塩1トンを舐めつくすほどに長い長い時間が必要かもしれません。
1トンの塩を舐めるうちに、ある書物がかけがえのない友人になるのだ。そして、すぐれた本ほど、まるで読み手といっしょに成長したのではないかと思えるくらい、読み手の受容度が高く、あるいは広くなった分だけ、あたらしい顔でこたえてくれる。それは、人生の経験がより豊かになったせいのこともあり、語学や、レトリックや文学史や小説作法といった、読むための技術をより多く身につけたせいのこともある。
読み手が変わることで、新しい顔を見せてくれる古典文学。今の自分は、あの名作をどんなふうに読めるのだろうか?そんな期待が湧き上がってくる1冊です。
立命館大学大学院先端総合学術研究科教授・千葉雅也さんによる勉強論です。
「勉強するとノリが悪くなる」という内容なのですが、ちょっとドキッとしますね。これまではなんとなく周囲のノリに合わせて行動していたけれども、勉強を深めることで異なる視点が生まれ、だんだん周囲のノリから浮いてくる。しかし、さらに勉強を続けたその先には、新たなノリが待っている。本書では勉強による変化がこのように語られています。たしかに、ずっと同じ環境に身を置いていると、慣れもあって居心地良く感じられます。でも、新しい考えやひらめきが欲しいなら、そこから飛び出すことも必要かもしれません。一時的にノリが悪くなった自分というのは、これまで自らが身を置いていた環境を客観的に見られるようになった自分だと言えます。
享楽的こだわり=バカな部分は、おそらく変化可能である。勉強の視野を広げ、自分の享楽を分析しつつ勉強を続けることで、あるバカさが別のバカさへと変化する。ラディカルラーニングは、自分の根っこにあるバカさを変化させる。バカでなくなるのではない。別のしかたでバカになり直すのです。
勉強によって変化していく自分をメタ的にとらえ、変化そのものも楽しむ。皆様には、そんな学びを経験してもらいたいと思っています。
オススメの本(かんき出版様の本の中から)
Q:かんき出版様の本の中からオススメの本を二冊ほど教えてください。
A:『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』(柿内尚文 小社刊)
著者は、アスコム取締役・編集局長の柿内尚文さん。業界内では知る人ぞ知るベストセラー編集者です。「3万部を超えたらベストセラー」といわれる書籍出版の世界で、企画した本のうち、50冊以上が10万部を超えるベストセラーになりました。その秘密は、クリエイティブなセンスではなく、「考える技術」を言語化してきたことにあります。「かけあわせ法」「数珠つなぎ連想法」「ずらす法」「キャッチコピー法」などなど……。
「考える技術」の応用範囲は広く、いろいろなことに活用できます。難問にぶつかったときにも、それを意外な角度から考え直してみれば、解決の糸口が見えてくるかもしれません。「考える技術」をあなたの人生をよりよいものにする武器として活用してください。
ちなみに、担当編集ショージによるアツいnote記事はこちらから。
『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』 (ピョートル・フェリクス・グジバチ 小社刊)
【パラダイムシフト】当たり前のことと考えられていた認識や思想、社会的価値観が劇的に変化すること。
2020年、新型コロナウイルスの世界的大流行によって、私たちにとってたくさんの「当たり前」が当たり前ではなくなりました。こうした想定外の現実に直面して、「これはパラダイムシフトだ」と言う人もいます。ですが、私たちが気づくべきなのは、表面的な変化ではなく、なぜこのような変化が起こっているのか、その本質的な意味を見逃しているという事実です。
本書は、世界で活躍する投資家、起業家、経営者、そして教育者やアートディーラーまで、各分野のトップランナー21人へのインタビューを中心に構成。多様な21人の話は、素晴らしく示唆に富んだもので、これからの時代を豊かに生きる上で大いに参考になるでしょう。
おわりに
今回はかんき出版編集部の方に記事を書いて頂きました。お忙しい中の作成ありがとうございました。出版社の方の考える読書ということを示して頂いたことで、私達も日常で読書をする際に指針を立てやすくなると思います。
「学ぶ。みがく。変わる。」
これを本を通して、実践していきましょう!!次回もお楽しみに!