大学授業一歩前(第69講)
はじめに
今回は公共政策などを専門に生業にしてらっしゃる小泉尭史様に記事を書いて頂きました。大変お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非ご一読くださいませ。
プロフィール
Q:ご自身のプロフィールを教えてください。
A:小泉尭史(こいずみ たかし)
株式会社富士通総研 公共政策研究センター 上級研究員
茨城県日立市出身。2006年茨城県立日立第一高校卒業、2010年筑波大学 第一学群社会学類卒業、2012年東北大学公共政策大学院修了後、2012年4月茨城県庁入庁(農林水産部配属)。その後、都内不動産会社・都市系コンサルティング会社、茨城県内地銀系シンクタンクを経て現職。2児の父。
専門は都市法政策・公共施設マネジメント・官民連携(PPP/PFI、エリアマネジメント)。
保有資格:技術士補(建設部門)、再開発プランナー
オススメの過ごし方
Q:大学生におすすめの過ごし方を教えてください。
A:何かに情熱を注ぎ、それを継続し、最後までやり遂げた体験を一つでも作りましょう。この原体験はその後の人生において大きな自信・拠り所になります。勉強・アルバイト・サークルなど分野やジャンルは問いません。ひとつのチャレンジが成功しなくても、どんどん次のチャレンジに向かいましょう。そのチャレンジの過程で得られた情報・人脈、試行錯誤の経験などは必ずや皆さんの血肉となるはずです。
多少重複しますが、「1次情報」に触れる機会をつくることも重要です。インターネット・SNS・テレビ・新聞など、情報に触れる機会は数多くあります。その中で自分の興味関心があることは、実際に現場を訪れたり触ったり関係者に話を聞いたりするなど「生の情報」に触れてみて下さい。学業のみならずビジネスでも1次情報の有無や質は成果や付加価値の多寡に直結します。普段何気なく受動的に見聞きしている情報の背景や本質を知ることで、様々な事象・対象に関する見方が変わり、新たな発想が生まれるかもしれません。こちらもぜひチャレンジしてみてください。
必須の能力
Q:大学生に必須の能力をどのようなものだとお考えになりますか。
A:「相手の話をよく聞きよく理解する能力」ではないでしょうか。就職・進学、どちらの進路であっても共通するのは、人間的魅力のある「人財」になることが重要ということです。人間的魅力のある人の周りには自然と人や情報が集まり、結果、仕事も研究もうまく回っていることが多いように思います。そのような人財となるために必要な能力のひとつが「相手の話をよく聞きよく理解する能力」です。人は自分の話を聞いてもらえたり理解してもらえると、相手にもよくしてあげたくなるものです(逆に自分の話ばかりする人は、相手の貴重な時間を奪っていることを自覚すべきでしょう)。
この能力を身に付けるために特別な訓練は必要ありません。まずは普段の生活で、周りの人にいつもよりほんの少しだけ気を向けることから始めてみましょう。
学ぶ意義
Q:ご自身にとっての学ぶ意義を教えてください。
A:自分の人生の選択の幅を広げられることが最大の意義です。私が専門としている都市計画との出会いは、実は大学3年生の時でした。私は法学専攻に在籍していましたが、他学部・学科の授業も広く受講しており、その中のひとつが都市計画でした。都市計画との出会いは私の中の選択肢を広げ、「大学院進学」という大きな選択のきっかけにもなりました。現職で都市法政策(都市計画×法政策)の分野に身を置けるのも、大学・大学院時代を通じて幅広く学んだおかげです。私の例に限らず人生の選択の幅を広げ、豊かで充実したものにするために「学び」は大きな貢献をしてくれるはずです。
オススメの一冊
Q:オススメの一冊を教えてください。
A:矢作 弘・阿部 大輔・服部 圭郎他著(2020)『コロナで都市は変わるか 訪米からの報告』学芸出版。できるだけたくさんの本を読んでもらいたいのですが、タイムリーな話題提供という意味でおススメします。コロナ禍における各都市の取組を紹介するとともに、「都市の価値」の再考に迫る一冊です。
メッセージ
Q:学生に向けてのメッセージをお願いします。
A:心のガソリンは常に満タンに!ガソリンがなければ車は動きません。そして自分を突き動かすのは「情熱」や「好奇心」などのガソリンです。燃費が悪くても、まっすぐ進まなくても、道を間違ってもよいので、心のガソリンは常に満タンにして突き進んでください。それが可能な時間も体力も十分にあるのが学生です。数年後、就職活動や進学の面接で「あなたがこれまで力を入れたこと・頑張ってきたことは何ですか?」と聞かれても自信をもって答えられるはずです。
時間は誰にでも平等で不可逆です。ぜひ悔いのない大学生活を送ってください。そのための協力は惜しみません!
おわりに
今回は今回は公共政策などを専門に生業にしてらっしゃる小泉尭史様に記事を書いて頂きました。
私は法学専攻に在籍していましたが、他学部・学科の授業も広く受講しており、その中のひとつが都市計画でした。都市計画との出会いは私の中の選択肢を広げ、「大学院進学」という大きな選択のきっかけにもなりました。
学ぶことで自身の選択肢が広がる事は本当です。私も偶然、公共哲学という学問に出会いました。そして公共哲学に近い公共政策系の分野の方々との接点を多く持つ機会を頂け、その結果今回小泉様に記事をご依頼させて頂きました。学ぶ事が繋ぐご縁だと思います。次回もお楽しみに!!