大学授業一歩前(第12講)
大学授業一歩前第12講は『ヘミングウェイで学ぶ英文法』(アスク出版)の著者の一人倉林秀男先生にご協力いただきました。お忙しい中のご協力ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。それでは第12講の開講です!!
プロフィール
Q:ご自身のプロフィールを教えてください。
A:倉林秀男(くらばやしひでお)
大学の教員になる前に中学や高校で英語を教えていましたので、そのときから、英語教育について日々考えています。また、主な関心は「文体論」です。公共サインや小説の中に見られる特徴的な表現がどういった効果を持っているかについて考えています。大学では初年次の英語科目と、英語科教育法を担当しています。昨年は『ヘミングウェイで学ぶ英文法』という本を出しました。その本の中で私の考える英語教育の一つの考えを示すことができたと思っています。
オススメの過ごし方
Q:授業のオンライン化に伴い、時間にゆとりが出来た学生におすすめの過ごし方を教えてください。
A:いそいだり、あせったりしても仕方がないので、規則正しい生活をして、時にはベランダに出て日光を浴びる。ちょっとでもいいので、余裕をもってください。世の中には、私たちの気持ちに揺さぶりをかけてくれる過激な情報やことばがテレビやネットで流されています。そうしたところから離れて、昔の名作映画や小説などを読んでみるといいと思います。ご両親の世代に流行った音楽などを聴いてもよいでしょう。今の時代のスピードに流されることなく過ごして欲しいと思っています。
身に付けて欲しい能力
Q:大学生に必須の能力をどのように考えますか?
A:うまくやろうとせず、効率性を求めずに、なにか不器用に自分の好きなことや、興味を持ったことをじっくり考えるというのが大学での時間だと思います。ですので、能力を習得しようとせず、何事にも誠実に向き合い、楽しめる「心」を持ち続けることが大切です。いつの間にか、「楽な授業」とか「出席を取らない授業だから」という考えを抱いてしまいますが、そうした授業から「楽しい部分」を抽出できるようになってください。
学ぶ意義
A:先生にとっての学ぶ意義は何ですか?
Q:一枚の絵画を見て「あぁ、上手だなぁ」とか「綺麗だなぁ」と思う、そういう鑑賞の方法もあります。ですが、絵画を見て「ここに百合の花が描き混られているから、こんな意味があるんだ」とか「この人物の後ろに絵画が描き込まれているけれど、これは・・・なんだろうな」と「絵画を読み取る鑑賞眼」を身につけることだと思います。目の前にあることをそのまま直感で感じ取ることも大切ですが、さらに一歩進んで、それを分析して、これまでの研究成果と照らし合わせ、自分で答を出す。そうした考え方を身につけると自分の周りの物がちゃんと見えるようになるはずです。それが素晴らしいものだと気づいたり、まがいものだと判断できる、こうした態度を養えることが学ぶ意義だと思います。
オススメの一冊
Q:オススメの一冊を教えてください。
A:なんでもいいと思うよ。今、自分でこれを読もうと思った1冊を見つけてください。そんなの、わからないよという人は、日本の歴史とか世界の歴史がマンガになっているので、これを一気に読むというのもありです。
メッセージ
Q:学生に向けてのメッセージをお願いします。
A:「普通の暮らし」というものがこんなにも難しいということに気がついているとおもいます。私たちの行動の自由が制限され、人々の気持ちがとげとげし、社会が変容していくのを目の当たりにしています。そして他者を攻撃する言葉を吐き捨てる人もいます。息の詰まる世の中です。また、学生の皆さんは多くの課題やオンライン授業を受けていく中で、大学で学ぶ意欲が徐々に薄れていき、義務感で課題を提出し、授業を受けているかもしれません。そんなときに自分の心を平静に保つのは難しいですよね。高校の恩師と連絡を取ってみたり、友人と話したり、映画を見たり、音楽を聴いたりしながら、ゆっくりとした時間の流れの中で今できることを考えてみてください。
おわりに
今回は倉林先生にご協力頂きました。お忙しい中ありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。
オンライン授業が始まり多くの大学では、一か月ほどでしょうか。私も課題に追われる日々でなかなか苦しい面もあります。そんな時に友人と電話をすることで、リフレッシュ出来ました。電話やアプリを用いて、友人と会話をするのも良いなぁと実感しました!次回の講義は6月16日です。お楽しみに!!