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大学授業一歩前(第35講)

はじめに

今回は予備校で古典を教えてらしゃっる能面先生こと葛西佑也先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中の作成ありがとうございました。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えてください。

A:代々木ゼミナール、河合塾、水戸駿優予備校といったいわゆる予備校で古典を教えています。日本の文化や歴史、古典が好きだなあと思って過ごして来て、気が付けば今の仕事についていました。実は、ずっと詩を書いてもおりまして、2017年の7月には『みをつくし』(七月堂)という詩集を出しています。読む側の視点だけでなく、書き手・発信する側の視点からも、文学、言葉全般と向き合ってきたのかなと、今振り返って思います。

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:自分で自分に合った過ごし方を探すための時間を過ごしてはどうでしょうか。読書をするのも、美術館に出かけるのも、スポーツをするのも、その他様々な有意義な時間の過ごし方があって、どれが良くて、どれがダメというのはないと思います。いろんな事を試して、自分に合うものを探すことが出来る時間というのも、学生時代ならばあるのではないでしょうか。食わず嫌いをせず、いろんな事をして時間を過ごしてみではどうでしょうか。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力をどのようなものだと考えますでしょうか。

A:大学生に限った事ではないかもしれませんが、適度に「逃げる」「捨てる」能力だと思います。授業でもいいですし、人間関係でも、それからバイトでも、目の前のことに全力で取り組むのはいいことなのですが、心や身体が悲鳴をあげた時、何かから「逃げる」、何かを「捨てる」という決断を思い切って出来ること。逃げ出すのは悪いことだと考えられがちですが、時には逃げたり泣き言を言ったり誰かに頼ることも大切だと考えています。

学ぶ意義

Q:先生にとっての学ぶ意義とはどのようなものでしょうか。

A:「やさしさ」を持つためだと思っています。学ぶほど自分がどれだけ何かを知らないかを痛感します。誰かが何かにおいては、自分よりも深い「知」を有していると考えることもできるでしょう。そこから人への敬意が生まれます。誰かの「知」により自分が助けられることもあるでしょうし、逆に自分の「知」により誰かを助けることも出来るかもしれません。そういう「やさしさの輪」ができるよう、皆が学べたらよいのにと思っています。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

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A:この手の質問はいつも悩みますし、私は古典が専門なので、その分野の本を紹介するべきなのかもしれませんが、マックス ヴェーバー『職業としての政治』をおすすめします。私が大学生の頃から今に至るまで、何度も読み返している本です。今の政治への興味、関わり方がどうであれ、大学での専攻に関係なく、みなさんに読んでいただきたい、そして、また何度も読み返して頂きたい一冊になります。薄いのですぐ読み通せるかと思います。

メッセージ

Q:学生へのメッセージをお願いします。

A:「力」についてどう思いますか。自分に「力」があると思いますか、「無力」だと思いますか。もし「力」があるなら、何のため誰のために使うでしょう。そもそも「力」とは何なのでしょう。「権力」「知力」「能力」……様々な「力」があるわけですが。どんな「力」があるにしても、あなたは決して「無力ではない」と思いますし、その力を社会や誰かのために使ってほしいと思います。ただ自分のことも大切にし無理はし過ぎぬように。

おわりに

今回は能面先生こと葛西佑也先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中の作成ありがとうございました。

オススメの一冊にある『職業としての政治』内で述べられている問題提起は今でも新鮮さを感じます。是非皆さまもご一読ください。次回もお楽しみに!!

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