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早稲田大学ラグビー部とどう戦うか 〜傾向と対策〜

みなさんこんにちは
夏の練習試合に向けて気持ちを作っている今本です

今日は大学の秋シーズンに向けたプレビューの第2回として、早稲田大学に迫っていきたいと思います

参考記事はこちら

それでは見ていきましょう


メンバー

大田尾監督の中では大まかに決まっていることとは思いますが、少し固まっていないポジションもあるかもしれませんね
特にBKでは野中選手、矢崎選手がU20の世界大会に出場していた関係で後半はメンバー外となっているので、その辺りのセレクションも楽しそうです

スタッツ

次はスタッツになります

あえて言うのであれば帝京戦が一つの山場となっている感じでしょうか
キャリー・パス比も唯一約1:2とパスの割合が高くなっていますね
また、キックの回数も減っています

セットピースに関しても、完璧とは言い切れないようですね

早稲田のアタック

アタックは少なからずシステマチックな側面があるように感じており、特に10番に入ることの多い伊藤選手のゲームマネジメントが肝になるアタックシステムを構築しているように見えました
また、主に順目と呼ばれる一定方向へのアタックが中心になっていたように感じます

9シェイプももちろん起点となっており、SHからの1パスでラックを形成するようなキャリーも多くはあったのですが、おそらく伊藤選手をはじめとするBKの選手が間に入ることによる10シェイプをアタックの軸にしているような印象を受けました

アタックの特徴としては、ゲインを切ることができた後はポッドを経由することなく直接伊藤選手らBKの選手にパスアウトしている様子が度々見受けられています
その際にポッドに入った選手は壁のようなポジショニングを取り、BKラインは主に1ラインとなってアタックを継続しようとしていますね

キャリーそのものに関して見ていくと、絶対的な優位性は見られず相手のタックルの質によっては受けてしまうシチュエーションも散見されており、一部の選手のみがなんとか前に出ることができているという状態です
佐藤選手が上位校相手でも突出しているくらいでしょうか

パスの質はかなり高く、9番に入った宮尾選手や10番の伊藤選手らが中心となりショート・ロングを使い分けたバランスのいいパスワークと、ポッド内の細かいパスつなぎが強みとなっています
特にHB団のパスワークに関してはゲームの流れを大きく決めるほど重要な因子であったように思います

あえてネックを挙げるとすれば、スイベルパスと言われるようなポッドからバックドアへのパスに関して見た時に、FWの選手が完全に足を止めてしまっていたり体をオープンにしてしまっていた点です
ディフェンスの選手からすると判断負荷が低減されている状態であり、ディフェンスをするのに楽なシチュエーションにつながっていたのではないでしょうか

キックも戦略の中で重いウェイトを占めていたようにも思います
主に敵陣でのディフェンス時は伊藤選手がバックフィールドを守ることが多く、蹴り返しを中心にキッキングゲームを組み立てていました
とはいえ、蹴り返しを主に担当していたのは伊藤選手であり、伊藤選手がハマっていない時はキッキングゲームもうまく組み立てることができていなかったようにも思います

早稲田のディフェンス

基本的には質的に高水準を保つことができていたように思いますが、上位校を相手にしていた回数が多いこともあり、理想よりは少し低い数値を取っていたと言うこともできるかもしれません
特に帝京大学戦では80%超えとはいえ上位校として戦うには低い成功率を示しており、一方的な展開を示す結果となっています

システムとしては前に出て少し引きながら守るといったある種一般的な守り方をしており、極端に前に出てくる、もしくは極端に引いて守るという様子はあまり見られませんでした

タックルの質を見ていくとダブルタックルも多く行われており、アシストタックラーに入る選手のクオリティが高かったように思います
一方、特にFWの選手において相手の動きを予測してタックルに入る選手が見られており、それによってダブルタックルに入ることができず1対1で外されたりゲインを許したりとハマっていないシチュエーションも何度か見られていました

特に苦手とするのは強烈な個の強さを有する選手であり、その選手をダミーに使った表裏のあるアタックに関しても苦手意識はありそうです
また、先述したように少し前がかりになってディフェンスをしてしまう選手が度々見られるためそのギャップをつかれるシチュエーションも少なくはなかったです

早稲田のピックアッププレイヤー

早稲田のピックアッププレイヤーとして、今回はFWから1人、BKから2人を選びました

HO 佐藤健次

桐蔭学園時代からの有名選手ですね
特にボールキャリアーとして優れた選手であり、ハンドリングやキャリーを長所とする選手であるように感じています

キャリーに着目すると、帝京の選手のような体の大きさを生かした直線的なキャリーではなく、細かいステップを踏んだり優れたボディコントロールを生かしたりする精密なキャリーとも言えるプレーが特徴的です
がっぷり四つで相手とコンタクトをするというよりも小さくずらして大きく前に出るような形です

元々NO8を務めていたこともあり、総合的に見ても器用です
他選手と見比べてみると、動きとしては埼玉ワイルドナイツの堀江選手に近いものがありますが、佐藤選手の方が前方向のベクトルが大きそうですね

LOスローを見ても安定感があるように思います
ただ、Not Straightが全くないわけでもないので、そこを伸び代とみるか全く気にしないスタンスを取るかは人によって異なるところでしょう

SO 伊藤大祐

こちらも桐蔭学園出身の有名選手です
昨年度までは野中選手やグリーンロケッツ東葛に入団した吉村選手がSOに入ることもあり、メインのラインアップに並ぶことはシーズン後半までなかったですが、今春は全ての試合で正SOとしてプレーしています

キックやロングパスを活かしたゲームメイクを強みとしており、今シーズンはコンタクトシチュエーションや自身のランニングスキルに関しても質の高いプレーを見せています
特にコンタクト時のボディコントロールとその前後のハンドリングスキルについてはかなりクオリティを高めてきているように思います

特にキックを見ると距離や方向のコントロールに優れており、裏を狙ったチップキック、キックパスを狙ったロングパントキックも多く、キックでチャンスを作り出すことを狙っていたように思います
蹴り合いを含むキッキングゲームにおいてもそのロングキックで相手を背走させることもあり、うまくゲームメイクしていたのではないでしょうか

BK3 矢崎由高

新入生ではありますが、矢崎選手はU20で活躍していたこともありピックアップすることとなりました
なんやかんやピックアップ選手が全て桐蔭学園出身の選手になりましたね

特筆すべきはそのランニングスキルで、一人で試合展開そのものを変えることのできるタレントを有していると思います
ハイボールにも強さがあり、蹴り合いもできるのでBK3としては1stチョイスと言っても過言ではないかもしれません

ランに着目すると、もちろんスピード自体も優れていますが、ステッパーに分類されるほどの大きなステップは踏まずに横方向の移動量の少ない小さなワンステップで方向を切り替えています
そのスキルによって、相手を完全に外すというよりも相手の弱い肩に向かって走方向を切り替えることによってスピードによって振り切ることを可能としています

少し弱点というか伸び代のように見える部分を上げるとディフェンスになるでしょうか
U20の試合をいくつか見たところ、ディフェンスが少し淡白に見えるシチュエーションが散見され、特にアシストタックラーになった時は相手側に押し返すよりも引き倒すことを優先しているような様子が見られました
まぁ、目立った弱点ではないと思いますけどね

早稲田と戦うには

ポッド内での細かいパス

早稲田は、特にFWの選手が相手の動きを予測して少し早めにタックル姿勢に入る傾向が見受けられます
そのため、ポッド内で細かく中外のパスワークを使ったり、バックドアへのスイベルパスなど表裏を使ったアタックをすることでギャップを作り出すことが可能であると考えています

1対1で圧倒的な個の強さを見せる選手もそこまで在籍していないため、アタック側としては1パスを組み合わせてディフェンスに入る早稲田の選手と1対1を作り出すことができれば、もちろんキャリアーの質にもよりますが、ゲインを図ることができるかと思います

9シェイプ、10シェイプにプレッシャー

アタックの場面で早稲田の選手はそこまでアングルをつけたり、スピードをつけてキャリーをしてくる様子が見られていません
あえて挙げるとすればHOの佐藤選手がバックフィールドから駆け上がってくる時にスピードをつけてランニングしてくるシチュエーションでしょうか
そのため、いかにFWの選手が中心となる9シェイプ、10シェイプといったポッドに関してプレッシャーをかけることができるかというところが重要になってきます

同様に重要なのはFWのポッドに対してダブルタックルをすることができるかという点ですね
アシストタックラーが引いてジャッカルを狙うというよりは、アシストタックラーもコミットして相手側に押し込むことができるかというところを個人的には重要視しています

早稲田のポッドの選手はハンマーと呼ばれるようなサポートプレーに関してはまだ完成度を高めることができていないように思います
そのため、如何にディフェンス側が全体的に見ても局地的に見ても数的優位を作り出すことができるかといった点に注目しました

まとめ

昨年度の大学選手権決勝で帝京に完敗を喫し、今春の試合でも大量得点を許した早稲田ですが、システマチックなラグビーをしているという点ではかなりまとまりのあるチームだと思います
おそらく怪我や諸々の要素で試しているメンバーもいるかと思いますが、完全にメンバーが揃った時の実力は計り知れません

正直とても楽しみです
早稲田を相手取るチームの戦いぶりも気になるところですね

今回は以上になります
それではまた!



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