UNIVERSIS流の分析講座第3回 ~アタック分析編~
みなさんこんにちは
昼間に職場の近くで消防車が大量に出動しててビビった今本です
分析講座も3回目になりました
前回はスタッツ、データをどう見るかを語っていきましたね
今回から2回はアタックとディフェンスに分けて、自分がアナリストとしてどういう点に注目していくかを書いていってみようかと思います
これまで書いてきた内容と被る点もあるかと思いますが、その点はご了承ください
それでは今回は分析講座第3回、アタック分析編です
1. キャリー
キャリーの定義
キャリーの定義自体は結構シンプルに考えていて、「タックルを受けてラックを形成するに至ったボールキャリー」「タックルを受けてオフロードやポップパスなどに繋がったボールキャリー」「トライに至ったボールキャリー」の三つが主なキャリーの区分ですね
それらをUNIVERSIS(というか現時点では今本は)では以下の区分で分けています
9シェイプでのキャリー
10シェイプでのキャリー
9、10シェイプでのキャリーを除いた15mライン間のキャリー
9、10シェイプでのキャリーを除いた15mラインより外でのキャリー
ピック&ゴー
キックリターンでそのままラックになったキャリー
ターンオーバーした選手がそのままラックを形成したキャリー
その他
これらの回数をカウントして傾向を見ていくわけですね
キャリーの何を見ていくか
キャリーは主にどのエリアで・どのシェイプでアタックしているかを見ていることが多いです
例えば「中央から右の15mラインまでの間で」「10シェイプでのアタック」が多い、といったふうに記述していきます(実際はもう少し大雑把ですが)
なぜそれを見ていくかというと相手のアタックの意図のカケラを見てとることができると考えているためです
「中央エリアでのキャリーが多い」ということであれば15mライン付近でラックができた際のチョイスでは「中央エリアへの折り返しが多い」ということができますし、その逆で「エッジでのキャリーが多い」ということであれば「ラックができた後は大外まで運ぶ傾向にある」もしくは「ブラインドサイド(ラックから見て狭い方のスペース)にアタックする傾向がある」ということもできます
少しコーチングの領域に入ってくるかと思いますが、各チームでグラウンドを縦方向に数分割したレーンを想定して戦術を立てていることと思います
そうすることによって「このレーンでラックができた時はオープン or ブラインドサイドにアタックしよう」といったように選手に対してアタックの方向性の基準を示すことができるのです
その利点としては方向性を示すことでプレーしやすくなるというのが一つ挙げられると思います
なぜなら、判断基準があることで「どこにアタックするか」といった選手にとっての余計な思考手順を省くことができるからですね
それに対して、こういったキャリーの傾向をディフェンスの観点から考えて見ましょう
例えばあるチームの10シェイプでのキャリー数が多く、そこでゲインラインを切る割合が極めて高かったとします
そういった場合これを見ているあなたがディフェンス側をコーチングしているとしたらどのように考えますか?
あくまでも一例ですが、「相手の10シェイプが頻発する位置にバックローやセンターの選手を置く」「SOにプレッシャーをかけて10シェイプそのものを生じさせないようにする」といったことが考えられますね
このようにアタックするエリアや種類を見ていくことで相手の意図を垣間見ることができ、ディフェンスをする際の一助にすることができます
2. パス
パスの定義
UNIVERSISでの定義は以下のようなものになっています
ラックから9シェイプへのパス
ラックからSOなどのBKの選手へのパス
SOなどのBKの選手から10シェイプへのパス
ポッド内でのパス
ボールキャリアーからバックドアへのパス
インサイドパス
バックスラインの中でのパス(FWが入った場合も含む)
その他
こんな感じで区分していて、大体の試合で「その他」に分類されるパスが多くなりますね
とはいえ、それ以外のカテゴリー化されたパスも一定数存在しており、傾向を見るには十分な回数があると思います
パスの何を見ていくか
基本的にはパスの回数とキャリーの回数を比較した数値を見ていきます
前回の講座(らしきもの)で説明したヤツですね
あくまでも単独で回数として見ていく場合は「バックドアへのパス」がどれくらい起きているかが最も重要な項目になってくるでしょうか
これが結構チームによって分かれていて、表裏を使ったアタックを好むチームであれば1試合で10回〜15回、普通のチームで6〜8回、フラットなラインでのキャリーを好むチームでは2〜3回くらいが自分の肌感覚で感じている回数です
例えば以前の記事で紹介したU20オーストラリア代表が使っていたトリプルラインを使ったアタックをすると一回のエッジまでのパス回しで2,3回カウントされるので贅沢ですね
なぜバックドアへのパス回数が重要かというと、ディフェンスのイメージが変わってくるからです
基本的には表裏を使うのがベターであるとは思います
表ばかり=FWのポッドばかり使っていたらその対面に立った選手はタックル選手を絞れますし、その逆もまた然りですね
逆にいうと、ディフェンス側としては選手にイメージを伝えるときにそういった傾向を伝えることができれば、選手の中でディフェンスラインをどれくらい上げるかの加減を調整することができるわけですね
3. キック
キックの定義
キックの定義は少なめでこんな感じです
ロングキック
チップキック
ボックスキック
パントキック
グラバーキック
キックの何を見ていくか
キックに関してはやはり種類を重視しています
エリアも大事だとは思いますが、キックの種類、特に競り合うキックを蹴っているか否かというのが極めて大事になってくると思います
U20日本代表の楢本選手(突然の茗溪魂)が好んで使うグラバーキックはチームとしての決め事というよりも個人の判断に依るところが大きいと思うので、自分としては極端に重要視はしていない状態ですね
競り合いを好むチームかどうかというのはほぼ確実にパントキックやボックスキックの回数に出てくると思います
まぁパントキックには完全に競り合える距離よりかは少し長めの距離のものに関してもカウントしていたりするので、一概には整理合いの意図があるとは言い切れない場合もありますが
ディフェンス側(キックを受ける側)の観点から見ると競り合ってくるかどうかはとても重要な要因であり、それによってバックフィールドやボックスキックを狙ってくるエリアでの選手の置き方が大きく変わってきます
いくらキックリターンのキャリーでより前進を図りたいといっても、体は強くても競り合いに弱いバックローの選手を置くよりかは競り合いに強くて身長の高い選手をおいたりする方が効果的ですからね
また、キックを蹴った地点・接地した地点に関してなぜそこまで重要視していないかというと、再現性を見たり傾向の分析をするのが個人的には難しく感じているからです
自分としては極端に特徴的でない場合は活用が難しいと感じています
あえてキッキングマップを作ったりして活用をしたい場合には種類やフェイズなどの付随情報を増やしていく必要性がありそうです
なぜなら、キックの開始点と終了点のみを記録するだけではそれがどういうキックだったのかわからないので、意図や戦術、判断を見てとることが難しいからですね
4. ブレイクダウン
ブレイクダウン(オーバー)の定義
ラックに入るオーバーはRuck OOAと言われたりしますね
これに関しては1人、2人、3人、4人以上といった形で記録をしています
定義としては「ラックが形成されてからボールアウトまでにボールキャリアー以外にラックに関わった人数」となっています
これに関しては少し基準が難しいところもあるのでご意見等は随時募集しています
ブレイクダウンの何を見ていくか
ブレイクダウンはアタック側の人数を見てディフェンスの参考にするというよりかはアタック側のチームの自己分析的な意味で用いられることが多いような印象ですね
基本的にラックはオーバーが2人以内で完結するように構成することが望ましいとされているのでそれ以上の人数をかけないようにコーチングしたりするわけです
あえてディフェンス側としてコーチングや戦術立案に生かすとすれば、「このエリアでのラックにはプレッシャーをかけて人数をかけさせたい」「このフェイズではアタック側は人数をかけてくるから捨てる」みたいな形になるでしょうか
第3回分析講座はいかがだったでしょうか?
講座といっても今本が好き勝手に書いてるだけの気もしますが、何か得るものがあれば幸いです
今回は以上になります
それではまた!
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