帝京大学ラグビー部とどう戦うか 〜傾向と対策〜
みなさんこんにちは
暫くぶりの投稿です
今日は1ヶ月後に迫る秋シーズンの開幕に向けて、各大学の現在地や春季大会での傾向、注目選手などを記事として書いていこうかと思います
第1回としては前年度王者である帝京大学について簡単なプレビューをします
試合映像に関しては現在視聴可能なもの、データに関してUNIVERSISがこれまで記録したものなどを参考にしていきます
参考にした記事はこちら
それでは見ていきましょう
メンバー
東海大学戦と早稲田大学戦に関してはスターティングメンバーが全く同じなので、このあたりのメンバーは怪我人が出ない限り同じようなメンバーをシーズンでも組んでくるのではないかと思います
控えのメンバーに関しては少しまばらというか、一定の選手以外は入れ替わっているような印象です
スタッツ
次にスタッツをまとめていきましょう
相手によってスタッツが異なるのは当然のことと思いますが、そうはいっても比較的安定した数値であると言うことができるかと思います
目立ったところでは、
・各試合10回以上のラインブレイク
・東洋戦を除いたタックル成功率の安定性
・ラインアウト成功率の不安定性
が少し気になりますかね
帝京のアタック
アタックシステムに関しては少し柔軟性があるのかもしれないと思わせるようなアタックシェイプを構築しており、ある程度はその位置に誰が立つというのが決まっているとは思いますが、若干のゆとりはあるように感じました
そのため、CTBの選手がポッドに入ったりバックローの選手がアタックラインに入ったりと選手の個性に応じてポジショニングがなされているように思います
全体的に、また個人個人のキャリーを見ていくと、どの選手も強烈な「個」の強さを兼ね備えているように見えますね
どの選手もコンタクトから少なからず前に出ることができていますし、いわゆるBump-off、相手を弾き飛ばすようなキャリーも要所要所で見ることができました
キャリーの種類としてもバランスがよく、9シェイプや10シェイプ、中央エリアとエッジエリアなど極端に突出した種類はなかったのではないでしょうか
パスに関して、特に注目するものを挙げるとすればポッドに立ったFWからのスイベルパスと呼ばれる自身の真後ろに立っている選手へ下げるパスです
帝京はこのパスの精度や効果性が極めて高く、後ろの選手に対して綺麗なパスを通しているのはもちろんのことなのですが、それに合わせてFWの選手自身の姿勢やランニングコースが優れていることもあり相手をうまく引き付けてパスをすることができています
パス回数も多く、キャリー・パス比が1:2という値を取ることもありました
FWのキャリー一辺倒ではなくSOの井上選手やSO/FBの小村選手がアタックに絡むことも多いためにそのような値をとっていたことが予測されます
帝京のディフェンス
基本的にはどの試合もかなり質が高かったように見受けられました
タックル成功率も高く、質としても相手を完全に押し返すことができていたりと極めて高いものを感じています
ラインの上がるスピードに関しては極端なラッシュアップというほど前に出るスピードはありませんでしたが、しっかり前に出て相手へのプレッシャーをかけることができていたように思います
また、ダブルタックルのクオリティも高かったですね
一人が下、もう一人が上に入るか引き倒すなどといった一連の動きの完成度が高く、かなりの回数のダブルタックルが生まれていたように思います
とはいえ体の強さも相まってか姿勢が高くなってしまうことも少なくなく、新しく試行されるルールではハイタックルとしてカウントされるようなものも何度か見られているので、ここには注意が必要になってくるかもしれません
帝京のピックアッププレイヤー
今回は2人の選手を注目選手としてピックアップさせていただきました
どちらもバックローの選手でかつ強烈な選手です
青木恵斗
強烈なバックローその1になりますね
桐蔭学園の頃からその体躯と強さは目立っていましたが、帝京に入ってさらに磨きがかかったように思います
特徴の1つ目としては何よりもその個としての強さです
キャリー、タックルに関わらずその体の強さを生かした強いキャリー、ハードタックルを何度も試合中に見せています
それに合わせてボディコントロールも優れているため単純にコンタクトするだけではなく、アタックではオフロードを繋いだりすることも可能性として持っており選手一人で柔軟性を兼ね備えています
特徴の1つ目とも重なりますが、2つ目の特徴としてはタックルの質をピックアップしたいと思います
もちろんポジショニングによっては必ずしも1試合で何十回もタックルをするというわけではないでしょうが、青木選手がタックルに入る際は必ずといってもいいほど自分達に有利な姿勢で完結することができるくらいであり、極めて高いクオリティでタックルを何度も放っています
正直弱点らしい弱点はあまり見つけることができていません
アタックセンスもあり、ディフェンスの質も高く、また勤勉でもあるので日本の大学界の同じポジション内でこのクオリティのプレーをできているのは5人もいないと思います
それくらい極めて素晴らしい選手であるということができます
奥井章仁
こちらも強烈な選手ですね
大阪桐蔭時代から全国区で有名な選手だったと思います
青木選手が強烈な個の強さを発揮している一方、奥井選手ももちろん強いのですが彼は少しカテゴリーが違うようにも感じていて、どちらかというとアタックセンス、ハンドリングスキルに長けているように個人的には見ています
特徴の1つ目はシンプルな強さです
体の強さはもとより、一番の売りになってくると思われるのがボールをもらいに走り込んでくる際の「アングルとスピード」が注目ポイントになります
奥井選手はそれこそ画面外から猛烈なスピードで走り込みながらボールレシーブすることを得意としており、それによって相手が弱い姿勢になるようにキャリーをすることができているわけですね
2つ目が戦術したような「器用さ」です
なかなかポッドの中央でもらうというシチュエーションはそこまで多くないためスイベルパスはそこまで多くはなかったですが、キャリーからのパスやオフロードといったバックスラインに入っても遜色ないようなプレーをできることも彼の強みではないかと思います
あえてここは相手に突かれるのではないかというようなポイントを挙げるとするならば、若干プレーが淡白になる時があるというか、もう少し勤勉さを磨くことはできる余地があるように感じました
帝京と戦うには
セットピースの安定
特にスクラムについて、帝京はかなり強いプレッシャーをかけてきます
マイボールでも相手ボールでも前に出てくるのでそこを凌ぎ切ることができるかというのが一つの重要な要素になってきます
少し早めに押してくる(アーリープッシュ)の時もあるのでFWへの負担は大きいかと思いますがスクラムは大事にしていきたいですね
また、ラインアウトモールに関しても帝京は武器の一つとして持っています
東海戦では複数回モールからのトライが生まれており、そこで戦うことができないとなかなかしんどい展開になるかと思います
細かいスキルに関しては専門家の方々に任せますが、モールも重要な要素の一つです
FWのポッドにプレッシャー
帝京はかなりテンポの良いアタックをしてくることが見て取れます
その肝になってくるのはFW戦で押し勝っている時、つまりFWのキャリーがどんどん前に出ることによってモーメンタムを生み出しSOをはじめとするBKの選手に良いボールが供給された時のテンポになります
逆にいうと、FWのキャリーやブレイクダウンに質の高いプレッシャーをかけることによってそのモーメンタムを押さえ込むことはできるかと思います
表裏を使った細かいパスつなぎ
ひとまず、安易な飛ばしパスはしないほうが良いかと思います
BKの、特にエッジに入るような選手はその辺りの見極めがうまく、確実に前に詰めてくるので要注意ですね
その代わりと言ってはなんですが、表裏を有効活用したアタックをすることができれば帝京のディフェンスに対しても十分に戦うことができるでしょう
帝京のディフェンスラインはかなり精度高く詰めてきますが、ワンパスでずらすようなアタックに対してはタックルを外されることもあり、チャンスの一つになってくると考えられます
まとめ
帝京は現代の日本の大学ラグビーのある種の完成形であり、社会人に対しても強みを発揮することができるかと思います
ただ、完璧というわけではなく隙は少なからずあるようにも見えました
「この世に無敵の奴なんざいねぇ‼️」という蛭間妖一の言葉を最後に、今回の記事を締めくくりたいと思います
今回は以上になります
それではまた!