見出し画像

ミニコラム:Role-BasedにBKの多様性を考える

みなさんこんにちは
日本代表の最終戦も近い中、いかがお過ごしでしょうか

日本代表のBKラインのセレクションが話題になっていることもあり、自分なりにBKのセレクション、特に選手に求められる役割について考えて見たものを文章にしてみようと思います


従来のポジションの考え方

従来の選手の役割の考え方としては「背番号・ポジションに由来する役割」を求められると言うものが一般的なものではないかと思います。
「このポジションの選手であればアタック中は〇〇をする」といった一般的な認識につながるもので、特に10番以降の選手については個人的には以下のような認識が多いのではないかと思っています


SO:全体の司令塔

試合中のゲーム運びを担当し、パスやキックを用いてアタックをコントロールする役割を主に担当する。自身でキャリーすることも多いが、できる限りゲームをコントロールできる時間を長くすることが望ましい。

代表的な選手:ダン・カーター、ジョナサン・セクストン

12番:中央突破を狙うパワー型ランナー

古典的な分類で言えば、比較的パワーランナーが多いポジション。体の大きさや強さが特徴的であることが多く、パスも挟むがキャリーをする比率が多い。キックはあまり見られず、前に出ることが求められる。

代表的な選手:マア・ノヌー、サム・ケレヴィ

13番:外寄りのエリアで突破を狙うランナー

12番よりもスピードのある選手が多く、パスやキックといった細かい技術が求められることが多い。比較的細身ではあるが体の強さも兼ね備えている。どちらかといえば器用さが求められ、より外側に立つ選手との連携も大事になってくる。

代表例:コンラッド・スミス、ジャック・フーリー

WTB:スピードでトライを取り切るランナー

「チームで最もトライを取ることに信頼を置かれているポジション」。スピードスターが多く、基本的には外のエリアに立っていることが多い。アタック時は一番外でボールをもらい、スピードやステップを活かしてトライを取り切ることが求められている。

代表例:ジュリアン・サヴェア、ブライアン・ハバナ

FB:後方の司令塔

アタック時は様々な場所に顔を出して繋ぎ役をすることも多く、ランナーであることも多いため外側をスピードで走り切ることもある。ディフェンス時に果たす役割の比率が多く、視野と走力が求められる。

代表例:アダムアシュリークーパー、ウィリー・ルルー


厳密にはこのような形ではないこともあるかと思いますが、一般的なイメージはこれに近い形で推移しているのではないかと予想しています。
(少し世代古めの選手が揃っているのはたまたまです)

しかし、現在のラグビーはポジション間の明確な役割の分業制が薄らぎ、各背番号の選手が自由な位置どりをしながらアタックに参加することも増えてきているように思います。
新しい日本代表のプレースタイルもそれに近いものがあるかもしれません。

ただ、そういった「役割の多様性」に対して「ポジションに由来する呼称」というものが当てはまらなくなってきたという雰囲気も感じとっています。
特に中盤の選手はグラデーション的にさまざまな役割を果たしており、決まった位置でプレーをしている選手は減ってきているでしょう。

そこで、あくまでも「個人的に使いたいという欲求」に準拠した試みではありますが、役割に準じた「Role-Basedな呼称」を考えてみたいと思います。

Role-Basedな選手セレクション

ここで注目したいのは「役割に応じた呼称」と言う部分です。
役割というものは「チームとしてのニーズ」と「選手の個性」の掛け合わせで生まれるものであると思っています(もちろんチームのニーズに合わせて個性が伸びていくという考え方もあるとは思います)

サッカーは比較的その部分の呼び分けが盛んであると思っていて、役割や動きに準じた呼び方があるように感じています
自分としてはそのような呼び方を開発してみたいな、と思いました。

そこで、今回練り始めたのが以下の呼称です。
現時点で思いついたものを徐々にリストアップしていきます。
あくまでも「自分で使いたい」が基準になっているので、「これは違う!」に関してはご容赦ください。


Running Play Maker(ランニングプレーメイカー)

パスよりもランニングで相手を突き崩すことを得意としており、走力に優れている。従来の呼称であればSOの選手の一部が該当する。当然パスも得意としているが、自身でも積極的にラインブレイクを引き起こし、キャリー数が多い傾向にある。

代表的な選手:アイザック・ルーカス(BR東京)

False 12(偽12番)

12番に入ってはいるが、SO的な素質も兼ね備えている選手。10番の選手と交互(またはそれに近い頻度)でラックからのファーストレシーバーになり、ゲームを動かす役割を果たす。自身のキャリー・パス比を見てもパスをする回数が多く、深く下げるパスのようなバリエーションもある。

代表的な選手:中村亮土(東京SG)

9th man (ナインズ)

12番の選手が当てはまることが多く、ポッドに積極的に参加するなどFWにかなり近い役割を果たす選手。スイベルパスの精度などが高く、バックスラインへのボールの供給が安定しやすい。体の強さを誇る選手がこの役割になることが多いが、リーグワンではあまり見られない。

代表的な選手:三木海芽(元慶應義塾大)

Deep Play Maker(ディーププレーメイカー)

アタックラインに対して後方や外側から移動しながら参加し、主たるプレーメイカーからボールを受けたりすることでアタックラインに幅と速さをもたらすことができる。従来の呼称ではFBに入っている選手の一部が該当する(かも)。

代表的な選手:松永拓朗

Flat Line Maker(フラットラインメイカー)

全体的に浅い位置に立つBKの選手で、従来の呼称であれば12番・13番の選手が該当する(かも)。階層構造を作りながらアタックをする時には表側のラインに立つことが多い。パスもするが、自身のキャリーでアタックにモーメンタムをもたらすことを主目的としていることが多い。

代表的な選手:ダミアン・デアリエンデ

Deep Line Maker(ディープラインメイカー)

ラックに対して深く、遠い位置にポジショニングすることが多い選手。11番や14番といった、背番号で言うとWTBに該当する選手が当てはまることが多い。ゲームメイクにあまり関わらない15番の選手もこの役割を果たすことが多く、アタックラインにスピードをもたらすといった影響が強い。

代表的な選手:福岡堅樹(元埼玉WK)


このような形で、ポジションに応じた呼称ではなく、役割に応じて呼称を決めていくのもラグビーの理解を進められるのではないかと考えています。

今後も随時更新していこうと思うので、よかったら時々覗いていただけると幸いです

今回は以上になります。
それではまた!

いいなと思ったら応援しよう!