2024大学ラグビー:JapanXVのPacific Challengeを振り返る
みなさんこんにちは
夏のような暑さに近づいたこの頃、いかがお過ごしでしょうか
さて、4/10〜4/20の間にサモアでPacific Challengeが行われ、U20のスコッドにオーバーエイジ枠4人を加えたメンバーが挑戦しました
今回はそのPacific Challengeで行われたJapanXVの3試合についてレビューをしていこうと思います
第1戦:マヌマ・サモア戦(48−5)
マヌマ・サモアを振り返る
Pacific Challengeの初戦となったマヌマ・サモア戦ですが、インターナショナルレベルでのフィジカルレベルを最低限体感できる機会になったのではないかと考えています
後述しますが、戦術レベルではマヌマ・サモアの戦い方はある種低水準というか、国際レベルになかったように感じていて、「戦術的な駆け引き」のようなものはあまり見ることができなかった試合であるように感じました
一方でフィジカルレベルはアイランダーらしい強さを確実に示しており、JapanXV側も少し食い込まれていたような様相がありました
U20トロフィー本戦でも当たる可能性のあるタイプの選手像であるため、今回の大会に、一つ上のカテゴリーとはいえ参加することができたのは非常に大きかったことでしょう
Japan XVのアタック - 対マヌマ・サモア
それではアタック面での様相から見ていきましょう
試合を通じて得た感覚としては、エディー・ジョーンズ日本代表HCが掲げる「超速ラグビー」を実現しようとする様子はプレーの端々に感じることができたように思います
ペナルティを獲得したシーンでのクイックタップの選択やアタックフェイズ内のテンポなど、セレクションからも感じられるスピード感がプレーに存分に発揮されており、マヌマ・サモア側を大きく揺り動かすことに成功していたということができるでしょう
少し様子見をしているようなシーンも感じましたが、いずれのアタックも攻撃的で自陣からも積極的にアタックを重ねていく部分に関してはこだわりを見てとることができたように感じました
一般的な感覚の範囲内ではキックオフレシーブからはできるだけ早いフェイズでエリアを返すことを意識するかと思いますが、JapanXVは独特な9シェイプのポッドを挟んでBKの選手を広く使ったアタック展開に持ち込んでおり、キックオフから早いフェイズで外展開を好戦的に狙うようなアタック様相を見せていました
目立った戦術的要素としては、12番の本橋選手 - U20本戦でもキープレイヤーになると思いますが - のような大柄なSO役も果たせる選手が浅い位置でボールをもらうシーンも多く、ゲームのコントロールとフラットな位置でのフィジカルバトルを両立していたのが印象的でしたね
13番の上田選手もフィジカルレベルで十二分にアイランダーと渡り合っており、中央エリアでの手堅いラック形成をすることができていたのはリズム感にも貢献していたと思います
ポッドの使い方としては9シェイプが主で、少し深めの位置からグッと前に走り込むような形で勢いをつけるようなキャリーをしていました
石橋選手のような強烈なキャリアーが楔のように要所要所で前に出ることができており、9シェイプで大きく崩すことができていなくても、その後のアタックに勢いをつけることには成功していたように思います
マヌ・サモア側のブレイクダウンワークの水準が低いことも相まってラックがかなり安定していることもあり、SHの高木選手・土永選手のテンポコントロールが遺憾無く発揮されていましたね
アタックライン全体は少し浅いような印象を受けていて、パスの動きとラインの深さは少しずれがあったようにも見えました
プレーの安定感に関しても「攻めたプレー・パスワーク」の優先度の方が若干優位にきているように見えるシーンも多く、戦略的なプレー原則と思われる「外で勝負する」という要素を優先して崩れたパスキャッチでも外方向にパスを放ろうとするシーンが何度か見られていました
セットピースが安定していたのもかなり大きかったかと思います
前半のラストシーンのような取りきれないシーンもありましたが全体的にラインアウトも安定しており、モールでのトライも奪うことができていたりとアタックの起点として十二分な質が担保されていたように見えました
セットピースからの1stフェイズに関しては前方向のベクトル以外の方向に向かってランニングをする選手を数人置くことによって位置的な優位性を生み出すようなアタックをしていたのが印象的でした
アタックで他に目立っていた選手としては矢崎選手と海老澤選手が目立っており、横方向の移動量が多い海老澤選手と前に出る手段の多い矢崎選手といった感じでしたね
マヌマ・サモアのディフェンスラインが少し広く、かつ整備されていないこともあって細かなギャップを2人が突いていくシーンが多く見られていました
Japan XVのディフェンス - 対マヌマ・サモア
何よりもタックルシーンで押し込まれることなく、かつ86%オーバーといった高い水準でディフェンスをまとめることができたのが素晴らしい結果だったように思います
これまでのシニアを含むインターナショナルのシーンではフィジカルバトルの舞台で押し込まれるシーンも多く、カテゴリーが下がるとはいえ世界的な水準の至ることができていたように見えました
マヌマ・サモア側は階層構造を作ったりといった「戦略的優位性」を意図的に作るようなアタックはしてきておらず、JapanXV側もどちらかというとディフェンスはしやすかったのではないかと思います
マヌマ・サモアはアタックラインもシンプルで、フィジカルやステップワークに依存したようなアタックをしてきており、極端に尖った選手がいなかったこともあってJapanXVはきっちりと止めることができていました
ディフェンスラインのスピードがあったのもかなり良かったように思います
そもそも少ないマヌマ・サモア側のアタックの選択肢をかなり削ることができていて、相手も個人レベルでの打開ばかり図っていました
一方で上がり幅に統一感はなかったりと前後で生まれたギャップはいくつかのシーンでは目立っていたようにも感じます
気になったところとしては少しラック際の選手の位置関係が狭めだったことでしょうか
今回はマヌマ・サモアが近くもなく遠くもない中途半端な位置関係でアタックを展開してきたこともあって直接的な脅威は薄れていましたが、少し全体的にディフェンスラインはタイトだったシーンもあったので、うまく外に展開してチャンスメイクをするようなチームに対してどのように対応するかは見ものに感じます
第2戦:フィジー・ウォーリアーズ戦(45−43)
フィジー・ウォーリアーズを振り返る
フィジアンらしい、変幻自在で自由なラグビースタイルはカテゴリーが違っても健在であることをまざまざと見せつけられたような印象の試合でした
「普通はそう繋がない」ようなシーンで容易にパスを繋いでくるあたりにスキルを感じますし、独特のプレイングレンジもあってJapanXVはディフェンスにかなり苦労していたようにも見えました
特にマヌマ・サモアと違っていたのは「独特な感性・間合いとプレイングスタイルやスキルが合致している」といった点でしょうか
マヌマ・サモアもある種自由な動きを得意にしているような雰囲気はありましたが、身体能力はまだしもスキルがその水準に至っていなかったような印象は受けました
一方でフィジー・ウォーリアーズはスキルが極めて高水準であったために彼ら自身がイメージする動きや形を実現することができる能力値だったようにも見えました
ただ、全体的に集中力や意識は散りやすいように見えるシーンも多く、少しの意識の傾きでJapanXV側に攻勢を仕掛けられたり、小さなプレイングエラーが目立っていたようにも感じました
ある程度は身体能力でカバーできる部分もありましたが、JapanXVの戦略的な試合運びでその部分を覆されていた印象です
後半最後のJapanXVに逆転を許したシーンもその最たる例で、本来であればキープをし続けて時間切れを狙うようなプレイングが主流とは思いますが、おそらくはフィジアンの攻撃性のような意識の傾きが起き、結果として中途半端な攻勢に出てしまったのが敗因と言っても過言ではないかもしれません
JapanXVのアタック - 対フィジー・ウォーリアーズ
マヌマ・サモア戦に続き、今回の試合でも大きな様相の変化はなく、目指しているであろうラグビーの形を見ることができたような試合展開だったように思います
何よりもアイランダーに対して極端にフィジカルで押し込まれるようなシーンがほとんど見られなかったのが過去に行われた同カテゴリーの試合に比べると向上が見られた点ではないでしょうか
アタックの様相に関しては今回も「スピード」と自陣深くからでもアタックを繰り広げる「積極性」のようなものを見ることができたように思います
特に何かのシーンで前に出ることができた状況の次のフェイズでは全員の意思がしっかりと統一された様子が見受けられ、統一感のあるシステムとスピード感でアタックを見せていました
外側のエリアでのライン構造がシンプルだったことも影響して、細かな数的優位を的確に狙うアタックができていましたね
アタックのシステムとしては複雑な階層構造を何層も連ねると言った形というよりかは、ラックに近いエリアで一つのポッドと階層構造を作り、外側はラインスピードを重視したシンプルなライン構造を作っていた印象です
階層構造が少ないことで同じ人数でもラインに幅感を作り出すことができており、フィジー・ウォーリアーズ側のディフェンスラインのコネクションに亀裂を生むことができるので、ギャップを狙いやすくなっていたのではないかと思います
また、特徴的な様相としてはキックオフからの数フェイズが印象的で、マヌマ・サモア戦とも似たような様相にはなりますが、キックオフを受けた選手がラックを作るとそこからの展開として少ない人数でのポッドを並べ、ポッドの間をBKの選手が埋めるようにライン展開をしていたようなイメージです
それ以外のフェイズにおいてもFWの選手は全体的に散ったようなポジショニングをしており、その間やポッド自体にCTBの選手が組み込まれることによって位置関係や厚さを調整したような気がします
全体的にトライの形もさまざまなものが見られたのも大きいですね
セットピースのディテールの質が明らかに相手を上回っており、モールでも展開でも、キック起点でもトライを取るような状況に持ち込むことができていたのは十分以上の収穫ではないかと思います
ただ、後半にかけて少しアタックの精度が下がったようにも見えていて、アタックラインの一貫性が失われることでスピード感が落ち、パスだけは前半通りの深さの感覚で続けていたので位置的なずれが大きくなってしまっていたように見えました
一方で最後の最後までワークレートが落ちることのないラグビーを継続することはできていたので、この厚さの中継続することができたのは自信にもつながってくると思います
目立ったプレイヤーとしてはオーバーエイジ枠の4選手を挙げたいと思います
中でも青木選手と佐藤選手はフィジカルバトルの部分で相手と五角以上に渡り合うようなプレイングを見せ、青木選手はダイナミックさ、佐藤選手は精密さの観点で完全に相手を上回っていたように思います
土永選手の左足から繰り出される長いボックスキックや秋濱選手の安定感のあるランも通用していましたね
JapanXVのディフェンス - 対フィジー・ウォーリアーズ
何よりもフィジカルバトルで押し切られなかったのが今回の試合の中での収穫になるかと思います
全体的な体格の面ではマヌマ・サモアの方が質量的に上回っていたようにも感じますが、コンタクト水準はフィジー・ウォーリアーズも高水準だったようにも思うので、そのレベル感の相手を抑え切る体験ができたのは大きな経験ではないでしょうか
ディフェンスラインの面では全体的に手堅く、きめの細かいラインを引くことができていたように思います
ディフェンススピードはマヌマ・サモアから継続して高水準を誇っているので、相手の選択肢を時間的に奪うようなディフェンスをすることはできていたように見えました
一方でフィジー・ウォーリアーズは比較的シンプルなアタックラインを形成していたので、実質どれくらいプレッシャーをかけることができていたかは未知数のところもありますね
気になったところではディフェンシブなトランジションはアタック時に比べると遅い印象があり、少しミスが起きた・ボールのあるエリアに選手が集まってしまったりと少し先を見据えたポジショニングまでは至っていなかったようにも感じます
全体的にラインはタイトで、相手のフィジカルレベルを警戒しての動きのようにも見えましたが、コネクションが少し弱いのか若干食い込まれると容易にオフロードを繋がれていたシーンが続いていたのも印象的でしたね
また、JapanXV側がタックルをしても相手に粘られていたのも少し気になるところでしょうか
もちろんフィジカルバトルではある程度互角に戦うことができていましたが、フィジアンは手足が長いために動きを完全に封じないと相手に余裕を与えてしまうような状況が散見されていました
相手の勢いを殺しきれないために相手側に体が残ってしまうタックラーが多く、後半にかけてペナルティが増えた要因の一つだったようにも思います
試合を通じてフィジアンの予備動作のないプレイングにも翻弄されていたようにも見えましたね
基本的に加減速をはじめとする一つ一つのプレーの多くには予備動作があって、それに対応してディフェンス側の行動選択が生まれるとは思うのですが、フィジアンは独特の間合いと予備動作の極めて少ない動きをしているので、JapanXV側が少し後手に回ることによって位置的・スピード的に優位に立たれていたようなシーンもあったように思います
第3戦:トンガA代表戦(65 - 15)
トンガA代表を振り返る
やはりアイランダーということもあってか、体格的にシニアの選手と比べてもそう遜色ない選手たちが揃っていましたね
極端に早い・上手いような選手はそこまでいなかったように見えましたが、とにかくサイズが大きく、フィジカルレベルの高い選手が多かったように感じました
ラグビースタイルに関してもそこまで複雑な動きを選手に求めているような形ではなく、シンプルな構造に終始していたように思います
ポッドを作っても9シェイプが主で、SOが持ったら外に展開するシーンが多く、SHからの1パスでFWの選手や12番の選手がもらうシーンというのがキャリーの多くを占めていたように感じました
強烈な選手というのはそこまで感じませんでしたが、9番の選手と12番の選手はそういった選手の中でも1人である程度打開を図ることができる選手だったのではないかと感じています
特に12番の選手に関してはキャリーでトライを奪ったりと体の大きさを活かしたプレースタイルでJapanXVを強制的にフィジカルの舞台に持ち上げていた要因の1人でもあるように見えました
ディフェンスについて見ると、こちらも高水準のプレーは見られず、1対1のシーンではある程度JapanXVを抑えることができていたものの、外展開にはかなりの脆弱性を見せていたように思います
思いつきで前に詰めるような動きをするような選手も見受けられ、戦術的にディフェンスができていたような印象はありませんでした
JapanXVのアタック - 対トンガA代表
アタックに関しては、大会の締めくくりにふさわしい「チーム・個人の良さが存分に発揮されたアタック」ということができるかと思います
大会前はチーム全体のトップカテゴリーでのプレー経験の薄さを正直心配していましたが、今大会を通じてその懸念を振り払うかのような生き生きとしたプレイングを選手たちは見せてくれていたように見えました
まず、特徴的な点の一つ目として、キックオフからも積極的に攻撃を繰り返すシーンが目立っているという点ですね
キックオフレシーブでラックを作った後にその中でも特徴的な動きが見られ、2人で構成される2つのポッドの間にBK、主に本橋選手が入って外展開への繋ぎとなるシーンが多く見られています
バックスライン全体を見るとシングルラインでシンプルな構造をしているので、敵陣ということもあってフロントラインにあまり人数を割いていないトンガA代表のディフェンスを外のエリアで崩すシーンが目立っていました
9シェイプがぐっと前に出られたことも大きかったですね
両LOに入った物部選手や石橋選手が主に体を張り続けていて、コンタクトからしっかり粘って前に出ることができていました
トンガA代表が全体的に後ろ重心のディフェンスだったこともあり、刺さられることもなくコンタクトの舞台で互角以上に戦うことができていたように思います
一方で9シェイプよりも外方のアタックラインに関しては複雑な階層構造といったものは見られず、外に行けば行くほどシンプルなライン構造をしていたように感じています
だからと言って外で崩せないというわけではなく、外で十二分に勝負をすることができる選手が揃っているからこそのアタックラインの幅感と構造性だったようにも見えました
また、ミスパスとも言われる飛ばしパスと普通の1人ずつ順番に回していくパスを使い分けることで、相手のディフェンスの流す動きを混乱させていた要素もあったように思います
1人ずつ回すパスワークを外まで続けていった場合、相手は一定のリズムで外方向に体を動かし続けるだけで少々のオーバーラップには対応できるかと思うのですが、JapanXVがミスパスを交えたアタックをすることで一発で2対1となるエリアにボールを運ぶことができていました
それによって外のエリアで結構容易に数的優位を作ることができていたようにも見えました
それに合わせて位置的な優位性を作るのもうまく作用しており、特に10番の伊藤龍之介選手と12番の本橋選手のコンビネーションがいい味を出していました
本橋選手はSO経験もある、ボールを動かすことができてかつキャリーも手堅く行うことができるようなCTBなので、細かい動きを交えながら裏側のアタックラインの中を走り回る伊藤龍選手との相性が非常に良く、伊藤龍選手が外に開きながらボールをもらうことで重心の据わっていないトンガA代表のディフェンスに対して大きく優位性を取ることができていたように思います
ポッド内外の散らしもある程度の効果を持って相手に効いており、大きく崩すことこそ叶わなかったものの、引き気味のトンガA代表のディフェンスと相まってモーメンタムを作り出すことができていたように感じました
ただ、全体的に少し確度の低いプレー・パスワークも散見されたようにも思うので、このあたりの正確性がこれから先でどこまで成熟するかは見ものだと思います
選手としては両WTBが輝かしいプレーを見せていて、中でも矢崎選手のプレーは最低限シニア代表でも通用する水準を見せていたように感じます
ボールをもらってからの加速や選ぶランニングコースも素晴らしいものがありますが、今回の試合で僕の目を引いたのはターンオーバー後の迷いのないサポートコースともらう際のスピードですね
相手の混乱に乗じてほぼ最適解に近いコースでスピードよくボールをもらうことができるので、トンガA代表は全く対応することができていなかったと思います
JapanXVのディフェンス - 対トンガA代表
今回の試合の中でも積極的に前に出る姿勢を見ることができたと思います
精度も非常に高く、それに伴うタックルの強度の部分でも相手を十分に押し込むことができるだけの強さで相手にコンタクトをすることができていたように見えました
一方でシンプルなフィジカルの土俵に立たされると相手に軍配が上がるようなシーンもあり、発展途上という言葉がどちらかというと適切かもしれません
低いタックルで相手を倒すことができた様子とは裏腹に少しでも高く入ると相手の質量に押し込まれる様子もあったため、どの方策でタックルを仕掛けていくかといった部分は、もしかすると課題となってくるのかもしれません
また、前半の終盤や後半の中頃にかけて全体的に集中力を欠いているようなシーンも見受けられ、体の当て込み方が甘くなったり、精度も下がってしまっていた印象です
重心のコントロールにも苦労していたようにも見受けられ、前がかりすぎてタックルを外されたり、後ろに重心がかかりすぎてステップで大きく姿勢を崩されたりといったシーンも見られました
JapanXVのPacific Challengeを振り返る
大会全体を通じて、非常にいいアウトカムを出し続けることができていたように感じます
相手がアイランダー系ということもあって複雑な戦略面での勝負にはならず、戦略的負荷がなかったために自分たちの戦略を無理なく試すことができていたようにも見えましたし、そのどれもがうまく相手の動きや要素と噛み合っていたように思います
細かい戦術の部分は各試合の振り返りでも書いたので割愛しますが、複雑な動きを要するサインプレーや戦略がなかった分、細かい動きや「〇〇の時には××する」といったゲームモデルを含むディテールの部分にかなりこだわることができたのではないかと思います
もちろん各プレーの中でミスも散見されていましたが、イージーなミスというよりは攻めたプレーの結果としてズレが生じたことによるミスといった要素の方が強いと思うので、そう極端に悲観する要素ではないように感じました
オーバーエイジ枠として4人の大学上級生が参加していた今回の大会でしたが、どの選手も選出に値する高水準のプレーと、大学生らしい豪快ながらも精度の高いプレーを見せていたように思います
土永選手以外は今年度は4年生になった事もあってチームを引っ張っていく選手になるかと思いますが、今回の経験を経て失われていた「国際舞台の強度の中でのゲーム経験」というのは積むことができたのではないかと思います
今大会3試合を通じて出色の出来栄えを見せていた選手として、自分は矢崎選手を上げたいと思います
昨年度のU20を経験した事もあってかプレー全体に落ち着きがあり、極端に多くはないボールタッチの全てでチームに勢いをもたらすプレイングを見せていたように思います
個人的に、叶うなら矢崎選手は早い段階で大学レベルを超えた上の水準でのトレーニング環境と試合経験を積ませてあげた方が、絶対的に今後の日本ラグビー界のためになると思います
このままいけば、日本ラグビーの至宝となる可能性を秘めた選手です
まとめ
今回3戦3勝という結果で終えることができたことは非常に好印象で、ジュニアカテゴリーではありますが、日本ラグビー界の目指すべき形の一つが示されたような大会だったように思います
ジョーンズ日本代表HCも積極的に合宿や試合にも来ており、この世代の重要性を明確に示しているという事もあって、本戦が非常に楽しみになってきた事でしょう
本戦では今回試合したチームのうちトンガかサモアと当たったり、ヨーロッパのチームとしてスコットランド代表と当たるプールになっています
フィジカルレベルで今回相手取ったようなチームを超えてくるチームはそう多くはないと思いますが、スコットランドはもう少し戦略的な勝負を仕掛けてくると思うので、この辺りの対応力といったものを培うことが今後は求められてくるかもしれません
今回は以上になります
それではまた!