東海大学ラグビー部とどう戦うか 〜傾向と対策〜
みなさんこんにちは
そろそろ夏合宿の試合が始まっていきますね
今回は秋シーズンプレビューの第5回ということで東海大学に注目していきたいと思います
参考記事はこちら
それでは順番に見ていきましょう
メンバー
試しながらも中心選手は固定的に使っている印象でしょうか
帝京戦で少しメンバーが変わっていたのが意外といえば意外ですね
スタッツ
元々の反則も少し多めですが、春シーズン後半の強豪校との試合になるにつれてペナルティが少し増えていますね
あとはタックル成功率が気になる点になるかもしれません
東海のアタック
基本スタンスは1−3−3−1となっているように見受けられ、中央エリアでBRのオフィナ選手が中核となってDefenders Beatenを引き起こし、外のエリアでは速いランナーがビッグゲインを切るという、要所要所でキーとなる選手によるゲインを狙いに行くスタイルのような気もします
イメージを捉えるならば「9・10を中心に組み立て、生まれたギャップをFW間の小さいパスや表裏を使ったアタックで攻略する」といった形になるでしょうか
アタックの中心になるのはBRのオフィナ選手ですね
他の選手もキャリーはしていますが、彼がポッドの中心に入りキャリーすることが比較的多いかと思います
逆に言うと、オフィナ選手をダミーに使ってその裏をアタックしたり、オフィナ選手からの1パスでうまく抜け出していたりと、中核となる選手をうまく活用してアタックしている印象です
また、オフィナ選手と同様にピックアッププレイヤーにも挙げていますが、SOの武藤選手のゲームコントロールがピカイチですね
武藤選手は優れたゲームメーカーであるとともに、自身が好ランナーであるために隙のないスキル構成となっています
視野も広く相手のギャップを有効的に狙うことのできるスキルがあるため、アタックも武藤選手を中心に組み立てられています
SHの捌きも早く、いくつかの試合ではかなりテンポが速い様子が見受けられました
一方でそのテンポにFWがはまっていない瞬間も見られているため、アタックの主とする要素としてテンポを優先するのはちょっと怖いかもしれませんね
また、FWのポッドがある程度は起点となっているため、FWのポッドの場面で相手からのプレッシャーを受けてしまうとBKへの効果的なボール供給が難しくなってしまうかもしれません
東海のディフェンス
少しタックル成功率の向上の余地はあれど、全体的には相手を押し込めることができているように見られました
元々の強さがありますからね
雨の試合もあったので強みを完全に発揮できていない試合もあったかと思いますが、どの試合もある程度は止め切ることができています
タックルの質そのものは日本的な低いタックルをする選手と体の強さを生かした相手をガッチリととめる選手の2パターンがいて、かつどちらも対応できる選手がいました
体の強い選手、タックルの強い選手が揃っていることもあり、いわゆるBump-Offされるシチュエーションはそこまで見られず、ミスタックルに分類されるプレーで多かったのはステップやスピードで外されるパターンですね
特にFWの選手はその辺りの間合いの取り方のミスで外されることが多かった印象です
また、後半にかけて崩れてしまうこともあり、その場合は特にラック近くの選手がボールウォッチャーになってしまう時もありました
東海のピックアッププレーヤー
SO 武藤ゆらぎ
東海大学附属大阪仰星高校出身のSOですね
高校時代、また東海大学に入ってからも毎年注目されている選手であると認識しています
比較的万能型の選手であると思いますが、中でもランニングスキルに関しては目を見張るものがあるように思います
そこまで大柄ではなくステップも極端な方向転換をするほどではないですが、その細かい方向転換が優れたランニングコースの創出に一役買っているのではないでしょうか
ギャップがあれば攻撃的に自分でそのギャップを攻める姿勢があるのはとてもいいですね
もちろんパススキルも安定していて、ロングパスやショートパスなどの長さのコントロールはもとよりタイミングや判断にも優れているため、味方選手がうまくエリアを見つけてスピード良く走り込んでさえいれば武藤選手からの1パスで大きなゲインを狙うことができると思われます
他大学のSOの選手もある程度見てきましたが、他の選手とは違う間合いの取り方、ランニングコース、状況判断のスキルがあり、唯一無二の存在でしょう
武藤選手がいかに自由に動き状況判断をすることができるかが東海大学の今年のターニングポイントになるかもしれません
BR オフィナ・アフ
東海大学附属福岡高校出身のBRであり、東海大学が誇る強烈なペネトレーターの一人です
おそらく春季大会の全選手の中でも随一のDefenders Beatenの数を示している選手であると思います
先述したように一番の特徴はその強烈なボールキャリーになります
ボールキャリーの質単体で見るとおそらくリーグ戦どころか対抗戦も含めた選手の中でトップクラスだと思います
ランニングスピードに限って見ると他のBRの選手でもいいランニングを見せていると思いますが、コンタクトを伴うランを見ていくと他の追随を許さない状態です
正直「マジで強い」ですね
そのキャリー能力を買われてか、キック処理のためにボックスエリア=ラックの後方など相手SHがキックで狙ってくるようなエリアに立っていることも多いですね
この戦術に関しては世界的にも多くとられている考え方で、スプリングボクスではドウェイン・フェルミューレン選手がそのエリアに立っていたりと、強く器用な選手が任されている印象です
あえて弱点のようなところを挙げるとすればハイパントやボックスキックを受ける時のキック処理の部分ですね
肝心要の部分ですが、この部分でのミスは時々見られるのが人間味があっていいですね
逆に、この部分に関してノーミス、または周囲の選手との協力体制が完成した場合は手がつけられなくなると思います
東海と戦うには
ハイボールでエリアコントロール
外国出身選手を中心に高身長の選手も揃っていますが、BKにはそこまで高身長ではなく、ボックスエリアに立つことが多いオフィナ選手も突出して優れている選手と言うまでには至っていないため、ハイボールを中心にキック戦略を組み立てていくことは一つの戦略になりうるのではないかと思います
大柄な選手も多いことから、東海を相手取る際にはハイボールで相手を背走させることも戦略になっていきそうですね
2015・2019年W杯で日本代表がサモア代表を相手に用いた戦略も相手を背走させるプランであったと一部では言われています
完全にロングキックを中心に組み立てていくとエリアを取りやすい反面、選手が背走しなければいけないシチュエーションが減り、相手のフィットネスに負荷を十分に与えることができないと言うことができます
つまり、相手を背走させて負担をかけるとともに、ハイボールキャッチのような50:50のシチュエーションを増やすことでエリアマネジメントを図っていくと言うことが一つの戦略になるわけですね
ブレイクダウンへのプレッシャー
東海のブレイクダウンでのボール出しを遅らせると言うのが二つ目の戦略案になります
SHの辻選手、竹田選手は球捌きに優れており、テンポを出すことによってアタックにスピードをもたらすとともに、相手のディフェンスのセットに負荷をかけることによってSOの選手に状況判断の余裕を与えることにもつながっています
そのため、ブレイクダウンでファイトして球出しを遅らせたり、相手にプレッシャーをかけることによってテンポを出させないことによってHB団にもプレッシャーをかけることが可能になります
東海のアタックの肝はポッドの強さとテンポの速さにあるので、そこを妨げることでアタックの良さを抑え込むことが可能にもなるわけですね
ポッドへのプレッシャー
東海の強みというか、全体的なアタックを構成する要素としてポッドの強さが挙げられると考えています
オフィナ選手もそうですが、それ以外にも体の強い選手が多く、ポッドで極端に前に出ることができなかったとしても、テンポさえ出すことができたりゲインを切ることさえできれば東海の良いアタックへとつながっていきます
そこで考えられる対策としてはFW戦で負けずに押し返す、またはピタッと止めることになりますね
先述したブレイクダウンへのプレッシャーにもつながるところですが、FW戦で負けずに押し返すことができれば東海のアタック全体でのプレッシャー、負荷をかけることにもつながるように思います
まとめ
今回はこれまでレビューした試合の多くが短めのレビューだったこともあり、そこまで多く深掘りすることはできませんでしたが、東海の強さの一端を紹介することはできたかなと思います
もちろんこれだけが東海のラグビーではないと思いますし、まだ見せていない強さもあると思うので、一つの参考データとして楽しんでいただければ幸いです
今回は以上になります
それではまた!