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グラデーションから始まる世界と遊ぶ

気がつくと夕方。
昼の時間に終わりをつげ、夜にまた出会うころが近づく。

夕陽が西の空に沈むと、ほどなくオレンジの空が紫やピンクへと秒刻みで変ったあと、緩やかに黒が領域を広げ、街明かりが星の輝きを相殺する。

新月の前後ならば、宵闇が訪れる深夜近くになると、ネオンも消え、静寂のしじま、明るい星を一つ、二つと数えることができる。

そんな時にどこからともなく聞こえる飛行機のエンジン音に、目を空へ泳がせると、どこか遠い国へ向かうのであろう翼の赤いランプが一気に彼方へ消えていく。

満月の夜ならば、真夜中、外に出て月がつくる影がゆかしい。
月を経由して地上に届く光は、昼のストレートでエネルギッシュな太陽の熱と光に比べ、穏やかで柔らかくクリアなインスピレーションを連れてくる。

冬の月光浴は冷気とともに思考と感覚を一段と冴え渡らせる。

夏は月を見上げ、手を広げ光を浴びると、オーバーヒートで呼吸が浅かった身体へ、酸素がチャージされる。
クールダウンと再生。

最近は地球温暖化で明らかに短くなった春や秋、天気に恵まれれば、心地よい湿度と温度のなかに身を委ね、月光にしばし包まれる。

今宵の月も、今生一期一会。
わたしたちが生まれる前から、わたしたちがこの世から離れた後も、空から月は明るくあまねく照らす。

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