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今が一番幸せ、と言えること。

今年89歳になる義母は、約10年前に夫である義父がなくなった後は、田舎の広い家で1匹のトイプードルと暮らしている。
いつ行っても綺麗でホコリ一つない整頓された部屋を維持して、庭と家庭菜園で花や野菜を育て、時々おすそ分けしてくれる。
舅・姑・小姑たち・夫のパワハラにも耐え、サバイバルしてきた義母はいつも笑顔で感謝の言葉を常に口にする、つよくたくましく優しい人だ。

15年近く通うデイリハでも、体力・柔軟性はスタッフの方々も驚くほど、若いままで、同世代のなかでもとびぬけているらしい。

とはいえ、加齢による不便もところどころ出ていたりすることもあり、息子は毎週末様子見も兼ねて、買出しやちょっとしたお出かけの運転手をしている。

義母は息子たちとの同居はのぞんでおらず、むしろ自由で気楽な今の生活が一番楽しく、幸せなのだと、常々話をする。
好きな時に趣味のお習字やお裁縫で好きなものを作り、好きなビールをのんで気持ちよくご飯を食べ、かわいい犬を相棒のように暮らし、孫の成長を愛でる。

今更生活時間や習慣も違う人間と一緒に暮らすより、元気で自分のことを自分でできるうちは、自分のペースで生活し、病気や何かあった時に頼れる先として息子たちがいればいいのだと、いう。

そんな彼女を友人たちは口々に、「いいわね。息子さんは毎週末来て気にかけていて、安心して自由に暮らせ、幸せね」と祝福してくれるらしい。

「みんながいいわね~って言ってくれるので、いつも息子や家族のおかげ、っていうの。
わたしは、ホント、今が一番幸せ。いろいろあったけど、何があっても一番幸せ。周りのひとにも病院の先生にもいつもよくしてもらって本当に、一番幸せ」
いつも彼女は感謝と幸せに包まれている。

彼女の年齢を超えた「若さ」は自立して自由な生活に加え、今を生きる幸せと感謝に満ちている精神・こころの豊かさがもたらしているのではないかと思う。

「このまま自分でやれるうちはやって、病気でやれなくなったら、入院して1ヶ月くらいで旅立てれば、それでいいの。」
どのようにその時を迎えたいかが明確にあることで、今の「生」の一瞬一瞬を生ききろうとする彼女の姿は、本当に清々しく、尊敬の念がこみ上げる。

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