みどりの風のなか、みどりの観音さまとみどりの龍
1人のランチタイム。
窓際のカウンター席から見える空は青く、通りの木々の緑がいのちのエネルギーを感じさせる。
5月の少しひんやりした風の中、オフィスをでて少しそぞろ歩き。
右か、左か、はたまたまっすぐか。
オフィス庭のエントランスを出て広がる周囲を見渡す。
正面の方には二人連れの外国人の背中が見え、左にはランチ帰りのような男女4~5人連れがこちらに向かってくる。
右手の木々に誘われ、少し歩く。
庭園の水路の音に心地よく呼ばれているようで、木陰の下の湧き水のような水源をのぞき、透明な水底と揺れる水面を、音と共に、気分はゆらりゆらり。
靴を脱いで水に足をつけたい衝動を隠し、更に右奥へと歩く。
隣の寺院の境内に続く道には左側に大きな観音様がいらっしゃる。
参拝するには少し階段を上るので、いつもは通りすぎるのだが、今日はお顔を拝見したく思い、何年ぶりかで目の前に立つ。
もう一度向かい合い、手を合わせてみる。
誰もいない緑の光の中で、目をつぶり、合わせた手のぬくもりを感じ、風の音を聴き、ゆっくり呼吸する。
どこからともなく穏やかな気分とともに、「世界ひとりひとり、みんなが幸せで健康で豊かで明るい毎日を、あたたかな一瞬一瞬を過ごせますように」などと、普段には素直に出てこないような言葉がこみ上げてくる。
そうなんだ、わたしは、わたし自身の幸せと同じくらいみんなの幸せを願っているんだ、と思いがけず気がつく。
時計の時間にしてはそう長くもない、観音様と一緒の時間は、こころにとってはゆったりと流れ、深い瞑想をしたかのようだった。
きっと今脳波測定したら、究極のリラックス状態だろう。
今日はこの瞬間のために、見えない力に導かれてきた、という感じだろうか。
観音様にお礼のお辞儀をして、元の道にもどり、境内を通り抜ける。
水音の先には龍がいたことを思い出し、これまた思いつきで会いに行く。
青龍にも緑龍にもみえる不思議なたたずまい。
水は流れ、水は雨のように降り注ぎ、浄化と恵みをもたらしているようだ。
龍を後にして、お昼休みの終わりが近づく。
週1ペースの出社であとはリモートワークの毎日。
7月末で会社を辞めることにしたことを思えば、あと何回会社へ来ることだろうかと朝考えていたことを思い出した。
そのうちの1回の今日、観音様と龍に導かれた境内で、ちょっとしたインナートリップで満たされた。
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