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コロナウイルスの色は何色なのか


一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会代表理事
色彩専門家・カラーコンサルタントの 南 涼子
 です。

ここ2年ほどニュースで見かける新型コロナウイルスの画像の「色」
あなたのイメージでは何色として定着していますか?

1.配信元によって違うウイルスの色

実はウイルスの画像に使われている色は配信元によって違います。
どういう基準で色が使われているのかと言えば、あくまでも画像の作成者が勝手に決めたものであり、統一されているわけではないと言います。

「一体なぜ、様々な色が付いた新型コロナウイルスの画像が報じられているのか」という疑問について、オーストラリアのニューカッスル大学で上級講師を務めるサイモン・ウィービング氏は下記のように解説しています。

「怖い赤または厄介な緑? コロナウイルスの色がわからないので、ドレスアップすると恐怖を感じるかもしれません。新型コロナウイルスの色がバラバラなのは、超微視的世界において色を知ることが難しいからである」。

2.ウイルスには色がない?

では実際にコロナウイルスはどんな色をしているのでしょうか?研究者らによるとその正体は「白黒」としています。

ただしこれは「条件的な色」ということになります。

なぜなら新型コロナウイルスの分子のサイズは可視光線の長さより小さいので、光を使って見ることができないのです。

光が届かない場所で物を見る=色がない訳です。

ウィービング氏は「ウイルスは非常に小さいため、光学顕微鏡を使ってウイルスを見るのは「サーチライトを使ってサッカースタジアムからアリを探すようなもの」だと述べています。

 ウイルスの赤や黄色、青、またはピンクなどの色は、細部をよく識別するために利用されているものであり、3D画像も同様の理由です。
画像によって新型コロナウイルスの色が違うのは、作成者の持っている知識に違いがあるという訳ではなく、単にそれぞれの感性によるものだそうです。

3.ウイルスを見るのに光は不要

科学者がウイルスを見ることができるようになったのは、光の代わりに電子線を使って対象を観察する電子顕微鏡が開発されてからのことです。
波長が可視光線よりもはるかに小さい電子線を用いることで、光を使って見ることができないウイルスの構造の観察が可能となったのです。

電子顕微鏡は対象を観察する上で光を用いていないため、対象の「色」を知ることができません。このため、電子顕微鏡で見るウイルスは、実際には白黒の状態なのです。

4.色がインパクトと説得力を作り出す

前述のウィービング氏は、「見慣れない灰色の塊に過ぎない画像は、説得力のある、ないしは感情をあおるようなメディアコンテンツになりません」と指摘しており、実際に、ウイルスの流行について報じた過去のニュースでは、ウイルスそのものの画像よりも「ウイルスに関連したインパクトのある画像」が多く用いられています。

今回の新型コロナウイルスでは、症状そのものは風邪やインフルエンザと類似しており、死亡者も高齢者が大半を占めていることから、インパクトのある画像が比較的少なくなっています。

そのため、ウイルスの画像を着色してインパクトのある見た目になった新型コロナウイルスのビジュアルが、ニュースなどでよく用いられているのです。

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