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イラクでチャリ爆走してたらシーア派の高位ウラマーに謁見したりテレビ出演する事になった話①


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皆さんこんにちはご機嫌よう。2ヶ月ほど前、外務省と色々ゴタゴタがあった後、暫く普通にツイートしていたツイ廃の僕がほとんどツイートしなくなったので一部の人は気付いてたと思う。僕はイラク旅行を強行していた。

外務省に何回も渡航中止勧告を受けた。両親からも祖母からも電話がガンガン飛んできた。外務省のやった事は仕事だし正しいのは否定しない。でも僕は好奇心に抗えなかった。ただ僕はどこぞのフリージャーナリストみたく紛争地帯の真実を届ける責務があるんだ!みたいな高尚な正義感は持ち合わせてない。

好奇心は全てに勝る。どの分野においても僕は自分の知らない世界に到達出来る事に至高の喜びを感じてしまう。よく言えばフロンティア精神に溢れてるし悪く言えば自制出来ないただの馬鹿だ。

まぁそんな自分語りはこの旅行記の本質ではないのでここで終わりとしておこう。それでは本題に入りたいと思う。

シーア派の聖地カルバラへ


幹線道路沿いの光景

その日僕はカルバラに向かっていた。シーア派の聖地である。バグダッドからだと直接行くバスも電車も存在しないので交通手段は乗り合いタクシーと呼ばれる奴である。そもそも電車もバグダッドからバスラまでの寝台列車が週に3本あるのみなので筋金入りの車社会である。(と言うより長年の戦争と紛争でインフラが破壊され尽くされているだけである。)

タクシー乗り場に着くとあちこちから地名を絶叫する声が聞こえてくる。4人同じ目的地に向かう者を集めたら出発できるから運転手も必死である。

「カルバラ!カルバラ!カルバラ!カルバラ!」そう叫ぶ方向に向かって行く。途中「プライベートタクシーでどう?」という茶々が入る。そんなのは面白くないので無視して進んでいく。路線バスすらなくて乗り合いタクシーで旅行するなんて経験初めてだからだ。

早速値段交渉の始まりである。事前にホテルのスタッフや現地人に相場の値段は聞いておいたので外国人価格で吹っかけてくるタクシーはガン無視していく。日本人が珍しすぎて野次馬も含めてワラワラと集まってきた。こうなったらしめたものである。

相場の値段じゃ無いと乗らないから!と宣言すると周りのタクシー運転手が値段を言ってくる。ただお互い先に人数を集めて出発した方が得策であるのでどんどん安い値段を提示してきた。結局ロードバイクを積み込むと言うことで相場の1.3倍の値段になった。まぁ妥当な値段である。(と言いつつも150kmのタクシー乗って日本円で1800円程度である。)

初めての乗り合いタクシーでとてもワクワクしたし値段交渉もうまくいき満足であった。既に僕含めて3人集まっていたので残り1人を待っていると同乗者のイラク人がお菓子をくれた。流石こう言うところはアラブ的である。

10分ほどしてもう1人も集まり無事出発となった。ここからは検問地獄である。主要都市に出入りできる道路には全部イラク軍の検問が存在している。出る時は比較的緩いが入る時はかなり時間がかかる。結局カルバラに行くまでの道のりで5つのチェックポイントを通過した。そのうち3回はパスポート提示してくれと言われ、日本人ということで上層部へと報告か照会かけられた。

最初は訝しんでいたイラク軍人の人たちもアラビア語で自己紹介と挨拶するとニコニコ笑って「席すわりな、チャイ飲む?」と大歓迎である。無事確認が終わると恒例の撮影タイムとなった。


こうして2時間ほど車に乗っているとカルバラが見えてきた。タクシーがカルバラについた後、目的地のホテルの目の前でおろして欲しかったが検問所がありgoogleマップ通りに行けずかなり迂回した。目的地からどんどん離れていきタクシーの運ちゃんの機嫌が悪くなってくる。

せっかく日本人として仲良くなったのにここで関係性悪くしても勿体ないので街の様子をぶらぶら観光しながらホテルまで行けばいいやと諦めてタクシーを降りた。

ついた場所と目的地のホテルは1.5kmほど離れており、ロードバイクを担いでその距離を歩くのは流石にしんどいので歩道で組み立てていると巡礼終わりのシーア派の人たちがワラワラと集まってきた。サウジアラビア等のスンニ派とはまた違った風貌である。

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アラブ圏に溶け込む為に3ヶ月かけて髭伸ばした

その場で異質な日本人がこれまた珍しいロードバイクを組み立てる光景、次々に話しかけられ僕が話せる範囲でアラビア語で自己紹介とこれまでの行程を話すと「おい、日本人がバグダッドから来たぞ、しかもなんか見たことない自転車持ってるぞ」と近くにいる人たちに触れ回る。もうこのお約束の展開は慣れていたがなにせここイラク中南部は暑い。さっさと切り上げてホテルにつきたかった。

いつも通りの写真撮影大会を済ましお暇する。すまんな。気温35度で長時間滞在はきつかった。

タクシーが入れなかった区画をチャリに乗って通過する。ここでも日本人が来たぞと警察官と軍人との撮影大会である。基本的にどこの国でも軍人と警察官の撮影はご法度であるがイラクではあっちから求めてくるので撮影し放題と、ある意味天国である。

バグダッド市内ティグリス川の上でタバコ吸ってたイラク警察との写真


バグダッド市内にて制帽を貸してくれたイラク軍人

無事に区画内に入りGoogle Mapの経路表示機能が役に立つようになる。ロードバイクに乗ったが工事区間や歩行者天国みたいな区画が多く少し乗っては歩くを繰り返した。

経路表示の半分を過ぎた頃聖廟近くにくると検問があった。自転車を引いて通行しようとするとここは通れないこっちから行けと言われた。


結局Google Mapの経路表示は大して役に立たず、回り道となり3kmぐらいの道のりとなった。大通りに出てチャリ漕いだ方がいいやとなって歩行者天国地帯を抜けてチャリに乗る。


続き②


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