「ねこのヒゲ」
「じゃーん!」
「…? なにそれ。」
「おみやげ。」
「あぁ、どうも。…いや、じゃなくて。なんなのよこれ。」
「イイモノですよ?」
「全くそうは見えないけど」
「猫アレルギーのキミにね、うちの実家のろくろのヒゲですよ。御加護があるよ。」
「ああ、ろくろちゃんのね。」
「えっ 全然嬉しそうじゃない!」
「えっ うん。喜ぶものなの?」
「…………それを返してもらおうか…」
「いやいやいや、もう俺のだから。なに?そんなにいいものなの?」
「縁起のイイモノ。…だよね?猫のヒゲって。」
「あ、そうだっけ。茶柱的な?」
「そうそう。いいことあるよ〜っていう感じ。多分。」
「ふわっとしてんな。」
「そんなもんじゃない?全国の縁起物って。」
「全国の縁起物に謝りなさい。」
「んで、どうだったの数年ぶりの実家は。」
「ん〜 ろくろは元気だったから良かったかな。」
「そう。」
「やぁっぱ、ちょっと怖かったけどね。早くここに帰りたかった。」
「…そう。」
「でもなんか、前より話せた気がする。お前の名前は出せなかったけど」
「お袋さん、俺の事大嫌いだからな。」
「…。」
「そんな顔すんなよ。お前は何も言われなかった?」
「すっっっげー言われた!!全然変わんないんだなぁ、あの人。」
「…。」
「だからさ、“早く帰ってこれをお前に渡す”ってのが俺のお守り。」
「うん?」
「ろくろのヒゲはこれからお前のお守りだろ? でもそれを渡すぞ〜!って思ってからはずっと心強かった、から、お前の居る場所に帰る、のが、俺のお守りかな〜、って。ふはは、恥ずっ。」
「なるほどね。じゃあ、アレだ。」
「?」
「おかえり。」
「ただいま!!」
ネコノヒゲ
花言葉「楽しい家庭」「貢献」「進歩」
ウニ
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