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自転車は車道を走れ。なぜ日本は歩道を走る自転車が多いのか。

歩道を我がもの顔で走る自転車に悩まされ続けてきた。(特に犬の散歩時)

犬を散歩させていると、進行方向と違う方向(例えば真横)に犬が急に動くことがあるのでその都度、後ろから自転車が来ていないかと毎回肝を冷やしていた。

もちろん、リードを短く持ったり、妻と二人で犬の散歩に行ける際には横並びで歩いて自転車がすぐ横を通らない(通れない)ようにするなどの工夫をしていたが、それでもヒヤッとすることは何度かあった。

犬の散歩時に限らず、自分や周囲の人が自転車と衝突しそうになった瞬間も一度や二度ではない。お迎えを急いでいるのか歩道を爆走する夕方のママチャリだったり、若者のLuupだったり。

それが最近海外(ヨーロッパ)に住むようになって、(自転車やLuup相当のものはたくさん走っているのに)歩道を走る自転車をほとんど見かけることがなく非常に快適に歩道を歩ける(&犬の散歩ができる)ようになった。

これほどまでに日本と他国で自転車事情が異なる理由とは。


1.自転車は車道の左寄りが原則ルール

まずそもそも日本での自転車走行ルールはどうなっているのか。

最近日本では、自転車利用時のヘルメット着用が努力義務になったり、交通ルール違反時に赤切符が切られるようになったり、段々と規制が厳しく(まともに)なってきている。

いい傾向だと思う。

上記の自転車の交通ルールのうちの一つが、自転車は原則車道を走れというもの。

警視庁のサイトには以下のような明記がある(抜粋)

道路の通行方法

車両は歩道等と車道の区別のある道路では、車道を通行しなければなりません。(罰則)3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金

普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(普通自転車通行指定部分)がない場合

相互通行可能ですが、中央から車道寄りの部分を徐行し、歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければなりません。(罰則)2万円以下の罰金又は科料

警視庁サイトより

実際はもっと細かく分類された規定があるが、要約すると、

車道を走れるケースでは車道を走れ、歩道を走らないといけない場合は徐行して走れ、ただし歩行者優先

ということになる。

ではなぜ日本ではこの原理原則が守られていないのか。

2.日本で自転車が車道や自転車専用道路を走らない理由

いくつかあると思うが、自分が考える主たる要因は以下の2つ

  1. 自転車専用道路が少ない

  2. 自転車専用道路が設置されていても車の路上駐車に塞がれている(から自転車そこを通りたがらない)

1点目については、そもそも道路(日本)が狭いせいもあって仕方がない点もあるかもしれないが、国や自治体には罰則の強化に加えて、自転車専用道路を設置する努力をしてほしいところである

2点目は、自分も自転車に乗ることが多いので実際に感じるが、自転車専用道路を走っていても路上駐車をしている車が多く、それを避けるために車道の中央側に大きくはみ出て走行せざるをえなくなる。

(車と同程度のスピードが出せる)競技用の自転車でもない限り、これにはなかなかの恐怖が伴う。

特に子供を乗せているママチャリや、小学生くらいの子供が自ら運転する自転車が車道中央側にはみ出て路上駐車の車を回避するのはだいぶ勇気がいるだろう。

車を運転する側にとっても、車道側に飛び出してくる自転車は恐怖である。

このように路上駐車が多い日本(特に都心)においては、自転車専用道路がある場所でも自転車が歩道を走ってしまうのも頷ける(決して賛同はしないが)

ではどうすれば2点目の理由(路上駐車の車が自転車走行帯を塞ぐ)を防げるのか。

理由をもう一段深堀すると、

自転車が歩道を走るのは路上駐車の車が多いから(仮説)

路上駐車が多いのは、駐車場が少ない&高い&車の運転手のモラルが低いから

ということになるかと思う。

駐車場が少ない、高い問題は土地の狭さや高さを考えるとすぐには解決はできないだろう。

同様に車の運転手のモラルも、罰則強化をしたところですぐに利用者のモラルが改善することはないだろう。

ではどうすればいいのか。

3.ヨーロッパ某国での道路事情

国によって事情は違えど、冒頭に記載した通り、いま自分が住んでいるヨーロッパの国ではこのような問題は見かけない。それはなぜなのか。

答えはこれである。

写真右から、歩道→自転車専用道路→路側帯(自転車やバイクの駐輪場)→車道→車の駐車帯

となっている。
全ての道路がこうなっているわけではないが、大抵の道路は同じもしくは似た道路構造をしている。

自転車専用道路が設置されているところは日本と一緒だが、きちんと双方向道路になっていて自転車同士が安全に行き交えるようになっている。

そしてその次に路側帯(自転車やバイクの駐輪場)。
これが自転車専用道路と分離して設置されているので、停められている自転車やバイクが自転車専用道路を妨げることはない。

そして車道を挟んで、路上駐車専用帯がある。
よって路上駐車している車が自転車専用道路を妨げることもなく、自転車は自転車専用道路を快適に走行できる。

こうなっているから、国や自治体が無理に規制しなくても、自転車は勝手に自転車専用道路を走ってくれるのである。そのほうが自転車にとって、歩道を走るよりも快適&安全なのだから当然のことである。

要するにポイントは、車やバイク、自転車を駐車、駐輪する場所が、自転車専用道路と完全に分離されていることである

4.結局日本はどうすればいいのか

では日本で、歩道を走行する自転車を無くすにはどうすればいいのか。

紹介したような事例と同じような街づくりができるのであれば話は早いが、難易度は高いし、できたとしても時間が掛かるであろう。

でも、最近も女子高生が乗った自転車が老人と衝突してその老人が亡くなってしまうという悲惨な事故もあったし、国には本腰を入れて検討してほしい。

短期的な策としては、第2章でモラルの改善は難しいと書いたのと矛盾する結論だが、結局は個々人のモラル向上に頼るしかないと思う。(自転車に乗る人も、車を運転(駐車)する人も)。

ただこれは、個々人のモラル向上を待っているだけでは絶対に何も変わらない。
とすると、路上駐車や自転車の歩道走行に対するルールの厳格化/厳罰化が一番の近道な気がする。

これであれば、ヨーロッパ相当の街づくりをするより早い/安いはずである。

103万円の壁もいいけど、こういう議論も国にはしっかりしてほしい。
命にかかわるケースもあるのだから。

そして政治家は海外視察に行くのであれば、こういうところをちゃんと見てきて、日本で何ができるのかを真剣に考えてほしい。
税金でビジネスクラスで飛んでいって、市庁とか訪問してふむふむと話を聞いてくるだけではなく。

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