#大統領師匠 #ザナドゥおじさん 初日を見た感想
初日を見た感想です。上演台本は見ていません。個人的偏りも含めてご承知おきを。
・脚本の感想
鬼の世界では加害者が殺めた被害者を身ごもるというロジックは、関わり合わざるを得なかった関係性を、妊娠といういちおこの世ではめでたい出来事にしてるのがまあまあトチ狂っててガケさんらしいなと思いました。
堕ろすって選択肢ないあたりとか。たぶん急に8ヶ月目ぐらいの妊娠の仕方するんでしょうね、漁師さんもそうだったし。そんなに育ってたら堕ろすのはやっぱ地獄でもダメなことになってるのかしら。堕ろしたら無限妊娠ループになっちゃうのかしら。みんなちゃんと生んで育てて偉い。
ヨーゼフと鬼の握手シーンなんて、生物的新しい交流だ、おおって感じで幸せに見えたのもこちらの勝手という感じだし、小山内夫妻の幸せそうな笑顔や無茶なセリフも、こちらとしては大弱りだけど、こっちの勝手に思ってる常識かもって感じだし。
何が正しいかなんてわからない。
価値観が髪の毛を掴んで「ねえ?何を正しいと思ってるの?」とぐわんぐわん頭を揺らしてくるような。
おっかなさと気味悪さがたまに出て来る時が、なんとも言えず、心地悪いようないいような。
・舞台の感想
LivePocket予約
↓
入口で「奥のテーブルへ」となぜか物販テーブルを案内される。10人ぐらい並んでる。
↓
その後、スタッフさんがチケットテーブルでQRをスキャンしてくれて、もぎった半券をくれる、番号は書いてない
↓
入場時はスマホをいじってQRのある予約時PDFを出して整理券番号見せて入場。ここで用意してなくて慌てました。
ふ、複雑過ぎる!そんなにチケットレスでもない!!入場時はスマホで用意なのか、半券用意なのか、どっちが必要なのかアナウンスされてたのだと思うのですが聞き逃してしまいました...。
・ガケさんの脚本、演出激ムズ
→毎回そんな気がしていますが、今回もやはり激ムズだと思いました。
ガケさん脚本の特徴だと思うのですが、おかしくなったり派手に目立つ人ではなく、普通の人の役が難しくて大事だと思っています。今回なら小山内(娘)さん、ヨーゼフを連れてきた研究所所員さん、島を愛す漁師さん、寿司屋のご主人あたり。
この作品の日常的な部分はこんな温度感ですよ、の提示して、後半のトチ狂い具合の映え方が決まると思います。
・ガケさんがタイムキーパーと行っていたお2人の冒頭の研究所シーンはちょっとお芝居が熱いかな、と感じました。
・1人芝居の時間がある役がいくつかありましたが、その中の一部は1人じゃない方がいいのでは?と思いました。1人で演じる事が効果的に見えてないというか。脚本上見せ場を作って上げたいとか、演出上時間がいるとかで存在してるシーンみたいな感じに見えてしまった。
・初日2回めのヨーゼフの独白時、下手側袖からずっと養生テープ切ってるみたいな音がベリベリしてたのはあれはなんだべ?
・うはね島について
どんな島なのか、情報共有がテーブル稽古などであったのか気になります。
一番島の土着性が見えて欲しい人は島で育ったであろう漁師さんかと。
大人になってから移住してきた人に見えました。
・役作りも役者さんの練度の差が出てたのが気になります。シーンによって薄味なとこがたまにあるように見えました、これ今どんな気持ちでいるんだろう、みたいな。
・女性陣は大きい声を出してもお芝居のニュアンスが飛ぶ人がいなかったこと、口跡が良くてセリフがよく聞こえたこと、お芝居の質が全員ちゃんと違っている事がとてもよかったです。これなかなか難しい。みんな稽古していくうちに演出家に褒められた女優さんに演技が似てきちゃうイメージ。
・殺されるシーンの難しさ
→竹内さんが殺されるシーンは当然あれが正しいのですが、おいしいシーンなのに床に横になるともう全く見えず、見たかった...すぐるさんが殺されるシーンはお芝居の嘘で立ってくれて見やすかったのですが、死んではなさそうで...w この辺は演出と稽古で探り続けてほしかったです。ものすごい見せ場なので。
・鬼塚妹ちゃん、お姉ちゃんムキムキ設定だけど妹はすんごい細くてその辺どう整合性つけてたか気になる。うまく表現に活かせば美味しくなるネタになりそう。ポーズキメる時の止め方をもっとぴちっとなるとよさそう。ご本人の意識よりこちらには体感がゆるく見えてると思います。
・介護士さんの役は、うーん難しい。たぶん求められてるト書きと演技は全て出来てると思うのですが、最初の登場からまあまあ浮世離れした人に見えました。あまり日常性がない、乙姫様みたいな。作戦だったのかな?最初は普通の人に見えて、その人がだんだん変わっていく方がいいのではと思いました。
・DJザックさん、「ザックです!」の指をZにするのが難しいのはわかる!がしかし!、シャキーン!とやってほしい。毎回ちょいゆるで気になった
・全体的な芝居の人の構図、配置、導線など、美的センスがもう少し欲しい
・その場の感覚を大事にしたい、はアリか
→表現内容を何も決めずに本番中も探るはナシにしてほしくて、これを表現するつもり、でもやり取りしてたら違う感情が生まれた、ぐらいにしてほしい。
脚本も音も光も本番中に「まだ探ってる、感じたものを大事にしたい」とは言わないはずなので。演出と役者だけアリになるはずはないと思います。
さらに高みを、となると、演出家を商業レベルの方につけていただくと、ぐーんと作品は良くなると思うのですが、それには遊佐さんが呼んでこなくてはいけなくて、まず来てくれるか、一緒に仕事してくれるか、そもそもそういう演出家さんと遊佐さんがやりたいのかという話もある。
たぶん遊佐さんはアドリブで芝居をしたいと思うので。
過去作品だと中田脚本の演出で一番良かったのはやっぱり西森さん(西のハコ公演でやった「泣きぬれて、頬染めて、はにかんで、ラプソディー」https://isgoods.theshop.jp/items/8107267)
(DVDあるのを見つけてしまった。角が映えてる人いる!w)
役者さんのMVPは寿司屋のご主人に。
普通のセリフが豊かで、大事な作品上の役割を果たしながら、要所でシリアスさが欲しい時にちゃんとお芝居で締めてくれてとてもうまかったです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?