【UniTreat-DX-journey】#3.日本の医療DXは今、何処に向かっているのか?公開情報をもとに考える①
【お知らせ】
UniTreatは医療業界におけるDXを推進していくことを目標とした大分県の有志医師をはじめとしたメンバーによって発足した団体です。医療DXに向けて、自分も取り組んでいきたいという熱意ある人を募集しています。活動に興味を持ってくださり、私たちと一緒に取り組んでいきたいという方は是非ご連絡ください。
1.医療DXの定義と始まり
近年、医療DXについて、様々な角度や立場から多様な議論がなされています。言葉自体は、私たちの目にも触れることが多くなりました。私たちは、言葉が一人歩きして行かないように、前提知識や背景から、理解していかなければなりません。そこで、今回は、国の出している「医療DXの推進に関する工程表」(以下、工程表)を私たちなりに、解説して行こうと思います。
この記事を読んで頂くことで、医療DXの進もうとしている方向性を確認し、医療がこの社会の中で、どのように変わって行くべきか、読んで頂いた方にも考えるきっかけになれば、幸いです。
1-1.医療DXの定義
まず、医療DXの定義を明らかにします。そもそも論ですが、一般的なDXの定義を確認しましょう。DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称であり、デジタル技術によってビジネスや社会生活の形やスタイルを変える=「トランスフォーム」することとされています(【これでわかる】DX(デジタルトランスフォーメーション)をわかりやすく解説)。医療DXとは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の医療分野への応用を指します。
これを踏まえ、政府の定義する「医療DX」とは、「保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」としています。
難しいですよね。簡単に言ってしまうと、「医療の情報の共通化・標準化によって、社会や生活の形が変わること」です。逆にいうと、国がそう決めたため、嫌でも変わっていくことが決定しているともいえます。ですから、医療がどのように変わるかを知ることは、令和3年度においては、GDPの8.18%を占める国民医療費にも影響が出る可能性もあり、日本人なら全ての人が注目すべきことです(令和3年度の国民医療費は45兆359億円であり、前年度に比べ2兆694億円、4.8%の増加)。
1-2.医療DXの始まり
医療DXの構想や歴史は長いですが、昨今の医療DXがここまでの注目を集め出したのは、2022年頃からではないでしょうか。簡単に歴史というか、経緯を振り返りましょう。
2022年6月7日に、経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(骨太方針2022)が閣議決定され、その中で「医療DXの推進」が明確に位置づけられました。
この中で、新しい資本主義に向けた開発の中に デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資といった文言が入り、骨太の方針の中にも全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化と診療報酬改定DXの取り組みを、行政と関係業界が一丸となって進めることとされました。さらに、2022年の10月12日には、政府に、総理を本部として関係閣僚によって構成される医療DX推進本部が創設されました。
2023年度は「医療DX推進本部において策定した工程表」に基づき、政府を挙げて医療DXの実現に向けた取組を着実に推進する」ことが示されました。今後、この工程表に沿って進んでいくことが政府全体の合意事項として明確化されたのです。
医療DXの推進に関する工程表についての基本的な考え方は5つです。
これらのポイントを基に、2030年を目標年として、医療DXが推進されています。
① 国民のさらなる 健康増進
② 切れ目なく質の高い医療等の効率的な提供
③ 医療機関等の業務効率化
④ システム人材等 の有効活用
⑤ 医療情報の二次利用の環境整備の実現
医療DX工程表で示されたポイントは次の5項目です。
1.マイナンバーカードと 健康保険証の一体化の加速
2.全国医療情報プラットフォームの構築
3.電子カルテ情報の標準化
4.診療報酬改定DX
5.医療DXの実施主体
次回の記事で、上記項目で示されたこれからの道筋について、説明していきます。
2.まとめ
・医療DXは骨太方針2022で示された医療DXを目指して進んでいく。
・「医療DX推進に関する工程表」に基づいて、施策は大きく動き始めた。
・次回の記事でポイントを解説していく。
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