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【活動報告】#4.第16回医療情報学会 東北支部会_2024.03.02


1.はじめに

こんにちは。

いつもUniTreatの活動を応援していただき誠にありがとうございます。

UniTreat代表の津村佳希です。

2.経緯

2024年3月2日(土)12:45-16:20、大分医療DX推進会議-UniTreat-代表として

日本医療情報学会(Japan Association for Medical Informatics)

東北支部会様より講演の招聘をいただき、岩手県に行って参りました。

今回は、UniTreatのメンバーでもある岩手医科大学 歯科放射線学分野教授・総合情報センター長の田中良一先生に、DX推進団体としてフルリモートで活動しているUniTreatの組織マネジメント方法やAIも絡めた医療DXの未来についてお話すするため、お招きいただきました。

大変貴重なご機会を賜り、感謝申し上げます。

(左から、長嶋エンジニアチーム長、津村代表、田中教授)

3.学会概要

日時:2024年3月2日

場所:岩手医科大学

〒028-3694 岩手県紫波郡矢巾町医大通1丁目1番1号

形式:対面、Zoom

内容:今回はUniTreatから、代表の津村と、エンジニアチーム長の長嶋が登壇させていただきました。演題名は以下の通りです。

「若手医師による医療DXチーム作りの実践」

大分医療DX推進会議-UniTreat- 代表 津村佳希

「LLM時代におけるAIと検索の医療活用」

大分医療DX推進会議-UniTreat- エンジニアチーム長 長嶋大地

4.講演内容

「若手医師による医療DXチーム作りの実践」

大分医療DX推進会議-UniTreat- 代表 津村佳希

  • UniTreatのMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)の紹介

    • ミッション: 医療DXを通じて医療の質と効率を高める。

    • ビジョン: 誰もが必要な医療情報を容易に取得し、適切な意思決定ができる世界。

    • バリュー: アクセシビリティ、情報の統合、誰ひとり取り残さないDX。

  • 現状の課題

日本の医療現場では情報共有が非効率的で、単なるデジタル化だけではなく根本的なDXが必要

  • 医療DXチーム作りの実践

    • 全国にいるUniTreatメンバーとのフルリモートでの組織運営の紹介

    • 仕組み化=ルール作りが大事

    • メンバーが自分自身で考えて自由に組織を動かせる環境があれば自走できる

    • 暗黙の了解的ルールを無くし、再現性の高いルールを明文化することが重要

  • 運営ツールと方法

    • Googleドライブ、Slack、Notion、YouTubeなどの使用法を運営ルールに明文化し、全メンバーが容易に情報にアクセスできる体制を整えることが重要

    • MVVをメンバー全員で共有し、航海にでる時の羅針盤のように組織の方針決定に使用する

  • 目標と展望

    • 短期的にはDXの重要性を啓発し、中期的には県単位以上のDX推進チームを形成し、長期的には国家統一規格カルテの実現を目指す。

「LLM時代におけるAIと検索の医療活用」

大分医療DX推進会議-UniTreat- エンジニアチーム長 長嶋大地

  • LLMについて

    • LLM(大規模言語モデル)は、Transformer技術に基づいており、大規模なデータセットで訓練することで高いパフォーマンスを発揮。

    • 医療分野では、LLMは診断サポートや患者との対話などに利用できるが、出力が確率的であるため、同じ入力から異なる回答が生成される可能性がある。

    • この確率的性質を理解し、適切に管理することが、医療情報処理において重要。

  • RAGについて

    • RAG(Retrieval Augmented Generation)は、ベクトル検索技術とLLMを組み合わせたもので、関連する情報をデータベースから検索し、それを基に回答を生成する。

    • 医療分野での応用例としては、症状や治療法に関する詳細情報を提供することが挙げられる。特に、大量の医薬品情報や臨床データを効率的に処理し、適切な医療アドバイスを生成することが可能。

  • 出力調整のための構造化テクニック

    • Pydanticというデータ検証ライブラリを利用して、LLMの出力をより構造化し、使いやすくする。これにより、JSONなどの形式で正確にデータを返すことができるようになる。

    • 特に医療分野では、データの正確さが非常に重要であり、Pydanticを使用することで、データの一貫性と正確性を保証することが可能。

  • まとめ

    • 医療におけるLLMの現状と課題を概説し、LLMを効率的に運用するためには構造化されたデータの重要性を強調する必要がある。

    • LLMの運用にはGPUなどの高コストなリソースが必要であり、そのためにも効率的な技術の適用が求められる。

5.反応

現地参加およびオンラインの皆様からも多くのご質問とご意見をいただきました。

さまざまな組織の皆様がご参加くださっていましたが、やはり多く聞かれた声として、「諦めかけていた国家統一規格のカルテなどの情報連携網を、現実に見据えて活動を展開しているのに今一度勇気をもらえた」というようなポジティブなフィードバックでした。組織は内部外部で関わる人々の感情面にも配慮しつつ、論理的な組織マネジメントが求められると考えてUniTreatを運営しています。

我々UniTreatのロジカルな組織運営について好意的なご意見をお寄せいただき、学会後もUniTreat入会希望のご連絡含め多くの反応を賜りました。

6.学び

他の講演者の方々のご発表内容からも多くの学びを得ることができました。

「臨床データ利活用に向けたデジタル基盤の構築と活用例、および医療データ標準化の取り組み」※ のご発表では、データ標準化の重要性とデジタル基盤の構築が臨床現場に与える影響についてのご説明が非常に印象的でした。フロアからは、データ利活用におけるプライバシー保護との両立についての質問が寄せられ、それに対するご回答から、実際の運用における課題意識を深めることができました。

また、「リアルワールドデータの活用による臨床研究の促進と、医療情報技師が果たすべき役割」※のご発表では、リアルワールドデータが医療の質向上や患者ケアにどのように活用されているのか、さらに医療情報技師の専門性が果たす役割について、多くの示唆をいただきました。特に、フロアから出た「データの活用促進と現場スタッフの教育をどのように両立させるか」という質問は、今後のデータ活用において欠かせない視点であり、私自身の課題意識を高めるきっかけとなりました。

このような学び多き場に参加させていただき、学術的な視野を広げる貴重な経験となりました。改めて、開催に尽力された関係者の皆様に深く感謝申し上げます。今回得た知見を、今後の活動や研究に活かしていきたいと考えております。誠にありがとうございました。

※第16回日本医療情報学会東北支部会 総会・学術研究会【プログラム】より

7.今後に向けて

医療DXを推進していく活動の中で、医療情報学会様での発表は一つの大きなマイルストーンになると考えています。この度は講演に招聘いただき誠にありがとうございました。

これからも継続的に医療DXの重要性を啓発していき、いずれ来る国家統一規格の医療情報ネットワーク構築に向けて、大分から全国へ協力を惜しまずに活動展開していきます。

UniTreat代表・津村

2024/11/22

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