瀧本哲史さんとの思い出 ①出会い
今回はUnite Partnersの代表:小林の恩師「瀧本哲史」について瀧本ゼミ卒業生と語った内容をお届けします。
Unite Partnersの源流となっている小林の考え方はどのように生まれたのか?瀧本先生から何を学び、何が今に繋がってるかなど、
知られざる瀧本先生のエピソードと合わせて知っていただければと思います。
※ラジオ形式で収録し、記事にしています。
登場人物 紹介
【小林 大輝(こばやし ひろき)】
Unite Partners株式会社 代表取締役
瀧本ゼミ 初代 代表
【あんてこ】
投資家
瀧本ゼミ 2代目 代表
【瀧本 哲史(たきもと てつふみ)】1972.1.22〜2019.8.10
エンジェル投資家、経営コンサルタント
東京大学法学部卒業後、マッキンゼーに入社。以後エンジェル投資家、経営コンサルタントとして活動。京都大学/東京大学で教鞭をとる。
小林にとってあんてこさんは大学時代からの親友であり、Unite Partnersの投資家でもある。瀧本ゼミの立ち上げメンバーであり、お互い代表として瀧本ゼミの基礎を作ってきた。超くだらない話から真剣なビジネスの話まで色んなことを語り合ってきた10年来の仲。
はじめに
●小林:こんにちは。Unite Partners(以下、UP)の小林です。 今回は特別編として、 「瀧本哲史さん」についてお話したいと思います。
瀧本さんは、僕の人生で一番深い関わりを持った人と言っても過言ではない人です。瀧本さんにとっても、ラスト10年の人生で1番コミュニケーション取ってたのが僕じゃないかな。ですが、ちょっと前に亡くなりまして、今はもうこの世にいない。
実は、今まで僕が瀧本さんとの思い出について語ることってなかったのですが、 UPの成長の軌跡を振り返ったときに、「あれ、これって瀧本さんと話してたことじゃん」と自分が瀧本さんにやはり影響を受けていることに気づいたタイミングがあったんです。
そこで、UPのメンバーが増えてきたこのタイミングで、瀧本さんとの思い出を振り返って、 思い出とか一緒にどういう話をしたのかっていう話をすることで、UPのビジネスの源流にある体験や思想みたいなものをメンバーに知ってもらおうと思ったのがきっかけです。
ただしめっちゃ長くなると思います。先に謝っておきます。すみません!
今のメンバーからすると関係ない話もいっぱいすると思います。
今回は、特別ゲストとして弊社の投資家でもある、あんてこさんに来ていただいております。 あんてこさんよろしくお願いいたします。
★あんてこ:あんてこです。よろしくお願いします。
●小林:あんてこさんは、瀧本ゼミ 2代目の代表に当たる人で、 僕と同じく瀧本さんと長い時間を過ごしたメンバーの一人です。 改めましてよろしくお願いいたします。
普通でない出会い方が、瀧本さんとの出会いを可能にした
★あんてこ:瀧本さんとの思い出を振り返ったんですが、
小林くんと仲良くなったのも瀧本ゼミが、 きっかけだったんですよね。
最初は大学1年生の新歓の時期にダンスサークルで小林くんとは出会って、 しばらく全く付き合いもなかったんです。(その後二人とも挫折し、そのダンスサークルをやめた)
そして小林くんが瀧本ゼミを立ち上げるときに、なぜか最初のメンバーとして誘ってくれて、それがきっかけで瀧本ゼミに入りました。
瀧本さんから株式投資についてたくさん教えてもらった結果、 僕自身も投資家になるという意思決定をして、今も投資家として活動しています。瀧本ゼミが本当に人生変えられた場所だったなと今も思っています。
僕は瀧本さんと出会ったのは、小林くんに誘われてゼミに入ったことがきっかけだったのだけど、瀧本ゼミを作った小林くんは何をきっかけに瀧本さんと知り合ったんだっけ?
●小林:僕の瀧本さんの出会い方は、すごく消極的と言うか、受動的な出会い方だったのね。
ちょうど2012年の夏、僕が大学1年生の時に、高校時代の先輩で水谷さんっていう人がいたの。当時はお金もなくてお腹を空かせてたから、よくその先輩に飯を食べさせてもらってた。その人は読書家で、瀧本さんの本を読んですごい感銘を受けたらしく、もっと学びたいと思って瀧本さんに直接連絡して、瀧本さんの投資先でも働いてたくらいのレベルの人。
あれがどこだっけ?確かエイベックス? エイベックだ!エイベック研究所!
今何やってんだろうね??
★あんてこ:今はコミュニティマネジメントのSaaSを作る会社になって生まれ変わってます。
●小林:なるほどね。さすが瀧本さんの投資先。時代の流れに柔軟だ。
●小林:そもそも、瀧本ゼミって京都大学が本家なんですよね。その水谷さんが本家を見学しに行くからお前も来い、普段飯食わせてるから手伝えみたいな。先輩のパシリとして京都に連れてかれて、実際にゼミを見学した。それが僕と瀧本さんの初めての出会いみたいな。
確かに最初見た時、マジで喋るのが早すぎて、何言ってるのかわからんみたいな感じだったんだよね。 当時は大学1年生だったし、全てが知らないことばかりだった。三重県の田舎から出てきてるから、「東京すげー」みたいな、全てが新しいみたいなね。だから、瀧本さんとは本当に宇宙人と出会いみたいな感じ。 自分が普通に会ってたら、マジ、多分避けてたと思うね。
★あんてこ:うん、わかる。瀧本さんは本当に滑舌が悪いのに、人の10倍の速さで話すのよ。まず話は聞き取れないんですよね、大体。
●小林:そう。最初はまず、あのスピードに慣れないと。慣れちゃったら何も思わないんだけどね。
★あんてこ:初めて瀧本さんと話した人はみんな言うよね。 瀧本ゼミの最初の半年間は、瀧本さんのリスニングをできるようになることから始まると、 当時は言われてたね。
●小林:そうだね。
★あんてこ:普通の出会い方じゃなかったからこそ、出会えた人なんだね。瀧本さんと出会う人って、普通は本とかTwitter読んで能動的に会いに行く人が多いと思うから意外。じゃあ、瀧本ゼミを東大でも作ろうとしたのが小林くんということですか?
「炎上」を楽しむ狂気の文化の瀧本ゼミ
●小林:いや、実は僕が言い出しっぺですらなくて。
★あんてこ:あ、そうなんだ。
●小林:そうそう。その先輩が京都の瀧本ゼミを見て、東京でもやりたいってなったんだよね。ちょうど東大でも『起業論』の授業が2012年の秋学期から始まるタイミングだったので、その裏ゼミとして(東京)瀧本ゼミが発足したんだよね。駒場図書館の狭い一室でやってた気がする。
僕は最初完全に受け身で、当時その先輩は京都に僕を連れて行ったのと同じテンションで、ゼミも手伝え、くらいの感じだった。
★あんてこ:えぇー、そんな感じで瀧本ゼミができたんだ。
●小林:京都のスキームをそのまま、見よう見まねでスタートさせたんですよ。見よう見まねでやった時の発表っていうのが、葬儀業界の大炎上なわけです。
★あんてこ:なるほど!!スライド発表1ページ目から瀧本さんとゼミ生に
30分くらいにわたってボコボコに論破される激論会だった、あれですか!!
★あんてこ:それがのちの、入ゼミ試験につながってくるわけですね?
瀧本ゼミに入りたかったら、葬儀業界を調べて発表してくださいっていうあれですね。
●小林:そうそう。基本的に瀧本ゼミの入ゼミ試験はそんな感じだったよね。
★あんてこ:かなりスパルタ。まるで、ハンター試験のような入ゼミ審査ですね。
●小林:参考図書2冊だけ渡されてなんか調べて発表してください、みたいな感じだったよね。瀧本さんはゴールは示すけど、あえて方法論は示さないことも多かった。
★あんてこ:だいぶ無理があるな。
●小林:自らを炎上させながら次の世代のための入ゼミ試験を作っていた時代ですね。これは、伝説の時代だったな。
★あんてこ:炎上文化って瀧本ゼミのアイデンティの一つですよね。 瀧本ゼミって基本的に会社を一社選んで、その会社が買いか?売りか?をプレゼンするんです。それに対して ちょっとでも何かおかしいことがあれば、いつでも突っ込んでもいいし、 その場で会社に電話をかけて、その発表内容が事実かどうか確認していいんですよ。その議論の応酬で発表が炎上していく。
間違っていたらその場でそれを論破されて発表ができなくなって終了すると。だから、日本人的な会議とは全く違ってて、本当に真剣勝負の場だったんですよね、当時のゼミって。
●小林:その場でIRに電話して真偽を確認するってなんかすごいよね。
★あんてこ:そう。恐ろしいゼミでしたね。しかもそれを学生だけじゃなくて、ボスである瀧本さんも率先して学生を激詰めしてくるんですよね。
●小林:確かに。 「そのやり方は完全に終わっていて〜」みたいな。
★あんてこ:ははははっ!!
●小林:「ダメなことは他の会社で証明されてるんです。」みたいな類似の事例でボコしてくる。
★あんてこ:「実際にその会社の株主総会に出たことがありまして。」みたく、絶対に太刀打ちできないデータ量で殴ってくるんですよ。あれは鍛えられましたよね、本当に。
●小林:「社長と知り合いなんですよねー」とかが普通にあって。「この人は信用できます」って言われる。
●あんてこ:「この人はヤバい人で、業界では有名なんですよ」みたいな。
★小林:それでもう論破完了。
★あんてこ:プロの投資家が何も知らない投資の素人の学生をボコボコにする。 しかも周りの学生も面白がって発表者を追撃しに行くっていう狂気の文化。
●小林:そうそう。でも今考えると、実はあれって炎上っていう表現ではあったけど、 ある種の問題解決をその場でやってるんですよね。その場で議論して一気に進めちゃうみたいな。問題を先送りせず、リアルタイムで全てを解決していくっていうのは、コンサルタントの基本的な姿勢として役立っているな〜って思うんですよ。
★あんてこ:そういうことか。実は今のUPでもつながってる部分があるんですね。
●小林:だいぶ遠いけどね!
先輩の無茶振りで瀧本ゼミ代表を任される
●小林:そういう感じで見よう見まねでやってたんだけどとにかく、すごい楽しかったんだよね。
★あんてこ:わかる。
●小林:最初は言われてやってただけだったたけど、企業やマーケットってこんなダイナミックに動いてるんだ、面白いって真剣に思ったし、瀧本さんは学生とそういう議論を毎回2時間とか3時間とかやって、 終わった後も必ずアフターまで行く。 だからゼミのある日は瀧本さんは学生と夕方から深夜までずっと一緒にいるわけ。で、無限に喋るわけさ、瀧本さんが。瀧本さんって引き出しがすごいじゃん。
だから喋っていて面白いし、なんでこの人こんなに喋ってくれるんだろうみたいな?当時、田舎から出てきたばっかりの、バカな学生にこんなに色んなんことを与えてくれる人いるんだ、って瀧本さんにすごい感動したんだよね。
★あんてこ:なるほど。
●小林:でも、ゼミに全く人が集まらなかったんだよね。
見よう見まね時代は、自分たちの友達を連れてこようみたいな感じで参加者を集めてたんです。広報とかも一切せず、自由に参加して自由に議論して帰るって感じのゼミだった。最初、多分参加者は各回1、20人くらいいて延べ100人くらい来たと思うんだけど、どんどん辞めていくんです。軽い気持ちで来て!って呼んで、「あのノリ」の光景が繰り広げられるのだから、そりゃ引いちゃうよねと。たくさんの人を呼んだけど、数ヶ月経つと、 結局5人くらいに戻っちゃったんだよね。
★あんてこ:確かに、最初誘ってもらったときに行ったけど異様な光景が広がってて、すぐに入ろうとは思わなかった笑
●小林:好きな人が集まって勝手にやってるみたいな感じで、組織ですらなかった。でもさすがにこのままでは議論が身内でギャハギャハしてるだけになりそうで、まずいなってみんな思い始めたんだよね。
しかも、ちょうどその時に、僕を誘ってくれた先輩がインターン先の仕事が忙しくなったと言ってあと宜しく、って感じでゼミを辞めちゃった。
★あんてこ:始めて数ヶ月しか経っていないのにもう解散の危機が訪れてる笑
●小林:それであるゼミ後のアフターのときに、「ちゃんと組織として人を入れて、育成してゼミを運営しませんか?」って自分が言ったんだよね。たしか、2012年の秋か冬か? 11月とか12月とかだったと思う。
瀧本さんがすごい与えてくれるのが嬉しかったから、「僕も瀧本さんの夢を叶えたい」って言ったんです。
そうしたら瀧本さんは、「僕はあと10年で日本が変わることに賭けたい。変えられるのはそう、あなたたちのような若い人です。優秀な若い人材が集まる場所はありませんか。秘密結社を作って日本を変えましょう。」ということを語り、僕が呼応してそういう場所作る!ということで代表になり、今の瀧本ゼミが出来たという感じ。
★あんてこ:あぁ〜。そういう流れだったんだ。
「はったり力」で乗り切る新歓
●小林:そこから組織としてやっていこうってなり、年明けから具体的な議論開始したんだよね 。そのタイミングで、まずはメンバー5人では新歓すら無理だ、ってなったのをきっかけに、1.5期生を集めたんですよ。
★あんてこ:4月の新歓に向けて、1月2月で新メンバー集めて急拵えしたってことですね。
●小林:そうなんだよ。まずはリソースの確保だ、って。
★あんてこ:小林くんぽいな〜。
●小林:ってことで、時間もないからTwitterで募集して、良さそうな人にDM送って、瀧本さんのことについてつぶやいてる人にDMするとか、瀧本さんに リツイートしてもらうとか色々したね。
★あんてこ:こんな時代があったんだ。
●小林:それで、募集したら、大学1年生から大学院生まで集まってくれた。入ゼミ条件が、葬儀業界で調べて好きな企業を1社発表する。発表出来た人は当時は全員合格だった。そしてその1.5期生に1ヶ月足らずで2期生の新歓をさせるという笑
2期生の募集をして、改めてあんてこさんが応募してくれたって感じ。
★あんてこ:そういうことだったんだ。でも新歓の時は、優れた教育システムと優れた組織と優れた議論の仕組みがあります!って言ってたよね。
●小林:当時は何もなくて、ただゼミの発展に資する優秀な人を採る!という目標だけがあって、そういった人ならどんな組織が理想だろうかと逆算して考えた構想だけがあった感じですね。
★あんてこ:この組織本当に大丈夫かって思ったのを当時思いました。だってゼミの事、ゼミの先輩に聞いてもみんな殆ど分からなかったから。みんな葬儀業界のことしか、分からなかった。
●小林:本当にハリボテみたいな状態から組織を作っていった。
★あんてこ:完全にハリボテだったからね。新歓の時とか、武器もない、教育もない、何もない。やってる人すら分からない。
●小林:あのときはただ、理想や構想に現実を追いつかせるのに必死だった
笑 瀧本さんはいつも横で「そのやり方は全然ダメで~」とダメ出ししてくれた。そのお陰で、追いつくスピードはマッハだったと思います。
何もないところから、何かを作り出す
●小林:何もないところから、何かを作っていく。その活動は去年のUnite Partnersの立ち上げにも生かされていて、去年の年末に振り返ったんだけど、去年はまだ4月時点で、仕事がなかったんですよ。 実績も何もなかったわけです。売上0円、実績0件なわけ。過去の繋がりから顧客を取るということも、前のファームのボスたちへの恩義もあったからあまりやる気もなかった。
★あんてこ:そこからどうやって案件作ったんですか?
●小林:実績ではなく、こういうことやりませんか、僕らならどこよりも良いものが出来る自信あります的な、度胸と「はったり」で営業したんですよ。
実績はないけど、出来る。お客さんが必要だと思うことを真剣に考えることが第一で、出来るかどうかは二の次だった。やればいいと。そして取れた案件を実績としてレバレッジして、もっとハイレベルのものを提案していく。それをやり続けた結果、案件がどんどん増えていったんです。
「はったり力」でUnite Partnersも0から、無から立ち上がったんですよ。
★あんてこ:それは瀧本ゼミの、新歓の経験とよくよく考えたら一緒なんですね。
●小林:確かにそうですね。 何もないのにあたかもあるように見せる。これが0→1力です。
★あんてこ:すごいな。ここから、瀧本ゼミもUPもそうなんだけど、最初はハリボテだったんだけど、結果的に瀧本ゼミは11年経った今でも続いていて、今って東大生の10分の1が新歓に参加する、一番有名な経済系のサークルになってるんですよ。 説明会に300人来て、エントリーシートに130人くらい今年も出してくれて、瀧本ゼミに入ることがステータスぐらいの組織になっている。
最初はハリボテで作ったんだけど、それをちゃんといい組織に作り上げていったのも、また小林さんだったのかなって。
●小林:作り上げてくれたのはあんてこさんでしょう。今思うと反省ですよね。
★あんてこ:小林くんは、白鳥ですね。水面より上は綺麗だけど、水面より下は、バタバタしてる。
●小林:確かにいつもバタバタしてる笑。良い組織をどう作っていくか?という事を、瀧本さんが当時から色々教えてくれたんだよね。
『君に友達はいらない』は誰に向けて書かれたのか?
★あんてこ:瀧本ゼミは、投資家志向という共通の理念をゼミ全員に持たせて統一感を持ってもらったりとか、今思うとかなり巧妙に組織作ってたんだな〜と感じてます。それを瀧本さんとともに作った小林くんは本当にすごいですね。
●小林:確かに代表自体は僕ではあるけど、瀧本さん中心にたくさんの人の支えが無ければ絶対に無理だった。当時僕は大学1年生で、ゼミのメンバーは、全員俺より年上だったのよ!
★あんてこ:確かにな〜。
●小林:年上のメンバーもいる中で、自分は組織作りもしたことないし、リーダータイプですら無かった。それでも出来たのは瀧本さんの手厚いサポートがあったから。あらゆる角度から瀧本さんはアドバイスくれて、
「自分よりいい人を採用しなければいけません」
「この発表は この言葉やこの資料は 誰に向けての言葉ですか?」
みたく、本当に細かく取組を指導してくれたんだよね。
新歓のための会議にも全部出席してくれて、都度めっちゃ細かくデビューしてくれてましたね。瀧本さんは多忙な人だと思うけど、そこまでやってくれたのが奇跡だったと思う。
★あんてこ:なるほどなぁ。瀧本さんは、僕たちへの若い世代に対する投資がある意味一番いい投資だと思っていたフシがあるよね。
瀧本さんは、ダメな人はダメ。ダメな人と思ったら絶対に付き合わない。
ただ、気に入った人には無限に投資するというか、惜しみない。
ところで、瀧本さんの書かれた『君に友達はいらない』という本は
実は小林さんのために書かれたんですよね?
●小林:僕のためと言うか、僕が読者モデルらしいです。深夜に神保町のロイホで2人で喋ってるときに自分で言ってました。
大学1年生の僕が、自分より年上の人たちと一緒に、最高のゼミを作るというめちゃくちゃ難しい命題に対して実際、苦労しながら立ち上げる姿を瀧本さんはずっと見ていた。
瀧本さんは『君に友だちはいらない』を通じて
若い人や同じような境遇にある人が、僕と同じ苦労/失敗をしないように
最高の組織を作るための方法論を教えよう!
という気持ちで書いてくれたそう。
瀧本さんがその時深夜のロイホで語ったところによると、本を書く時にはN=1の想定読者を決め、常にその人の顔を思いながら書いてるらしい。
『君に友だちはいらない』は小林さんを想定して書いたと言ってました。
★あんてこ:なるほど。瀧本さんから本を贈られるとはすごいですね!!
●小林:瀧本ゼミで、僕が泣きながら立ち上げてた姿を見てあれを書こうって思ったんだろうね。
★あんてこ:なるほどな。 本当に『君に友だちはいらない』はめちゃめちゃいい本で、タイトルだけ聞くと、友達を作るな!という感じがするのだけど実はそうじゃなくて、
英語のタイトルは『The Best Team Approach to Change the World』で、
『世界を変えるチームの作り方』になってるんだよね。
書いてあることも、
「いいチーム」というのは常に少数精鋭だし、
同じ目的のもとに集まっているからベタベタ群れないし、
またバックグラウンドは常に多様性があって、
相互に補い合うチームであると。
こういう思想って、今のUnite Partnersがかなり強く影響を受けてるんじゃないかと外から見ていると思うんです。
●小林:そうだね。必ずしも意識してるつもりは全然ないんだけど、結果として瀧本さんが言語化してくれたチームの作り方は、今では僕の中では当たり前になってる部分はあります。
瀧本ゼミは東大のサークルではありましたが、当時の僕の強い想いで幅広い大学から参加者を募りました。その結果、大学は東大・東工大・慶応・早稲田・中央・医学部など、そして学年は大学1年生から大学院生までが一つの期として立場を同じに学習する組織でした。
様々なバックグラウンドから集まった学生が、自由な立場から自由に議論できる環境にあったのは、新しい視点や考えを深める上で限りなく良かったなと思います。
Unite Partnersもメンバーが集まりつつあるけど、良いところは、みな個性的で、バックグラウンドも全然違うこと。コンサルタントのファームもバラバラ、営業もバラバラの会社から集まってきており、これほど多様性のある組織ってなかなか見ないなって自分でも思ってるんです。瀧本ゼミで一緒にやっていたり、後輩だった人も入ってくれています。
そして、「稼げるからコンサルティング業界にいる」という人は一人もいなくて、みな想いや志があってUPに集まっている人たちです。
UPの目的(ミッション)は、日本企業に成長の「ダイナミズム」を取り戻し、日本を再び豊かさをもたらすこと。志・目的がまず先にあって、その手段としてコンサルティングを選んでいる人たちと一緒に仕事しています。
Unite Partnersの中で私は、自分の過去の組織づくりの苦労と経験に加え、瀧本さんからの教えも踏まえ、まだまだ試行錯誤中ですが、この国を変えることが出来る最高のチームづくりに邁進しています。
つづく。