
ユナイテッドアローズ 統合レポート解説 第2回:価値創造プロセスの読み解き方
前回の振り返り
前回の第1回記事では、「ユナイテッドアローズの統合レポートとは?」というテーマを解説いたしました。
第2回の今回記事では、統合レポートの全体像を一望できる「価値創造プロセス」図について解説します。
価値創造プロセスとは
「価値創造プロセス」とは企業が社会に対してどのような価値を提供しているのかを示すものです。
社会への提供価値、すなわち長期的なありたい姿(ビジョン)からバックキャストし、価値を提供するための手段と、それを実行するための材料である資本を整理して一望できるようにしています。
また、このプロセス図では、財務やビジネス面だけでなく、サステナビリティ側面の情報が組み込まれていることも重要なポイントです。
企業が長く存続するためには、財務的な利益を生み出すだけでなく、社会や環境に対する価値も創出しなければなりません。これはいわゆる「統合思考」と呼ばれる考えです。
これらを踏まえ、プロセス図の各パートにおいては財務・非財務両方の情報が載っています。

価値創造プロセスは、統合報告書レポートを読むための道しるべ
「抽象化されてわかりづらい」「図式化することに意味があるの?」そんな声も聞こえてきそうなこの価値創造プロセスの図ですが、実は統合レポートを読むにあたって、全体の道しるべとなる重要なものです。
今回の記事では、ユナイテッドアローズの価値創造プロセスの構造と、要素、冊子の他ページとの関わりを紐解いていきます。
ユナイテッドアローズの価値創造プロセスを解体
事業の流れとしては矢印のように左から右へ運びますが、ここではバックキャスティング(目標とする未来を描き、それを実現する道筋を未来から現在へとさかのぼって考える手法)の考えに沿って、右から左へと解説します。
提供価値としての長期ビジョン
ユナイテッドアローズの事業はすべて「真心と美意識をこめてお客様の明日を創り、生活文化のスタンダードを創造し続ける。」という経営理念に基づき行っており、長期ビジョンもこの理念をもとに描かれています。

長期ビジョンについては、本シリーズの第4回にて解説します。
強み・ビジネスモデル、中期経営計画
ユナイテッドアローズは、「ヒト(接客・サービス)、モノ(商品)、ウツワ(施設・空間・環境)」という強みを活かしてつくった商品やサービスを最適なマーケットへと提供しています。
この強みは創業から大切にし、磨きをかけてきた当社の競争優位性です。これらを今後も磨き続けることが、長期ビジョン達成のための要であると捉えています。
強みついては第3回で、戦略や目標については第4回で詳しく解説します。

サステナビリティ活動
ユナイテッドアローズのサステナビリティ活動は、「Circularity(循環するファッション)、「Carbon Neutrality(カーボンニュートラルな世界へ)」、「Humanity(健やかに働く、暮らす)」の3つを柱としています。
この活動を通して業界を牽引していくことは、ユナイテッドアローズの優位性を築くための要因の一つになります。
サステナビリティ活動については、第6回で解説します。

資本
一般的に資本は「財務」「製造」「知」「人」「社会関係」「自然」の6つに分類することができます。
この統合レポートのプロセス図では、そのうち当社の特性をよく表すものとして、以下を記載しています。
・UAクラブアクティブ会員数(=社会関係資本)
・従業員数(=人的資本)
・自社ブランド、取扱ブランド(=知的資本)
・取引先工場数(=製造資本)
・店舗数、株主数(=財務資本を支えるもの)
これら資本は事業活動の財源・財産であると同時に、事業活動によって資本をいかに増やしていくかも重要な観点です。

ユナイテッドアローズの価値創造プロセスの要点を掴んでいただけたでしょうか。「統合思考」、「バックキャスティング」の視点でプロセス図を見ると、より理解していただきやすいと思います。
次回は「価値創造の源泉『ヒト、モノ、ウツワ』」と題して、当社の競争優位性を紹介します。ぜひ、ご覧ください。
最後に、改めまして「統合レポート2023」のリンクをご案内します。
https://www.united-arrows.co.jp/wp-content/uploads/2023/11/integratedreport2023_jp.pdf