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ユナイテッドアローズ 統合レポート解説 第6回:サステナビリティ


前回の第5回では財務情報と非財務情報についてご説明いたしました。

今回は、当社の長期ビジョンにも組み込み、積極的に推進している「サステナビリティ」について解説いたします。

マテリアリティとSARROWS

「サステナビリティ」とは「持続可能性」を意味し、環境や社会に配慮した企業活動に関して用いられる言葉です。

サステナビリティ経営を実践するには、企業経営における重要課題を特定し、それに対応する活動を行うことが大切です。
この重要課題のことを「マテリアリティ」と呼び、経営戦略に組み込んでいくことが求められています。

当社では、2020年に国際的な枠組みや業界の設定目標などをもとに、5つのテーマと16項目のマテリアリティを特定(p.34)しました。

これらの課題を本質的に解決するには、自社のみでなくお客様やパートナー企業とともに取り組むことが不可欠です。
そのため、さまざまな方に参加していただけるよう、よりわかりやすく親しみやすい活動にしたいという考えから、「SARROWS(サローズ)」と命名し、活動テーマを「Circularity」「Carbon Neutrality」「Humanity」に再整理しました。

「SARROWS」策定の経緯は、サステナビリティ対談(p.31)やサステナビリティ全体説明(p.33)のページにて紹介しています。

SARROWSの3つのテーマ

統合レポート2023では、当社のサステナビリティに関して、対談、取り組みの全体像、3つの活動テーマという構成で紹介しています。
今回は、サステナビリティの核である、3つの活動テーマについて見ていきます。

Circularity 循環するファッション

ファッション産業の課題のひとつが、大量消費・大量廃棄のビジネスモデルです。こうした課題を解決し、循環型社会形成に寄与するため、SARROWSのテーマとして「Circularity」(p.35)を設けました。
このテーマでは、商品をつくる・使う過程やあり方の見直し、新しい商品やサービスの提供について解説しています。

また、具体的な事例として、リサイクル糸を使用したデニムを紹介しています(p.37)。
身近なアイテムを通して、ユナイテッドアローズのCircularityにより親しみを感じていただけるのではないかと思っています。

Carbon Neutrality カーボンニュートラルな世界へ

続いては、「Carbon Neutrality」(p.38)です。
気候変動が環境へ及ぼす影響はもちろん、当社事業への影響を低減させるとともに、成長機会の取り込みも推進し、企業戦略に生かすための活動です。

本テーマでは、取り組みの詳細に加え、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言の枠組みに沿って気候変動に関して特定した自社のリスクと機会、それらが事業に与える影響度を掲載しています(p.39)。

また、2022年度に行ったカーボンフットプリント算定についても紹介しています(p.40)。
これは自社商品のライフタイム(原材料の調達から商品廃棄までの全行程)において、どのくらいCO2が排出されているかを具体的に測定した取り組みです。

こうした情報を自社内で認識するだけでなく、お客様や取引先などと共有することで、つくる責任や商品選択における意識をステークホルダー全体で高めていきたいと考えています。
これはSARROWSの活動の基盤にある考え方に通じるものです。

Humanity 健やかに働く、暮らす

3つめのテーマは「Humanity」(p.41)です。
当社のステークホルダーの皆様の中でも、特に従業員や取引先様を対象にした活動です。

Humanityでは、主に人権と従業員に関する取り組みについて紹介しています。

人権に関しては、特に取引先様との協業が欠かせません。
取引先様に対してどのようなことを働きかけ、サプライチェーンにおける人権課題を解決していくのか、投資家の方にも知っていただきたいと考えています。

当社の価値創出の源泉のひとつが「ヒト」、すなわち従業員です。
従業員がいきいきと働ける環境をつくることが、従業員個人と当社、双方の持続的な成長につながります。
当社では従業員が持つ能力を最大化するために、従業員の当社へのエンゲージメントを正しく把握し、課題に柔軟に対応していくことが重要だと考えています。

こうした取り組みについて、Humanityの2ページ目(p.42)以降で解説しています。

非財務情報の定量化

各活動テーマにおいて数値目標(KPI)を設定し、非財務情報の進捗を可視化することに努めています。
3つの活動テーマの冒頭ページに記載していますので、当社を評価していただく際の判断基準のひとつとしていただければと思います。

次回は最終回、「経営陣からのメッセージ」について解説します。
ぜひ、続けてご覧いただけますと幸いです。