2023年3月期 上半期 決算概況
2022年11月7日に発表した2023年3月期 上半期の決算概況について、要点を絞ってご説明いたします。
決算概況
連結売上高は前年比113.9%の574億円、連結対象の変更と収益認識基準変更の影響を除外した実質的な対3年前比では87.6%となりました。
売上総利益率は52.0%で前年から2.8pt、3年前からも0.3pt改善しています。今期はセール販売を抑制しており、売上高の回復は3年前には及ばないものの、売上総利益率は3年前を上回りました。
販管費は284億円で前年の103.7%、売上回復に伴う変動費の増で前年を超過していますが、3年前比では82.2%。収益認識基準変更の影響を除外して算出しても3年前の85.2%と抑制を続けています。売上比は49.5%とまだ高い水準ですが、今後の売上高の回復とともに率の抑制を図っていく考えです。
この結果、営業利益が13億円となり前年から40億円の改善、親会社に帰属する四半期純利益が10億円となり前年から30億円の改善となりました。売上額は当初計画水準となっており、売上総利益率の改善、販管費の抑制で利益面では計画を超過した上半期でした。
https://www.united-arrows.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/presentation_2023_2.pdf
売上総利益率の改善
この上期一番のトピックは、売上総利益率の改善です。これに大きく貢献したのが定価販売の強化です。
(株)ユナイテッドアローズのレギュラー事業(ユナイテッドアローズ、ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ、グリーンレーベル リラクシング等、アウトレット以外の店舗、ネット通販等)の売上高を定価販売、セール販売に分解すると、定価販売は3年前の95.3%まで改善し、セール販売を51.2%まで抑制しています。売上構成比を見ると、定価販売が83.8%を占め、3年前から10.3pt改善しています。
ここ数年は緊急事態宣言等で実店舗を一時休業したり、営業時間を短縮する期間が続き、在庫消化のためにセールを拡大せざるを得ない状況にありました。経済状況も徐々に戻りつつある中、当社としては在庫調達量を抑制し、なるべく商品をセールにかけず、定価で販売していくことでお客様の価格への信頼感を取り戻す取り組みを進めており、今春夏シーズンは一定の成果が出たと捉えています。秋冬以降も同じ考え方を継続し、価格への信頼性を高め、収益改善に努めます。
社長の松崎もフォーブスジャパンの取材で、定価販売強化についてサステナ視点でコメントしています。
ユナイテッドアローズ オンラインの取り組み
今回の説明会では、2022年3月にリニューアルした自社オンラインストア「ユナイテッドアローズ オンライン」の取組進捗を、サイト規模の拡大、OMOによるデジタル接客、デジタルマーケティング強化、在庫配分の拡充の4つのポイントでご説明しました。
サイト規模の拡大
2022年10月現在、ユナイテッドアローズ オンラインのアプリは約230万件のダウロード実績を持っており、3月のサイトリニューアルから100万の増となりました。まずはダウンロード数を伸ばし、当社との接触機会を増やしたいと考えています。LINEのお友達数も12月現在180万人を超え、お客様とダイレクトにコミュニケーションができる土壌を整えています。
https://store.united-arrows.co.jp/guide/app/
OMOによるデジタル接客
当社では実店舗とユナイテッドアローズ オンラインをシームレスにつなぎ、お客様が好きなところで商品を確認し、好きなところで購入でき、好きなところで受け取れるOMOの取り組みを進めています。ユナイテッドアローズ オンラインでは当社販売スタッフのコーディネート画像を掲載し、日本全国の販売スタッフの着こなしを参考にしていただけるようにしています。
このコーディネートの投稿数は月5000件に及び、ユナイテッドアローズ オンラインの売上の50%強がコーディネートページを経由しています。現在コーディネートの掲載に参加しているスタッフは約900名で、スタッフをフォローしてくださるお客様も2万名強に達しています。
お客様にとって着こなしの参考材料となるスタッフのコーディネートをご紹介することで、そのスタッフが所属する店舗にお越しいただくお客様だけではなく、全国のお客様にご提案することができます。その結果、ヒトという当社の強みがオンライン上で可視化され、より広範囲に影響を及ぼすことになります。
コーディネートを掲載するスタッフにとっても、自分のコーディネート提案がどれくらい売上に貢献しているかがわかるため、スタッフ自身のモチベーションの向上にもつながります。今後、様々な商品のコーディネートをご紹介できるようシステム面でのサポートも加え、強化していく方針です。
デジタルマーケティング強化
これまで雑誌媒体を中心としていたお客様との接点も、SNSの広がりにより急速にデジタル化が進んでいます。当社でもSNS専門チームを作り運営を強化していましたが、10月からはこれを専門部署へと昇格し、InstagramやtwitterをPRの軸にすべく、さらなる強化を進めています。
これまで各ブランドが個別に公開していたシーズンコレクションのコンテンツを、2022年秋冬は主要23ブランド・レーベルのシーズンテーマとLOOK BOOKを集約した形で公開しました。コラボレーションなどの限定アイテム、今シーズンの主力アイテムなど、当社が運営する様々なブランド・レーベルをまとめて掲載し、SNSとの連動訴求を行うことで、約2週間で100万ページビューを獲得しました。次の春夏についても同様の施策を進め、より広いお客様へ訴求します。
https://store.united-arrows.co.jp/s/all/preview/2022aw/
在庫配分の拡充
前述の通り、当社は在庫調達量を抑制し、セール販売を極力抑える販売方法にシフトしています。今春夏シーズンは在庫調達が抑制される中、実店舗が想定以上の回復を見せたため、ユナイテッドアローズ オンラインにまわる在庫が少なくなり、在庫欠けがおきてしまいました。3月のリニューアルを機に、自社の物流センター内でフルフィルメントを行う体制に切り替えたものの、当初想定していた管理手法が在庫欠けの要因になった側面もあり、現在は一部手法を見直して運用し、販売機会ロスを抑制するオペレーションにしています。
春夏シーズンの結果も踏まえ、今秋冬シーズンについては実店舗、通販、物流ストックの配分を見直しています。あるべき配分についてはまだ検証段階ではありますが、在庫バランスを最適化させた上で、前述の通り次の春夏シーズンからはユナイテッドアローズ オンラインでも実店舗在庫の引き当て販売が行えるようにシステム改修を進めています。この取り組みによって販売機会ロスの縮小を図り、在庫効率を上げながら、実店舗、ネット通販双方の売上拡大に努めます。
他にも今回の説明会では、10月に公開したコーポレートステートメント、当社のサステナビリティ活動「SARROWS」についてご説明しています。それぞれの詳細は別記事にてご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。