見出し画像

経営者の生前に死亡保険金を受け取れるリビング・ニーズ特約

 こんにちは、ユナイトnote担当です。

 法人における経営者の死亡保険金の受取は、新代表者が決まった後です。ところが経営者の生前に死亡保険金を受け取れる場合があります。それがリビング・ニーズ特約です。

■リビング・ニーズ特約は保険金を生前に受け取れる。

 リビング・ニーズ特約は、被保険者の余命が6ヵ月以内と医師に診断された時に保険金が請求できる特約です。6か月分の利息や保険料は引かれるものの、生前に保険金を使うことができるのが特徴です。もし余命より長く生きても、返還の義務はありません。また受取額の上限は3,000万円で、範囲内であれば保険金の一部でも全額でも受け取れます。

 法人契約の場合には付けられないのが一般的ですが、可能な保険会社もあります。その保険会社の場合、契約者が法人で保険金受取人も法人の契約は、法人でも被保険者でも受け取れます。また上限額が保険金額となっている点も特徴です。

■受取人によって変わる税務。

 誰が受け取るかで税務は変わります。法人が保険金を受け取る場合は、原則法人税の対象です。これはリビング・ニーズ特約で受け取る際も変わりません。

 一方、個人で受け取ると所得税は非課税と考えらえます。(リビング・ニーズ特約に基づく生前給付金|国税庁 (nta.go.jp))。ですが、相続税として課税される恐れはあります。受け取った時点で被保険者の資産になりますので、余った分は相続財産として扱われます。保険金で認められている相続税の非課税もされません。これらは指定代理請求などで被保険者以外の方が受け取っても同様と考えられています。

■法人契約の場合は非課税が否認される恐れがあるかも?

 法人契約で被保険者が受け取る場合には、国税からの回答は出されていません。リビング・ニーズ特約は個人契約で付加されるのが一般的なためです。そのため非課税が否認されるリスクがあると私は考えます。

 被保険者が受け取るときに非課税とされていますが、個人契約の場合の回答しか国税からはされていません。さらに法人で支払ったものが、契約者も変えていない状況で個人受け取りになることへの疑問もあります。また、法人での契約は保険金が多額になる傾向があります。一般的なリビング・ニーズ特約にある3,000万円という上限を超えて、たとえば数億円を受け取った場合、どのように判断されるかは未知数です。

 なお明確に示されていたとしても、極端な利用や租税回避と判断されてしまう場合は認められないことがあります。通達は厳密なものではなく、例外のある対応方針とお考えいただく方が無難だと思います。

■リビング・ニーズ特約によって広がる可能性。

▼人生を謳歌するために利用できるかもしれません。

 リビング・ニーズ特約は、最後に人生を豊かにしてくれる可能性を秘めています。

 被保険者が受け取る場合には、心残りを減らし、人生を謳歌するために使われることが想定されています。治療費や会社等への借入金の返済も有益ですが、家族や友人たちとの思い出を作ることが個人的には最も心動かされる考え方でした。昔はそうは思わなかったでしょうが、今はそう思います。

 法人が受け取る場合には、法人の経営のためや、被保険者のために使われることが想定されています。例えば運転資金や借入金の返済資金、退職金の支払いなどが考えられます。また、経営者にとって自社株の相続と承継は重大事項です。経営の安定や争族を避けるために、相続発生前に自社株を企業で買い取ることが有効なこともあると思います。

▼受取金額には要注意。

 受け取るか受け取らないか、受け取るならいくらまで受け取るか?は考える必要があります。

 個人が受け取って余った分は相続財産に加算されます。想定外の相続税が発生してしまうこともあります。
リビング・ニーズ特約で受け取った分は、前述のとおり保険金で認められている相続税の非課税は行われません。これらが保険の狙いの一部にある場合には、リビング・ニーズ特約で受け取ることで目的が果たせなくなってしまう恐れもあります。ただし残っている保険金は、受取時に非課税限度額が適用されます。

■まとめ

 リビング・ニーズ特約は、生前に給付金を得られるという特約です。保険料もかかりませんし、基本的には付けていて損はないと考えられていますが、デメリットはないのでしょうか?私は、選択肢が増えることはデメリットでもあると考えています。

 余命6ヶ月以内と判断されるのは、末期ガンで治療の見込みが全く無い等、非常にレアなケースとなります。わざわざ想定しておくようなものでもないと思います。

 この特約を利用するときは、想定もなく肉体的にも精神的にも尋常でない状況です。選択によっては当初の保険の目的を果たせなくなってしまうかもしれません。

 それでも大切な人たちとの思い出を作ったり、心残りを減らせる可能性があることは本当に魅力的だと思います。私もつけておいても良い特約だと考えます。

 お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。

※記事内容の正誤に関わらず、読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。


■問い合わせ先

保険の質問やご相談は以下のフォームがございますのでご覧いただけると嬉しいです。
https://unite-consulting.co.jp/contact/
instagramはこちら↓ https://www.instagram.com/hoken.keieisya.houjin.unite/
また感想や質問などコメントいただけると嬉しいですっ!


■参考

リビング・ニーズ特約に基づく生前給付金|国税庁 (nta.go.jp)

No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁 (nta.go.jp)

No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金|国税庁 (nta.go.jp)