見出し画像

長編小説 PATRICK ~歪んだ欲望~ 後編



CHAPTER 6- DESTROYED~ REBUILD


 はっ!!!!足がビクっ!!となって目が覚めた。

 ビールを飲みながら「Stranger Things 」を見ていて、ビール2本目に入ったあたりから、すこし意識がもうろうとしてきて、居眠りをしてしまったらしい。

 何時!!?? 見ると、夜中の12時を少し過ぎていた。

 やべえ!!!

 慌ててファンスタにログインしなきゃと充電していた携帯を手探りで探す。あれ、、、?このへんに置いといたのに、、、あ、あったあった!と充電コードを勢いよく引き抜き過ぎて、携帯が宙を舞う。やべえ画面にヒビが入っちまう!!!と宙で携帯をキャッチしようとして慌てすぎて足の小指をしこたまテレビを置いてるキャビネット?みたいなやつの角に打ちあげていってえええええ!!ともんどりうって携帯も落とし、どんだけ慌ててんねんwwwと自分にツッコミを入れながらファンスタを立ち上げる。

  
 ログインすると、ログオフした時にいた、ERIKAの森に立っていた。ERIKAはいない。うーぱーさんは、どこにいるんだろう。

 フレンドの欄からCavaliersのメンバーの居場所を見つけようとしていたら、

  [Cavaliersが あなたをギルドに招待しました]

 Patrickはすぐに承諾する。するとすぐにギルドチャットが流れる。

エマニュエル「Patrick, ギルドのみんなでプライベートにチャットできるの、ギルドチャットしかないから、招待したよ! てかこのまま出ていかなくていいよ!」

Patrick「hahahaha we will see....! みんな どこにいますか?」

アヤネ「カリス海岸!来て!」

 次の瞬間にはPatrickはカリス海岸に来ていた。見渡すと、砂浜にみんな集まっていた。うーぱーさんも見える。 Patrickはみんなのいる砂浜まで走る。その間も、ギルドチャットが流れる。

momo「うーぱーさん、やめなくても、少しお休みとるとかでもいいと思います」

海斗「そうそう。うーぱーさんの後にギルマスやりたい人いないよw」

アヤネ「Patrick! over here...!!!(パトリック!こっち、、、!)」

Patrick「すみません、、、おくれた!hey, うーぱーさん!」

うーぱー「パトリック、、、!みんな、、、!ごめんね」

ringogo「うぱ子は何一つ悪くないで」

Patrick「exactly, うーぱーさんは ぜんぜん わるくない!Please, stay」

ERIKA「そうだよ!STAY! うーぱーさん!」

アヤネ「Yes! STAY!」

うーぱー「みんなありがとうね、、、!でももう無理そうw 実はずっとつらかった。パンチョや太郎丸からいっぱいプライベートチャット来てて、結構ひどいこと言われて、最近毎日号泣してたんだ、、、」

 なんと、、、、!!そうだったのか、、、、。

Takazaki「そんなひどかったの、、、!? 知らなかった、、、!」

Patrick「なんて言われた? わたし 言い返す!」

うーぱー「もういいよ、パトリック、、、! もうね、つかれちゃったw」

エマニュエル「確かに、ゲームなのに嫌な思いしてまで続ける事はないと思う。でも、うーぱーさんのいないCavaliers なんて、ちょっと考えられない、、、」

うーぱー「だいじょうぶ。みんなすごく強くなったし、、、!誰がギルマスになっても大丈夫だと思う」

Patrick「PLEASE うーぱーさん、、、、I will....we will protect you....みんなで うーぱーさん 守りますから、 Please please please don't go...!!!」

うーぱー「パトリック、、、ありがとう、、、!」

Patrick「please please please please, うーぱーさん」

うーぱー「パトリック、、、、」

Patrick「please please please don't go....! baby, please...!!!」

 

 この時点では、もうPatrickとうーぱーさんしか話していなかった。

 なんでこんなに必死になったのか、自分でも分からない。まるで別れを告げて立ち去ろうとする恋人にすがりつく情けない男みたいになっていた。

うーぱー「ありがとうね、、、でもいまは、やすみたい」

Patrick「いかないで、うーぱーさん、、、!!!」

うーぱー「パトリック、、、泣かせないでw」

ringogo「ウパ子にはやめてほしくないけど、たかがゲームなのに嫌な気持ちでプレイするのも意味わからんからな」

Patrick「I know....I know....!!! I just don't want her to go....!!!(分かってる、、、!ただ、行ってほしくない、、、、!)」

 私はよもや聞き分けの悪い子供みたいになっていた。

ERIKA「パトリックなんて言ってるの?」

ringogo「うーぱーさんに行ってほしくないって駄々こねてる」

エマニュエル「駄々こねてるwwww 私も行ってほしくないよー!」

アヤネ「少し期間おきたかったら、それでもいいから、ギルマスもやらなくてもいいから、ギルドは抜けないでおいてもいいんじゃない、、、?」

ケメ吉「うむ!オールオアナッシングじゃなくて、キャラだけは置いておいてもいいと思う!戻ってきたい時のために!」

ERIKA「でももちろん、最後はうーぱーさんの好きなように決めてほしい」

 

 しばらくの沈黙のあと、うーぱーさんが言った。

うーぱー「みんな、ありがとう。何の気なしに作ったギルドが、ここまで大きくなるなんて思ってなかったから、本当にみんなありがとう。Cavaliers大好きで、ずっとここに居たい気持ちもあるけど、やっぱりやめることにする、、、。ごめんね。今週はずっと泣き腫らしてて目が腫れてるんだ実はw ちょっとトラウマみたいになってるから、今はゲームから離れる事が自分にとって大事だと思う、、、、ほんと、みんながみんなお互いに優しくなれたら素敵な世界になるのにね、、、」

ringogo「、、、、うん、分かった。ゆっくり休んでや。Cavaliersのことは、心配せんでええ。どうにでもなるから」

うーぱー「うん、ringoっちが今夜だけでも戻ってきてくれて嬉しい。頼りになるよ。ありがとう、、、、ごめんね」

ringogo「ええねんで、、、おつかれさまやったね」

momo「おつかれさま、うーぱーさん!」

エマニュエル「ええええ〜さみしいよおお〜〜!でも本当にありがとう」

アヤネ「さみしすぎるw いつでも戻ってきていいからね」

 

 ああもう止めても無駄なんだと分かった瞬間、力が抜けた、、、。うーぱーさんも、いなくなるのか、、、。

うーぱー「みんなありがとう、、、!!最後にみんな一緒に写真撮りたい!」

ringogo「せやな。あのへんに集まろか。ウパ子真ん中にして」

 輝く海の前でうーぱーさんを真ん中にして集まり、写真をとる。私は全く気が乗らなかったけれど、最後だから一応ポーズをとる。

 しばらく写真撮影していたが、もう夜も更けてきたので、お別れの時になった。

うーぱー「みんな本当にありがとう!Cavaliers大好きだからね。忘れないよ!」

 みんな口々にありがとう元気でねまた会おうねとチャットでお別れを言う。

Patrick「we will miss you terribly...thanks for everything(いなくなるのはさみしすぎるよ、、、今まで本当にありがとう), うーぱーさん。take care…」

 私もあきらめて、しっかりと見送ることにした。

うーぱー「ありがとう〜〜!!だいすきだよみんな〜〜!!」

 うーぱーさんはそういうと、「ありがとう」のモーションを何度かしたあとに、ギルドを抜けて、オフラインになった。

 

 それを見て私もログアウトした。

 疲れた、、、今日はゲーム内でいろいろありすぎた、、、、。Patrickは、というか私はぐったりしていた。

 ふと思いつき、うーぱーさんのTwitterを探した。

 なくなっている。跡形もなく消えている、、、。もう、連絡の取りようがない、、、。

 ふとなんだか全てが嫌になって、私はPatrickのアカウントをdeactivateした。

 フォローしあってる人は、気がつくだろうか?アカウントがまるまる消えてしまうから、気がつかないだろうか、、、。今は何もツイートする気になれなかった。感情がジェットコースターに乗っていたかのように左右された1日だった。もう大事な人を失うことに疲れてしまった。もう全てを忘れて、ただ眠りたかった、、、。

 

 

 それから3日間くらい、私はファンスタにログインしなかった。うーぱーさんを失ってしまった虚無感や、パンチョとなんらかのやりとりをしないといけないかもというめんどくささ、、、。とにかくコンスタントに訪れる別れに私は少し疲れていた。

 後もう一つ、私は自分が本物のイケメン外国人だったら、すぐにでもみんなにリアルで会いたいくらいみんなの事が好きになっていた。でも悲しいことに、それは絶対に出来ないことなのだ。自分が始めたことといい、その自業自得感にも苛まれていた。 

ここから先は

66,269字 / 5画像

¥ 500

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?