【ingress】2020年3月、世界がコロナでマスク不足に陥った時、一部AG有志でマスクを2万枚輸入した作戦の話。
アドベンドカレンダーって今年の事を書いたらいいみたいなんだけど、
今年というより、今書きたい話として、2020年3月から始めたマスクの輸入の話をしていこうと思う。
エージェントってこういう事もしてたのね、という話の一つにでもなれば。
というか12月22日担当だったのに今日になってすみません。
メリークリスマスゥ🎅
新型コロナウイルスは2019年12月から中国の武漢で1例目を数えてからものの数か月でパンデミックと呼ばれる世界的大流行までになった。
そしてその流れのまま市場に流通してるマスクは瞬く間に無くなり未曽有のマスク不足に。
2020年のことなのに、記憶があやふやだが、あの当時は未知の感染症に対する恐怖で世間はゾンビ映画のような絶望感があったように思う。
特に都内で第一号の感染者が出た2020年1月から、この企画をスタートさせた3月下旬にかけてはマスクだけではなく、あらゆる衛生商品も足りてなかった。
人々がロックダウンを警戒してか、買い置きのきく食料品やアルコール除菌用品やマスクに殺到してて本当にコンビニやドラッグストアにも買い置きの食料も品薄になりマスクは1枚もなかったんよね。
あまりのマスク不足から使い捨ての不織布マスクでも、世間では1日使ってもすぐに捨てずに消毒したり洗ったりして次の日も使ったりしてたんだっけ。
そんな中地元AGのDiscloWatchさんが仕事で得たツテからマスクを輸入できるかもしれないという話が舞い込んできた。
「万枚単位からならマスク買えるかもしれない。単価は60円くらい。船便だから時間かかるけど」
その話が来たのが3月24日くらい。
ひとまずその話に秒で飛びついた。
当時はやったことはない中国からの輸入。
そして当時としては1枚60円という金額設定。高いけどそこまでぼったくりの価格ではない絶妙な金額。
いつ来るかわからない船便。
そして万枚からという最低ロットに届くかどうかわからない我々の購買力。
話が出たのは24日だが3月31日には締め切って業者に枚数を伝えなきゃいけない状態。
船便からどうやって受け取れるんだ?
そもそもどうやってお金集めるんだろう。
つか、本当にマスク届くのか?
そもそも誰が仕切るわけ?
全くのわからないことだらけの不明な状態、そして選択肢もない状態だったが、ひとまず何かできることはないかと、宣伝を兼ねて地域のチャンネルに説明しながら需要を調査しつつ、翌25日にマスクの取りまとめのtelegramの運用を始めた。
「マスクが手に入ると聞いて」
telegramをスタートしたと同時に多数の人がチャンネルに入ってきた。
準備してあった需要調査用のスプレッドシートに瞬く間に希望枚数が書かれていく。
「ああ。みんなマスク欲しいんだ。」ぼんやり初動を見て思った。
でもこれ、輸入したとしてダンボールの中身どうなってるんだろう。
一枚ずつの個包装なの?
品質は?なにやらN95とかいう規格があるんだけどそういったものに対応する?
ウイルスとか大丈夫?
いきなりむき出しでマスクが入ってるとかないよね?
送料ってこちらの自宅までの送料じゃなくて、国内の業者の倉庫つくまでの送料だからさらに金かかるし、どっかで仕分けしなきゃいけないよね?
分からないことはそのままでただひたすら注文がたまっていく。
業者に聞いてもいまいちはっきりとした回答がないままで、まぁまぁめんどくさがれる気がして、この話がご破算になりかねないのでふわっとさせたままにしておいた。
この頃、業者を紹介してくれたDiscloWatchさんに「あとはウニキが仕切ってね。」と言われた。
いざとなったら頼りにしようとしていたのに。
そして希望枚数がどんどん増えていった。
無駄に盛り上がるTG
枚数は5000枚を超えていった。
マスクTGへの入室は緑陣営だけと制限したが、機会があれば個人的に青さんにも分けるようにご案内した。困ってるのは青さんも一緒なのだ。
「エンライテンドやさしい。やさしいエンライテンド( *´艸`)」
このあたりから仕分けをどうしようか検討していて、自分の中で生協形式が良いなと思っていたところだった。
そしてお手伝いしてくれる方も同日募集開始した。
生協形式とは。
密集を避けるように言われだしたこの頃、一か所に万枚届きそうなダンボールが何十箱も来て、全員に個別に受け渡す会をするのは無理がある。
ばらばらと取りに来て渡すのも大変だし、そこから郵送するのも手間がかかるしそもそも衛生的にどうなのだろうか?
色々考えた結果、ダンボール1箱(カートン)を1単位として、何人分かをまとめて代表者の家に送ってそれぞれの拠点で配布をしてもらう昔ながらの生協のような宅配形式にしてもらうことを思いついた。
※ちなみに今のご時世、生協もグループごとではなく、各家一軒ずつの配送に対応しているようだ。
このあたりで商社の意図も判明した。
国内全体でマスク購買力を強め、欧米との購入競争での交渉力をあげる戦いになっていた。
怖い。商社怖い。
この辺からとんでもない国際間競争に巻き込まれたのだと知る。
マスクTGは全国展開していくことに。
ドラクエ勢も参入。
マスクTGにはドラクエ(謎)民も集まりなぜかドラクエⅢ発売の時の様相を想定する流れにw
翌日、ひとまずの決まった方法と仮スケジュールを出す。
募集開始2日間で注文累計は12000枚に達していた。
別口の計算にはなったが一人で9000枚頼んだ猛者もいた。
このあたりから細かいマスクの仕様についての質問が飛ぶ。
「サージカルマスクなの?」
「N95対応なの?」
「図面とかある?」
「原材料名とか出せる?」
これらの問いに答えようと何度目か忘れたが業者にメールでぶつけるもやっぱりはっきりとした回答を得られず。
業者からは「サージカルマスクではなく普通のマスクですよ」と言われてそのまま伝えるも、「普通のマスクがサージカルマスクって言うんじゃ?」ってメンバーから突っ込まれてうろたえるの図。↓↓↓
謎のAAが爆誕。
マスクの希望枚数はこの時2万枚を超えていた。
商社の受注枠も1日たてばどんどん埋まっていき、結果として日本到着タイミングが遅れてきて焦る。
安倍政権はマスク増産を閣議決定。
というか十分な量が生産されてるがそれが全く市場に出回っていない状況だという回答もしていた気がする。
増産は喜ばしいことだけど、我々が注文するマスクが届くころに街中でマスクがあふれかえってたらどうしよう。
本来は良いことなのに自分勝手なことばっか考えていた。
どうしようもないな、俺。
そして非常に高値掴みの可能性が出てるが、そういうリスクがあることも含めて申し込んでもらっていた。
安いものが出回ってしまうより、今この瞬間のなんとか家族や大切な人にマスクを確保してあげられる安心感に応えたいという意識に突き動かされてきた。
もう後戻りはできない。
最終的には2万枚の受注になる。
1箱(カートン)900枚=50枚1梱包×18袋
でぴったり22箱分。
小口注文分の生協的な分配方法も含めて完璧にそろえられた。
その後も急遽1800枚(2カートン分)追加され、21600枚 24箱分
累計1,449,360円の発注が決定
マスクテトリスフローという名の謎のフローチャートできる。
なんでテトリスかというと、
900枚単位で1箱なので、生協1グループの需要を900枚ぴったりで調整しなきゃいけない。
50枚単位で申し込めるようにはなっており、だんだん規模も東京までの地方まで広がってきたので、
細かな数に対応するまでには大変になってきた。
生協グループで余剰や不足を出さないために900枚を1単位としてテトリスを組む必要があったんだが、
今見るとテトリスフローではなく単に受け渡しフローだな。
横浜着の日程が決まった。
17日に横浜港着で翌週に税関による検閲がされてそれから届くスケジュールに。
4月1日 アベノマスク配布が発表される。
我々、2万枚強の発注をキメた後なので感覚がおかしくなってるが、
この2枚の配布で安心を国民も多いかと思う。
いざ届いたら個人的にはこの2枚にも感謝したなぁ。サイズ小さかったけども。
その後なぜか余って倉庫に眠ったりしてたわけなんだけども(謎
そして、それから1年ちょいで安倍さんが亡くなるなんてこの頃は思わなかったな。
そして発注完了。
これから集金業務ががががががが
そして不織布マスク1枚300円で売る業者も出てくる。
このあたりが一番マスク足りない頃だった模様。
まぁ確かにビジネスチャンスではあるとは思うのだけど。
マスク手づくりされてる方も。
だんだん手作りおしゃれマスクの方も増えてて、ないならつくってしまおう。なんなら気に入るやつをっていうムーブも出てきた。
具体的な配送方法も決まり、TG自体はマスクのニュースを追うのがトレンドになり雑談中心に。
スケジュールの更新。入金から受けわたしまで日取りが具体的になった。
4月頭より大口の入金受付、小口注文に関しては中旬より入金受付を開始した。
この入金受付はPayPayでの受け渡しが楽かと思ったのだが、PayPayマネーライトで送られたお金は現金化できず、またPayPayマネーライトとPayPayマネーとごちゃにしてしまうとすべてが現金化できないという「樽一杯のワインに一滴の泥水を入れればそれは樽一杯の泥水になる」的な謎仕様のため、
大口入金でのPayPay支払いはご遠慮いただく流れとなった。
スマホ決済とかって飲み屋でお金集めたり割り勘する分にはすごくいい。
けどこういった大口取引?の場合、現金化できないのはすごく不便。
1,500,000円だよ150万円。
この現金化できない仕様はSuicaと共に「前払式支払手段」とされててその電子マネーの払い戻しはマネーロンダリング対策として資金決済法で禁止になってたりするのだ。
現金化可能なビジネス用途の場合、PayPayでもビジネスアカウントを作る必要があるが、今回の企画はビジネス用途として使うものではなく、単発の決済需要で差益が1円もないのでビジネスには該当しないと判断してる。
頒布に関しての用途としてはビジネスかと言われたらビジネスではないので考え方としては割れそうな感じなのでそれぞれ考えてください。
商社より品物が予定通り横浜につくとの連絡がくる。
沸き立つ皆さん。
お渡しのスケジュールも一気に具体化した。
ロゴもpocotyさんが作ってくれた!
マスクの第二弾輸入検討TGができる。
「またやるのか???( ゚Д゚)」
二段目の輸入の話も走り出した。
個人的にはおなかいっぱいだったけど、さらなる需要があったようだ。
マスクは命に係わる問題だから続行することにした。
生協組に続々と着弾し受け渡しが完了する。
ブロドウェイ組の受け渡し会開催!そして一瞬で終了。
午前荷物受け取りで、午後16時頃には終わってた記憶。
マスクの受け渡しに取りにくる人たちが久々で会ってほっとした。
penkiさんからめちゃくちゃ褒められた。
僕にというより企画にみんなからの感謝をいただけた。
zoomでの飲み会も行われた。
そして一か月後。
お替りのプロジェクトも終了し、ここにプロジェクトの終了を宣言。
21600枚 24箱分 累計1,449,360円。
お替り分もいれたら24000枚位で170万円くらいだったように思う。
わずか数日の募集だったのにすごい商いだ。(ビジネスではないが
安い車なら新車で買えてたw
取りまとめてはいないAG分もすごくてそちらは取引量は+20万枚位になってた。AGすごい。
どんな状態だよw
国家か?国家規模なのか??
その後、swagとしてpocotyさんのマスクも頒布されることになり、自分もその頒布のお手伝いをさせてもらう。
小顔効果もあり、バカスカ売れた。
お替りマスクも無事届いた。
業者が違うため仕様も変わって箱に入っていた。
価格は若干下げられた気もした。
このマスクお替りでマスク企画はすべて終了した。
マスクの輸入ブーム到来と供給過剰による終焉。
ちょうど我々の輸入を終えたあたりから、中国産マスクの輸入が増えてきて、高いながらも街中であふれるようになってきた。
多分我々が1枚60円で仕入れてたが、他の業者の仕入れもそれくらいだったのだろう。
当初は1枚100円とかで売り出す業者も多かったけど、利益を乗せて売ってたところは売れずに在庫過多で最後は投げ売りするはめになってたと思う。
その後中華マスクは安くなっていくが、日本製の高機能なものが売り上げの主軸になっていくのだった。
今あの時を振り返ってみて。
当時、1箱900枚単位で受注したり生協グループを作ることは非常に大変なイメージがあるけど、実はそんなことなかった。
空気を読んで、多少の遠慮や上積みはあったと思うけど、一人一人が全体の数への調整に前向きで希望を100%聞きつつも数字に合わせてくれるチームワークみたいなものがあってこの手のパズルが一気に進められていた。
立場的にingressコミュニティ以外でもこういった取りまとめをやることが多いのだけど、特にingressコミュは多少のコツみたいなものがあるものの、こういった調整に協力いただけたケースがほとんで、物事が円滑に進むことが多かった。(異論も認めます)
そして青さんへは個人的に分けてあげてとお願いしていたわけなんだけど、青さんから「レジスタンスで共同でマスク買うけど緑もどうよ?」とのお声がけいただいてたんよね。
そしてなんとうちらよりも2円安くて「おのレ・・・じゃなくてさすがレジスタンス」って思ったもんよ。
この状況下でうちよりも2円も安いマスクを調達できるだけでなく、緑にもお声がけくれるなんて本当にすごいよ。
ingress民は色を問わず懐が深いね。
そしてこのマスク取り組みで得たマスクはingress民だけでなく、その周りの家族や親族、友人や会社へも配られた。
自分の分のマスクは実家の親に送ったりした。
親はとても喜んでいたものの、ご近所の年寄も困ってるという。
それを聞いてまた更にマスクを送ってとても喜ばれた。
これも数少ない親孝行の一つとしてカウントしておいた。
ご近所AGにも配れば、うちの隣のおばちゃんにもおすそ分けをした。
会社で分けた人たちもいて「マスクがなくて精神的に参ってる同僚がいる」という深刻な話も聞いたけど少しは力になれたと思う。
うちも会社や取引先に送ったりして、喜ばれたっけ。
2022年12月現在。
コロナが世に出てから2年が経とうとしている。
TOKYO2020オリンピックは2021年に延期した。
でも相変わらずコロナはまだ存在するし、なんならコロナもバージョンアップしてて、その都度ワクチンを打つ回数も増えてたりする。
2020年の5月位には濃厚接触(飲み会)できるのでは?観測もあったが、あれから何度も緊急事態宣言が出た。
自分はまだ幸い罹ってはいないのだが、多くの友人知人はコロナに1度は感染してて、人によっては副作用に苦しんでたりもする。
第8波だなんて言われたりしてる割に、夜の飲み屋街では人でいっぱいだし、世界的にはもうノーマスクでいいじゃん的な開き直りと、「お前ら日本人はいつまでマスクしてんの?」的な風潮にさらされてて、政府も「外ではいい加減マスク外していいよ」的な感じで慣れてきたのか非常にカオスな様相だ。
でも今、街中でマスクが買えないなんてことはない。
そして当時うちらが輸入してたマスクが極端に安い金額で叩き売られてるのを見て一抹の寂しさを感じるものの、あの時みんなで仕入れたマスクは本人たちだけでなく、その周りの人からも感謝されたマスクだったてこと。
そして何よりもマスクがあったって事ではなく、危機的な状況だった時にAGのみんなで協力し、乗り越えた経験を持てたことが何よりもこの企画の価値そのものだと思う。
ingressで作戦やアノマリーでのチームプレイを数々やってきたけど、ゲーム以外の部分まで協力の場が広がったこと記録として書いておきます。
そんな素敵なゲーム、ingressのインストールはこちらから。
iOS
https://apps.apple.com/jp/app/ingress-prime/id576505181
Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nianticproject.ingress&hl=ja&gl=US&pli=1
当記事はIngress & Wayfarer Advent Calendar 2022の企画の一環で書かれています。その2の22日担当です。他の記事が面白いので読んでみてください。
Ingress & Wayfarer Advent Calendar 2022 その1
https://adventar.org/calendars/7560
Ingress & Wayfarer Advent Calendar 2022 その1
https://adventar.org/calendars/7958
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