きゅうてんちょっかのとりのこえ #7 急転直下
窮していた。
自分にとってだけだが、あまりにも明確に出口が見えなかった
いくつもの分岐が目のまえにあるのはたしかなのだが
どうしても
どれもに難があり、どれもが素晴らしいようにも見えてしまい
そして、どれもが実現不可能なようにも見えて
まったくもって答えにならなかったからだ。
完全に
窮していた
転職をしようと考えていたのは入社した時からだったかもしれない
いや、もしかしたらそれよりも前だったかもしれない。
そう、わかっているのに
決断からは程遠い情報がどかどかと自分の中に積み上がってきて
もう溺れそうになっているではないか
日々の多大なるストレスから目を背けるという目的も最初はあったようにも思う
いまとなっては
そのストレスに押しつぶされて
転職後の生活を夢に描いて悦に入るなんて
命綱のように愛でている
直情型なんて言われていたのはいつだっただろうか
感情が見えないなんて言われ始めたのもいつだっただろうか
人の中のわたしは切り取られているが、わたしの中のわたしは連続戦だ
まっすぐ真っ直ぐ歩いた道が、うねって見えてしまうならそれでいい
とことこ歩いていたた道がいつしかねじれて
君にわたしが見えなくなっても
嫌でも絶対ついてくる
わたしの道は、切り取られない
下卑た笑いを放てる類の存在しかいないのならば
そこにざするべき理由がいかに多かろうともはや不可能の灯りは赤い。
Beep! Beep!! Beep! Beep!!
警報です
鳴り響く
ここは「ヒト」のいるべき場所じゃない。
あなたがヒトであろうとするなら
あなたは人であるというなら
見えるという現実があまりにも乖離していたら
それはすでに、不成立なのだから
窮転直下
駆け下りるように離れていく世界
弾かれ、暴れ、逃げ出したのか
それとも弾き、暴れられて、逃げられたのか
世界の基礎は、作用/反作用
常に在る
対なるなにか
文字の違いは決定的で
答えは出せずに、問いは深まる
窮したものは、急には治らぬ
からりからりと、カラスは鳴いた
九官鳥じゃないのよと
モノマネ声で、鳴いたのだ
急転直下
鳥の声
ねぐらはいつも
あたたかい
藍の羽持つ灰色鳥が無責任に選んだカードを投げ捨て
真の望みに気づくのだ
その瞬間は急に来て
パタリと、カードが裏返される
ぐるり回って、急転直上
駆け登るその足跡は誰のものだったか
答えをしれば、戻れない
とろとろ、ゆらゆら、まどろみのなか
カラスを縊れず泣く声は
ああぁ、あああぁと、響くのでした