街角スナップの怖い話

みなさんこんにちは！
写真撮ってますか？

普段カメラ持ち歩いてます？
持ち歩いてますよね？
一眼？コンデジ？レンジファインダー？
今日はね、街角スナップする時にほんとに起きた怖い話です。

よくあるじゃないですか？
お母さんと娘が手を繋いでる写真。
幸せ満開！みたいな。
ありきたりだけどさ。
ああいう写真ってやっぱ撮りたくなるんすよ。
子供いると。

でね、俺もあれを撮ろうと思ったんすよ。
思い出だしさ！
やっぱかわいいじゃん。

で、保育園のお迎えに奥さんと行ったの。
車でね。
ちょっと離れた駅のロータリーのとこに車停めてさ。
保育園の近くに車停めるとご近所の住人に怒られたりするの。
俺は車のとこで待ってて奥さんとこどもが手繋いで帰ってくるとこを待ってたんすよ。
一眼持って。
ちょっとでかいレンズでさ、望遠のやつ。
少し遠目からまだ俺に気付かない2人を撮りたいなーと思って。
上手く撮れました。
家に帰りました。
問題は次の日です。

ウチは夫婦共にリモートワーク多めなんです。
で、家にいることが多いんすよ。
リビングで仕事してたらね、奥さんの携帯が鳴るの。
「もしもし？え…？はい、はい。いや、そうですけど…」
なんかさ、わかるじゃん。
不穏な空気？
普段の仕事とは違う感じの電話。
「ねえ…ちょっと電話代わってくれる？なんかさ警察からなの…」
え？警察？
なんか俺悪いことしたっけ…？

…なんていうかさ、最近の世代のことはわかんないすよ。
だけど僕たち暴走族世代じゃないですか？
ん？チーマー？ギャング？
いや、田舎だけ？
だけど特攻の拓世代でしょ？
湘南純愛組？
カメレオン？
池袋ウエストゲートパーク？
なんかさ、そういう世代なんすよ。
で漫画に憧れたり、そもそも地元が品がない地域だったりして悪いことしたじゃん。
したよね？
いや、みんなしてるんだよ。
無かったことにしてるだけで。
してない人でもそんな環境だったよね？
おい！そこ！都会ぶんなよ！！
誰もが昔から東京にいるわけじゃないでしよ？
お前はずっと自由が丘に住んでるわけじゃないだろ！
お前の実家は田舎だろ！
振り返るとヤンキーがいたじゃん！
盗んだバイクで走り出したりしたでしょ？
シンナーの袋がよく落ちてたよね？
先輩に謎のステッカー売りつけられたりさ。
農家の作業小屋の裏でタバコ吸ったじゃん！
なんかあったよねそういう事。
コンビニでバイトしてるとよくヤンキーがシンナー用にポリ袋貰いにきてたもん。
俺こんな町はやく出て行きてー！！って思ってた。
なにが言いたいかというとね、警察って聞くとドキドキするの。
なんにもしてないのに。
条件反射。
パブロフの犬。

んで、電話かわったんです。
いやだなーって思いながら。
「もしもし？どうしました？」
「いやー実は通報がありまして…市民の方から」
「はあ」
「昨日のね、夕方〇〇駅の近くにいました？」
↑これ保育園の近くの駅。
「はい、いましたね。てかなんで電話番号とかわかるんすか？」
「車でいたでしょ？トヨタの〇〇色の〇〇って車種」
「はい…」
怖えでしょ？警察。
調べてんすよ。
「ナンバーからね、持ち主割り出して連絡してるんですよ」
そのトヨタウチの奥さんの車なんです。
だから奥さんにかかってきたのね。
「なるほど。でなんですか？」
「いやね、盗撮ですよ盗撮。」
「え？トーサツ？」
一瞬意味がわからなかったっす。
唐突に出てきた単語。
「中年男性がその車から降りてきて、大きなカメラで女子高生を盗撮しとったって通報があったんですよ。」
うわぁ…とうさつ…盗撮…盗撮！！
変態。
市民の敵。
異常性欲者。
俺？？
女子高生に欲情するクズ。
いや、してないんですよ！
だけどなんだかドキドキしてくるの。
パブロフはさ。
「いや！してないっすよ！！なんですか！！ひどいな！」
「まあまあ落ち着いて。とりあえず色々話聞きたいから今から家行っていいですか？」
うへえ…おまわりさんのお宅訪問。
そんな軽く言うなよ。
友達かお前は。
どうぞどうぞ！って言うやついんのか？
「えー…嫌って言っても来るんすよね？」
「はい、まあそういう事ですね。じゃあ今から伺いますから。10分くらいで着くと思いますんで。」
ガチャン。
振り返ると妻の冷たい目。
いや、してないからね！！
一緒にいたじゃん！！
ちょっと怖いその顔！！
なんだよもうおまわりのバカ！！
ウチの平和を壊すんじゃねえよ！！！

ピンポーン。
モニターに映るおっさん２人。
「はい？」
「〇〇警察署のものですー」
渋々出ていく俺。
でおまわりさんじゃ無かったの。

刑事！
二人組！！
ドラマで観るやつ！！！
ちらっと警察手帳見せてさ、もう覚えてないけどなんか名を名乗ってました。
「いやー、すんませんね。通報あったら調べなきゃなんないのよ。とりあえずカメラ見せてくれます？」
…めっちゃドキドキするじゃん。
なんもしてないっすよ！！
だけど娘の写真の後ろに女子高生写ってたらどうしようとかさ、世間の酷い冤罪事件のこと考えたりとかね。
「ほら！！見てください！！これが昨日の写真。娘のお迎え行って娘の写真を撮ってたの！！なんも変なもん写ってないでしょ？」
「消したりしてない？」
「してねえよ！！」
「そうですか…まあ我々もこれ仕事なんでね、気悪くしないでくださいね。ご協力ありがとうございました。」
「いや勘弁してくださいよ。普通に写真撮ってるだけなんすから…」

で、無事疑いも晴れたんすよ。
そしたら今までひとことも口聞いてない愛想が悪い刑事Bが、
「まあお父さんも気をつけてね。」
て言って帰ろうとしたの！！
なにを気をつけるんだよ！！！
なんだてめーカメラは犯罪かおい！！！
気をつけてね…なんだそれ！！
今考えても腹が立つ！！

けどさ、俺の後ろには奥さんがいるわけですよ。
おまわりより怖いでしょ。
家庭の平和が一番でしょ。
刑事さんにちょっと待て！とか言えないですよ、僕。
奥さんの前ではさ…
で見送ったわけですよ。
「ご苦労様ー」
とか言いながら。
心は怒ってるけどね。
顔は笑顔でね。
そしたらね、ちょうど長男が小学校から帰ってきて
「今家の前にパトカーいたよ？なんかあったの？」
嘘だろ、お前ら！！
パトカーで来たんかい！！！
ご近所さんの目！！！
おい！！！こらー！！！
そっちが気をつけんかい！！！
ACAB！
All Cap Are Bastard ！！
そんな気持ちになりました。
いや、わかってますよ。
はい、警察の皆さんのおかげで治安が守られてまーす。

俺もさ、なんかさ、爽やかなさ、すうーっとした優しい感じのさ、穏やかなイケメンだったらさ、こんなこと無かったと思うの。
もしくは華やかなカメラ女子とか？

おっさんだからこうなるんすよ！！
見た目が悪いおっさんだから！！

これ読んでるおっさん達！
気をつけてね！！
って何を気をつけりゃいいんだよ！！
まったく！！

っていうね、大人にとってはお化けよりおまわりさんが怖いんですよという話でした。