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創作アルバイト募集2


■給与
日給:50,000円(作業完了後に現金手渡し)
※危険手当含む。3日以上の連勤で特別手当支給


■勤務地
深角洞窟探査所跡地
住所:阿須鳥村深角洞1-12
※廃業した探査所の奥地を主な作業エリアとします


■交通
最寄り駅:篠森駅から徒歩15分
※業務終了後、専用車で駅まで送迎あり


■時間
20:00〜翌3:00
※終了時間は状況により前後する可能性あり


■業務内容
・洞窟内に残された調査機器の回収
・定期的に配置された監視カメラの映像確認
・洞窟内部の湿度や温度などの簡単なデータ記録
・立入禁止区域への侵入防止措置の確認
・その他、必要に応じた現場補助作業


■待遇
・防護服および安全装備一式支給(ヘルメット、作業靴、防水ライト等)
・寒冷地対応の作業着貸与
・交通費支給(上限あり)
・洞窟内での作業に必要な装備品一式提供
・作業後に簡単な食事提供(温かい飲み物付き)


■採用対象者
・20歳以上の健康な方
・暗闇や閉所での作業に抵抗のない方
・無口で黙々と作業に集中できる方歓迎
・過去に洞窟探査や山岳作業の経験があれば尚可
・怪奇現象に対して冷静に対応できる方


■注意事項
・洞窟内は一部電波が届きません。事前に緊急連絡手段を確認してください ・指定されたルート以外での行動は厳禁です。特に深部エリアへの立ち入りは禁止されています
・作業中、まれに「振動」や「音」が確認されますが、特に対応は不要です。作業を続行してください
・過去に不調を訴えた作業員が数名いますが、後日健康状態に問題はなかったと報告されています
・洞窟内での作業終了後、速やかに指定されたルートで撤退してください
・送迎車を利用する際、他の作業員との会話は控えてください




30代男性の体験談

30代男性です。私がこのバイトの募集を見つけたのは、どうしてもまとまった金が必要だったときでした。日給5万円、しかも現金手渡し。深夜作業ということ以外は、特に怪しいところもなく、作業内容もシンプルに見えました。洞窟探査所の廃墟で、機器の回収や監視カメラの確認。過去に山岳作業をしていた経験もあったので、体力的には問題ないと思って応募しました。

最寄り駅の篠森駅から歩いて15分、阿須鳥村の深角洞窟探査所跡地に着いたとき、周囲は異様な静けさに包まれていました。入口は朽ち果てた鉄扉が半ば崩れていて、内部はすでに長い間放置されているのが一目でわかりました。支給された防護服を着込み、ヘルメットにライトをつけて、洞窟の中に入っていきました。

内部は湿気がひどく、足元はぬかるんでいました。壁は苔に覆われ、腐臭とカビの匂いが鼻をつきました。最初のうちは、無心でカメラの確認やデータの記録を進めていきました。洞窟内は一部電波が届かず、何かトラブルがあっても外部と連絡が取れないことが不安を誘いましたが、それでも給料のために作業を続けました。

ところが、作業を始めて2時間ほど経った頃、異変が起きました。深部へ続く禁止区域の近くで、妙な振動を感じました。最初は小さな揺れだと思ったのですが、それは徐々に大きくなり、足元の石が震え始めたんです。その瞬間、洞窟の奥からかすかに「音」が聞こえました。何かが這いずるような、濡れた布を引きずるような音です。

指定されたルート以外での行動は禁止されていたため、私はその場で作業に集中しようとしました。ですが、その音がどうしても耳に残り、心の中で不安が募っていきました。作業を再開しても、どこかでその音が断続的に聞こえてくる。まるで何かが私を見つけようとしているかのようでした。

監視カメラの映像を確認していたとき、ついに画面に不気味な映像が映り込んだんです。遠くの暗闇の中に、一瞬何かが動いたのを見ました。人影のようでしたが、明確な姿は捉えられませんでした。恐怖が湧き上がり、すぐにその場を離れようとしましたが、体が硬直して動けませんでした。結局、カメラを回収してその場から逃げるように退出しました。

作業を終え、送迎車に乗り込むと、同じく作業を終えたはずの他の作業員たちが座っていましたが、誰一人として口を開かない。異様な沈黙の中で、車は駅に向かって走り出しました。周囲の顔をちらりと見たとき、その中の一人が私をじっと見つめていたのです。彼の顔は無表情で、まるで何かを知っているかのような目つきでした。私はその視線から逃れるように、ただ窓の外を見つめていました。

それ以来、夜になるとあの洞窟で聞いた「音」が耳から離れません。家にいても、ふとした瞬間に耳元でその音が聞こえる気がするんです。そして、視界の端で何かが動いたように感じることも増えました。医者に相談しましたが、ストレスや過労だと言われ、特に治療法もありません。肉体的には何も問題はないのに、精神的な疲弊が日に日に重くなっていきます。

今でも、あの洞窟の中で私が見たもの、聞いたものが現実だったのか、幻覚だったのかはわかりません。ただ、あの作業を経験してから、私は眠るのが怖くなりました。夢の中で、あの音がまた私を呼び寄せるような気がして、夜は深い眠りにつけません。


負った傷病:
現在も断続的に続く幻聴と、重度の不眠症を患っています。肉体的な怪我はありませんが、精神的に蝕まれ、普通の生活を送ることが難しくなりました。

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