ばば様の一人語り(絵を描くということ2)

子供の頃からノートの端っこ教科書の余白に何かを描いていた。
いわゆるデコさん絵である。
雑誌で見たかっこいいなと思った女の子・バレエ姿
戦後の新しい物だらけの世の中が来て綺麗なものが溢れていた。
そう言うのを真似したり、自分で考えたものを描いたりしていた。

中学の美術の時間には外で写生があり・・
これは最初から苦手だと思った。
大きなものをどう捉えていいか分からなかった。
これは後年もずっとそうでスケッチ旅行は苦手であった。
中学の美術は丁寧に描き方を教えるでもなく
高校も同じ・・美術史だけはテストに出るから
先生も教えてくれるけど描き方は教えてくれはしなかった。

後年、次女が大学合格をしたのをきっかけに
絵画教室に通うことになった。
月に2度・・留守番の人には夕食を作って出ていく。
家を出たら気持ちはもう画学生である。
家のことは忘れた。
思い出すのは家の鍵を開ける時であった。

年齢も様々だし描いたのは中学以来という人もいるし。
先生は随分と悩んだと後日話しておられた。
もう、描き方は教えまい。
描いているところを見てそれぞれに声をかけようと。
モデルを前にしてそれ人物かい?というものを
描く人もいればしっかりと人物になる人もいた。

むう、ここからどう描き進めようかと悩むところに
先生の登場である。
同じ鉛筆なのにどうしてこんな線が描けるんだろう。
同じピアノの鍵盤を弾いてもそれぞれ全然違うのと同じである。
線一つが生きている、太く細く薄く濃く。
何ミリも違わない訂正で絵が違ってくるのが
不思議なほどであった。
先生ははい、ここから先は自分で考えること言って
鉛筆を返される。
え〜いや〜、この後どうすれば良いんですか〜。である。
ここから先ができればそれは一歩進んだことになる。


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