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ナイファンチで作る、型ゴリラ
飽き性というとネガティブ、多趣味というとポジティブ。
私の趣味の一つに武術研究がある。
最近の流行りは空手のナイファンチ。
地味で実用性にも乏しく見えるこの型が、空手の奥義を秘めているとの伝聞を
もとに暇を見つけては練っていた。
およそ空手のイメージとは思えない型構成。
空手といえば正拳突きだと思うけれど、それが無い。
突きはカギ突きのみ。
腕を思いっきり伸ばす突きがない。
超接近戦の型。
こんなもので戦えるのか?
私は無理と思う。
けれど、本部朝基という百戦錬磨の空手家はこの型しか知らなかったと言われるほど愛用していたので、素人には測りかねるものがある。
そんなある日、会社で護身術講座があった。
どんな会社なんだ、と思われるかもしれないが、警備会社なのであるのだ。
相手に腕を掴まれたときに振り払うシチュエーション。
私が何気なく腕を上げると、まったく相手の体重がないように軽々と上がり、体勢が崩れる。
まるでゴリラになった気分だ。
そして、相手の技は私には効かない。
私の相手は私よりも体重が少なかったので、ためしに20キロほど重い、筋トレが趣味の同僚にも思いっきり握ってもらったけれど、これもまったくこともなげに技がかかる。
警棒をミットに叩きつける練習では、私の一撃を受けると物凄い音がしてミットが吹き飛ぶ。
隣でみていた同じく筋トレ同僚が見かねて、私の相手を務めたけれど、同じく一撃でミットが吹っ飛んで持っていられない。
私はガリガリ人間で、最近こそは腕立てと四股で60キロになったけれど、けっしてパワーには恵まれていない。
こんなゴリラになったかのような気持ちは初めて。
どうしてこんなことに、、と心当たりはナイファンチだ。
空手の技というか、体の構造が物凄く強くなったようだ。
腰を落として、腰をひねらず、強い構造を維持して技を出すナイファンチ。
体のパワーはあんまりないけれど、その使い方が型で強化された。
護身術の技も、警棒を降るのも、ナイファンチに影響を受けた動きだったと思う。
中国武術とか空手とか、伝統的なやり方は型の稽古が中心。
総合格闘技が台頭し、そういう型稽古はバカにされがちだけど、
日常生活では、力がだせる姿勢やリラックスをインプットでき、
筋肉のように携帯するのにエネルギーがかからない型は、ほんとうに優れモノだと私は思う。