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元教師が考える元気な日本の姿

今日もお疲れ様です。
今回は12年間の高校教師時代に僕が抱いた、自分も含めた大人への危機感を伝えたい。

教師時代


僕は定期的に自分が担任しているクラスの生徒と放課後面談することにしていた。1日1人ずつ。30人のクラスであれば一ヶ月に一回のペースである。

聞く内容としてはだいたい決まっていて「学校生活で何か困っていることはないか?」「悩みはないか?」「友達とはうまくいっているか?」など。
あとは趣味の話しや、推し活している話し、休日の過ごし方など・・・この面談をしてみて思ったのは、意外とみんな自分のことを知って欲しいっということだった。思春期という難しい時期において自分のことを話すことは嫌がると思っていたが、意外と何でも教えてくれる。傾聴が得意な僕は生徒の話しを聞いている時間が楽しくて仕方なかった。

A君との面談

高校三年生、受験シーズンが近づいてきた。
受験に対して意識を向けさせる為、質問内容に「卒業後の進路はどのように考えてる?」を足してみた。

A君は、元気で活発な生徒であり、クラスの中心人物。成績は中の中。
「The 男子高校生」という感じで常に『今』を楽しんでいた。

僕   「卒業後の進路はどのように考えてる?」
A君「大学に行きたいです!」
僕 「希望する大学はある?」
A君「ありません。行けるところで!」
僕 「ん?行けるところ・・・っていうのはどういうこと?」
A君「僕の成績で行けるところで!推薦で!
    地方は嫌なので家から行けるところを希望します!」

お分かりだろうか・・・。
究極に楽をしたい結果、推薦で行けるところであればどこでもいいマンの登場です。しかも家探しみたいに「駅から徒歩5分」感覚で、地方ではなく家から近い所を指名してくる。さすが現代っ子。
それよりも気なったのは、

僕 「将来の夢は?」
A君「無いっす!大学行ってから決めます!」
僕 「学部・学科の希望も特に無い?」
A君「はい!」
僕 「親は何て言ってるの?」
A君「自分の進路は自分で選びなさいと言ってます。」
僕 「それはとても大切な事だね。」

18歳。
僕は夢と希望しかなかった。
行ってみたい所や、やってみたい事がたくさんありすぎた。
しかも『夢が無い』と答えた生徒はA君だけではなく、クラスの半分以上が面談時に『将来の夢が無い』と答えたのは驚いた。


夢を持たない理由


そこで僕は質問の内容を変えてみた。

僕 「A君のご両親はどんな人?」
A君「仕事でいつも疲れています。
    お母さんは仕事から帰ってきてすぐにご飯の準備していつも動いていま   
    す。僕が寝る時にはソファーで寝落ちしています。
    お父さんは朝早くて夜遅いので平日は分かりません。土日は疲れてい
    つも寝ています。」
僕 「そんな両親を見て、どう思う?」
A君「こんな大人にはなりたくないです・・・。」

僕は話しを聞いてなんだか寂しくなったし、これが全てだと思った。
同時にA君が夢を持たない理由も分かった気がした。
一番近くにいる大人(親)に元気がなく、夢を語っていない。そんな環境で子供が夢を持てる訳が無い。
現にA君が今憧れる人は『バイトの先輩』だそうだ。その理由は楽しそうに生きているし、自分の好きな事をして、キラキラ見えるから。
子供が親に憧れていない。
生徒たちは「夢を持たない」のでなく、「夢を持てない」のである。

決意


現代は大人がとにかく疲れ切っている。
子供の前で夢を語る大人が減ってきている。
もっと大人が元気にならなくちゃ!!

その日から僕は、生徒にとって少なくとも親の次に近い存在、担任という立場から朝のホームルームや休み時間にを利用して積極的に生徒に話しかけ、僕の夢を語りまくった。迷惑と思った生徒もいるかもしれないが、人が夢を語っている時というのは誰もがキラキラして見える。

人生の先輩である大人がキラキラして夢を語り、明るく前向きに仕事をする姿を見せることが子供達にとって一番いい事だと改めて気付かされた。
これからは大人を元気にして、子供たちから「憧れる大人をたくさん作る」と決めた。「お母さんみたいになりたい」「お父さんみたいになりたい」他人からも「あなたみたいになりたい」と言われたら最高に嬉しいはず。

人は少なからず何かしらに憧れるものだと思う。
それがアニメや漫画の主人公だったりしても良い。
スポーツ選手や歴史上の人物だったりしても良い。
僕が教師を目指したのは憧れた先生が居たからだ。


大人たちよ、夢を持て!


憧れる存在を作るには、まず夢を語る大人が夢を持たなくてはいけない!
大人たちよ夢を持とう。もうすでに夢を持っているなら恥ずかしがる事なく堂々と語ってみよう!夢に大きい小さいありません!言うのはタダです。
夢を持つのは恥ずかしくもないし、年齢も関係ない。お年寄りが夢を語ってる姿は実に美しいし、若々しい。

大人が元気なれば近代日本が一番元気だった高度経済成長期のように、活気ある日本になるのではないかと本気で思っています。
目指す理想の姿はそこにあります。

夢を語るきっかけに。


僕が「旅する絵本屋さん」という移動本屋を始めたきっかけも、どうにかして大人が夢を語る場所や思いを伝える場所を作ることは出来ないか、という思いからです。
絵本は子供に分かりやすく短く描かれているが、それよりも夢を持たせる良い教材だ。それに便乗して大人も夢を語れば良いのでは?と思ったのです。

親子の会話を増やす方法や手段はたくさんあると思うが、その一つが絵本でも全然ありでしょ?

乳幼児を抱えている親御さんに一つお願いです。
絵本を読みながら子供の夢を聞きつつ、ご自身の夢を子供に語ってみてはいかがでしょうか?夢はいくつあっても良いんです。あればあるほど良いんです。そうすればキラキラした姿が子供の目に写り、憧れる存在になると僕は信じています。

現に僕は6歳になった息子に夢を多く語っています。
最近は息子も夢を語ってくれるようになりました。
あとは仕事を楽しく前むきにして、いつもご機嫌でいるようにしています。
「大きくなったらデカイ家に住んでお金いっぱい持つ」が息子の夢です。
なかなか良い夢でしょ。

みんなで集まって夢語りましょう。
そんな会を開くのがまた一つの僕の夢なんです。

終わり!








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