リベラ libera


この少年合唱による至純の響きは
息を飲むほど美しい!

リベラ libera 
サルヴァ・メ/サンクトゥス(パッヘルベルのカノンによる)/アニュス・デイ/リベラ/ミステリウム/ユビラーテ/ベアータ・ルクス〜恵みの光/ディエス・イレ/テ・ルーチス(タリスのカノンによる)/サンクタ〜聖なるマリア/アンゲリス/ルクス・エテルナ〜永遠の光 全12曲
リベラ
録音データ記載なし ゲートウェイ・アンド・ザ・ミュージック・プレイス・スタジオ〈セッション〉
ERATO WPCR19023

山形のまぁちゃんがこれまでレヴューとして採り上げたCDはその殆どがクラシック音楽だったわけでしたが、今回はこれまでとテイストを若干変えてこのCDにしたいと思います。
ところで、皆さんはこのリベラのことを知ってますでしょうか。この名前を知らなくても1曲目の『サルヴァ・メ』や4曲目の『リベラ』なんかはTVドラマの音楽として使われたこともあるはずで、聴けば『ああ、あの音楽か』と思い出されるはずです(そのドラマのタイトルまでは憶えていませんが)。
そうです、リベラとは少年合唱団なのです。ですが少年合唱団と言ってもウィーン少年合唱団やテルツ少年合唱団などのプロとはまったく違います。サウス・ロンドンで育った作曲家のロバート・プライズマンが同地で見い出した平均年齢11歳から12歳の少年からなっているヴォーカル・グループなのです。幅広いレパートリーを持っていますが、その中心になるのはプライズマン自ら作曲したオリジナル・ナンバーです。それらはシンセサイザーを主にした編曲が施されることによって、とてもモダンな感覚を獲得することに成功しました。
このCDがどういった事情でEratoレーベルでリリースすることになったのかは不明ですが(Eratoはフランスのレーベル)、日本のリリース元であるWarnerはこのCDに《ヒーリング/ポップス》とジャンル付けしています。WarnerはLPの時からジャンル付けする際にこういった複数のジャンルを付けるという困った風潮があり、サイキックTVのデヴュー・アルバム《テンプルの預言》では3つ、そしてこれはCDですがエンヤのWarnerデヴュー作となった《ウォーターマーク》など4つものジャンル付けがされているのを見てあきれたこともありました。当CDが上記のジャンル付けで合っているかどうかはぜひ皆さんが聴いた上で判断していただきたいと思いますが、過剰なジャンル付けはユーザーにとっては逆に迷惑になるのではないでしょうか。
では《リベラ》のレヴューをどうぞ。

「平和の象徴であり、聖霊の象徴でもある鳩のイラストの右側につつましく“libera”とだけ題されたCDを見つけたのは、某レコード店(註:山形ではありません)の試聴コーナーに置いてあったからだ。聴いてみてとても気に入ったのだが、どういうわけかその時は購入しなかった。たがその後1ヶ月もしないうちに購入したはずだ。なんと言っても少年合唱というのが興味をそそられた。
ケースのヴィニールにはシールが貼ってあり、そこには『リベラはラテン語で“自由”の意。その聖なる歌声と神秘的なサウンドがエンヤやアディエマスを思わせます。』とあるが、これが入手のきっかけとなったのではなく、あくまで実際の音を聴いて気に入ったからである。クレジットはごく少なく、ソリストは煩雑になるので省略した。ここで歌っている少年たちはいわゆるプロの合唱団ではなく、このリベラを組織し、作曲・編曲と指揮を担当しているのがプライズマンである。
ロンドンのごく狭いエリアで集められた子供たちが歌っているのはその殆どがラテン語のタイトルが付けられているが、そのうち2曲目の『サンクトゥス』と9曲目の『テ・ルーチス』の2曲は()内に書いてある通りパッヘルベルとタリスのカノンに基づき、8曲目の『ディエス・イレ』はグレゴリオ聖歌の死者のためのミサ/レクィエムで歌われる続唱(セクエンツィア)の1曲である『怒りの日』に基づいているのは聴けばすぐわかる。そして各曲の歌詞も聴いた感じと訳詞大意を見るとやはりラテン語が多用されているようだ。
バックにシンセサイザーやオルガン、曲によってはベースとドラムスのリズムセクションも加わるが、これらのクレジットは一切ない。もっともリズムセクションについては打ち込みの可能性が高いが。
リベラはこの後Eratoから白鳥のイラストが印象的な《ルミノーサ》をリリースした後EMIに移籍して多数のCDやDVDをリリースしたが最近はあまり名を聞かない。知らないだけでまだ活動しているのかもしれないが、どうしてもCDでしか聴くことが出来ないのでそんなふうに思っても致し方ないだろう。ちなみに最後に名を見たのはラトル指揮 ベルリン・フィルによるチャイコフスキーのバレエ音楽《くるみ割り人形》全曲(EMI)の中の1曲にゲスト出演した時だった(録音は別にされてダビングしている)。それら多数のCDの多くは所有しているが、どれも1st.アルバムになる当CDを超えてはいないと思われるのである。それだけ当CDの完成度が高く、それ故に感動的なのである。
       2023年10月14日 評価:★★★★★」

以上のリベラの1st.CDのレヴューはいかがでしたでしょうか。
評価を見てもらえばお分かりいただけると思いますが、なんと“ZAO”に続いて10点満点なのでした。ワタシ自身も手書きのレヴューから転載していて驚いた程です。でもレヴューした日付けは1年以上離れているし、そもそもその時はまだ公開するつもりもなく書き綴った結果なので、これは偶然としか言いようがありません。ただ言えるのはどうもワタシの評価はクラシック音楽の方が厳しいようなのは否めません。
今回のジャケット画像は入手したそのままにヴィニールコーティングを取らなかったためにレヴュー本文で触れたシールのキャプションが分かるかと思われます。ワタシは当CDを見た時は既にエンヤもアディエマスも聴いていましたが、決してそのシールのキャプションが入手の決め手になったわけではかいのは前文で書いた通りです。
とは言え、ワタシは波長さえ合えばどんな音楽でも聴きますので、クラシック音楽をメインにすることは変わりありませんが、それ以外の音楽やCDも採り上げていくようにしていくつもりです。

お目汚し失礼しました。

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