楽しいルネッサンスの舞曲集 / コレギウム・アウレウム合奏団


こうした楽しい曲も
ルネッサンス音楽の一大特徴なのだ!

楽しいルネッサンスの舞曲集
①モデルヌ:3つのブルゴーニュのブランルと新しいブランル・ゲイ ②スザート:パヴァーヌ『何たる悲しみ』∼ロンド∼パヴァーヌ『苦しみに耐えなば』∼ロンドとサルタレッロ∼オーボエ吹きの踊り∼ロンド『むかし小娘が』③ジェルヴェーズ:ブランル ④ファーレーズ:フリウリ地方の苗木の踊り ⑤M.フランク:パヴァーヌ∼ガイヤルド ⑥ハスラー:3つのイントラーダ ⑦アテニャン:トルディオン∼パヴァーヌ∼ガイヤルド⑧デマンツィウス:ポーランド舞曲∼ガイヤルド
コレギウム・アウレウム合奏団
1961年9月 キルヒハイム フッガー城糸杉の間〈セッション〉
deutsche harmonia mundi BVCD38012

前回は現代音楽ということで日本人作曲家の武満徹のCDを紹介しましたが、今度はまたガラリと趣きを変えて山形のまぁちゃんがまだ紹介していないクラシック音楽のジャンルから古楽のCDを採り上げます。
以前“Angels of Venice”のCDを紹介した際、ワタシはその音楽が古楽なのかフォーク&トラッドなのかジャンル分けが出来ないと書きましたが、今回紹介するのは紛れもない古楽、つまりバッハ以前の音楽です。ですがバッハ以前の音楽ということで身構える必要はどこにもありません。所詮はどこをどう転んでも聴こえてくるのは音楽そのものには違いがありませんから。要はそのリスナーの感性に合うかどうかだけが問われるのです。しかも他の芸術作品と異なるのは音楽だけは世界中どこの人が聴いても同じく聴こえるということです。違うのはリスナーの感性だけなのですから、これ程手軽に古今東西の芸術に触れることが出来るのは音楽だけと言っても過言ではないでしょう。
さて、当CDはルネッサンス時代に栄えた様々な舞曲集を古楽器アンサンブルの草分けとでも言うべきコレギウム・アウレウム合奏団が演奏したものです。ワタシはこれに対してはいささかの思い入れがありました。というのは、高校3年の終わり頃にこのレコードがNHK-FMで放送されたのです。ルネッサンス時代にこんな底抜けに陽気で楽しい音楽が存在するなんて、幾ら歴史が好きでも世界史の授業ですら知ることが出来なかったことがこの舞曲集を聴くことで一気に身近なものとなったことは40数年以上経った今でも思い出すことが出来る程だったのです。
それから大学進学の関係で東京都の町田市に在住していた頃、このレコードを見つけたのです。すぐあの時NHK-FM放送で聴いたレコードだと直観したワタシは直ぐ様そのレコードを購入して聴いては楽しんだものでした。
ところがそのレコードと同一音源の当CDの購入はだいぶ遅れたのです。USED商品として見つけなければ今でも持つことはなかったかも知れません。というのは、その間にルネッサンスの舞曲集のCDは何枚か購入していたからです。サヴァール指揮によるモデルヌのルネッサンス舞曲集のCDを処分してしまったのは痛恨事でしたが、それでも手元にはマンドーズ指揮の『13∼17世紀の舞曲集』(Pierre Verany)、マンロウ(Virgin)とウルザーマー・アンサンブル他(DG)によるルネッサンス舞曲集、変わり種ではピケット指揮による『21世紀の錬金術師』(London)などのルネッサンス舞曲集があったからです。それでも当CDをUSED商品として見つけた時は懐かしさのあまり直ぐ様購入してしまいました。
そのCDの演奏がどうなのかは以下のレヴューをどうぞ。

「1981年の始め頃、NHK-FMでこのコレギウム・アウレウム合奏団によるルネッサンス舞曲集を聴き、こういった楽しい音楽があることを教えられ、それから数年後に当時廉価盤としてリリースされていたLPレコードを入手してからは随分聴いていた。CDでリイシューされていたのは知ってはいたがトータルタイムが36分弱しかなかったため躊躇していたので廃盤になってしまったがUSED商品としてようやく入手出来た思い出の品である。
解説の補記にある通り、これが録音された1961年にはまだコレギウム・アウレウム合奏団は結成されていなかった(結成は3年後の1964年)がここでのメンバーは合奏団の創立メンバーが殆どだし、録音場所になっているフッガー城の糸杉の間も合奏団が長らく録音会場として使用するところなので合奏団名義でも差し支えないと思われる。使用楽器はブロックフレーテ、クルムホルン、ヴィオラ・ダ・ブラッチョ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ダルツィアン、そしてリュートと言ったルネッサンス時代に使われた古楽器が使われている。今から50年以上前の古楽器アンサンブルなわけだが今聴いても古びた感じはなく充分通用するタイトル通り楽しいルネッサンスの舞曲集になっている。前半に較べると後半が少々地味な印象があったが不満と言う程のことでもない。唯一の難点は演奏時間が短いことぐらいだろう。  
         2013年2月17日 評価:★★★☆」

以上が当CDのレヴューですが、いかがでしたでしょうか。日付けを見ると今から12年も前にレヴューしているんですね。でもこれより前にレヴューしたCDもまだまだありますので、それらも少しずつ記事に出来ればと思っています。

ルネッサンス時代はそれまでの中世とは違って社会のみならず芸術全般に渡って大きな変革があった時代でした。音楽だけに限ってもブルゴーニュ楽派やフランドル楽派のポリフォニー音楽が最盛期を迎え、多くの作曲家が多数のミサ曲を始めとしたポリフォニー音楽を作曲しており、幸運なことに現在はそうした音楽をCDで聴くことが出来るのです。
ですが当CDや他のルネッサンス舞曲集などを聴いていただければ、こうした音楽もルネッサンス音楽の特徴としてアタマだけではなく耳でも分かっていただけるのではないでしょうか。ワタシとしてはそうなることを願ってやみません。

ここまで読んで下さった皆さんには心から感謝とお礼を申し上げます。

お目汚し失礼しました。


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