善人の嘲笑
タイトル:善人の嘲笑
あるところに二重人格者が居た。
そのうちの1人の人格はとても善人で、
もう1人の人格は悪魔そのもの。
彼が二重人格だと分かった直後、
周りの人たちは何とかして
その悪いほうの人格だけを消そうと試みた。
そこで精神科学医の権威として有名だった
ハウス・キッパードDr.に
彼の身を委ねることにした。
両親「お願いします!ウチの子に取り憑いた悪魔をなんとか追い出してください!」
知人「お母さん、取り憑いたんじゃなくて、もとからシンジ君の性格の1部なんです。正確には治療と…」
友人「何はともあれ、もし性格矯正が本当にできるんなら、それに越した事は無い…」
キッパード「とりあえず、出来るだけのことはしてみます」
一同「お願いします!」
こうして彼ことシンジの身は、
一旦、キッパードの手に委ねられることに。
(治療)
キッパード「解離性同一性障害が自然に消失する事は無い。回復するにしても或る程度。…もしそれで奇跡的に治癒するにせよ、個々人の状況や環境、その時に得られる外部刺激により、多々に分けられる」
助手「彼は非憑依型なのでしょうか?はたから見て、その人格の区別がはっきり付きません。正直、両親や彼の知人友人の話を聴きながら彼と接していましたが、二重人格を有しているようには見えないんです」
キッパード「…日常生活では?」
助手「ええ。支障をきたすような事は今のところ。…ですが、彼をよく知る特定の人たちからは、彼の行動の異常から悲惨な結末を見た者もあるとか」
キッパード「悲惨な結末か…」
助手「先生もご存じの様に、あの残忍な手口はやはり彼の手によるものと…されている様です」
キッパード「とにかく、我々は治療に専念すべきだ」
(数ヶ月が経過)
それから僅か数カ月後、
治療の成果が現れたと言う。
(数年後)
それから数年経ってもシンジは
悪行1つ働くことなく、
以前とは打って変わって善人のようになれた。
母親「あの子が、生まれ変わったんだわ」
周りの噂「本当に、奴の二重人格、治ったんだな」
シンジ「ボク、何か悪いことしてたの?」
母親「ううん、シンジは何も悪いことなんかしてないわ。あなたは天使の様な良い子」
父親「さぁ遊んでおいで。周りの友達をちゃんと大事にしてな」
シンジ「うん!じゃあ行ってきまーす」
子供の内に悪い芽は摘んでおいた方が良い。
この言葉を実証した現実は、
彼の周りでも花を咲かせる様に輝いていた。
しかし、また事件が起きた。
子供「うわぁあぁん!シンジ君がミヨちゃんを突き落とした〜」
遊び友達が1人亡くなった。
友達の内の1人はシンジがやったと何度も言った。
でも他の子たちは見ていない。
両親「先生!治ったんじゃなかったんですか!?」
キッパード「…もともと精神の病が治る事は奇跡的なもの。確かに経過は順調だった。何のトラブルもないと信じさせられた」
キッパード「けれど、我々が相手にしていたものは、人の人格ではなかったのかもしれない…」
両親「は、はあ?」
科学の進歩により、
確実に悪い人格の方だけを消す事に
成功したかに見えた。
しかし人知れず所でシンジはニヤリと笑う。
純粋な善人がニヤリと笑う。
キッパード「結果(かたち)ばかりに見惚れて忘れていた。…悪魔は人を欺くものだ…」
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