朝には夢を♪
タイトル:朝には夢を♪
▼登場人物
●明神(みょうじん)カケル:男性。40歳。在宅ワーカー。世間を半分諦めている。
●美穂子(みほこ):女性。年齢不詳。若く見える。
●カナエ:女性。30~40代。カケルの本心から生まれた生霊。
▼場所設定
●カケルの自宅:大阪市内にある一般的なアパートのイメージで。
●街中:公園など必要ならで一般的なイメージでOKです。
NAは明神(みょうじん)カケルでよろしくお願い致します。
ト書き〈自宅アパート前〉
俺はゴミ出しをしていた。
今日もよく晴れて、良い気持ちだ。
でも気持ちは少し沈んでいる。
カケル「まだ朝っぱらだけど、飲みに行こうかな」
俺の仕事は在宅ワーク。
でも最近はもう全然稼げない。
これまではそれなりに稼げていたけど、
できれば生活保護を受けたいなんか思ったりしてる。
俺は精神疾患を抱えている。
何の疾患かと聞かれても、もう答える気は無い。
何回も説明しなきゃならず、
答えたって何がどうなるわけでもないからだ。
ト書き〈公園〉
バーへ行く前、俺は公園に寄っていた。
自宅から最寄りにある公園。
ここでも昔、子供の頃、よく遊んだものだ。
カケル「懐かしいなぁ、公園かぁ。ここでミニ四駆、走らせたこともあったな…」
していると、向こうのほうに女の影が見えた気がした。
でも次に見るともう消えている。
そして俺は飲み屋街へ行こうとしたが…
カナエ「もし、ちょっとお尋ねしても良いですか?」
と割と綺麗な人が声をかけてきた。
彼女の名前はカナエさん。
不思議とその名前が心に浮かんできたのだ。
彼女と公園のベンチに座り暫く談笑。
飲み屋街へ行くのはもうやめようかと思っていた。
お金もないし。
こんな事してる暇があったら働かなきゃならないしで。
その気晴らし・気分転換に喋っていたのだが、
彼女は無視できない事を言ってきた。
カケル「え?俺に女を紹介?」
カナエ「ええ。欲しいんでしょ?」
その前に俺はカナエに自分の悩みを打ち明けていたらしい。
これまで3人の女と付き合ってきたが全部惨敗。
浮気という置き土産を残して、俺は世間に裏切られ続けたのだ。
誰とどう付き合ったって、どんな聖職者と付き合ったって、
行き着く先は必ず裏切りの浮気!
他の人はもう一切関係ない。俺の場合がそうなのだ。
結婚出来るヤツは万里の道を越えてでも出来るし、
出来ないヤツは一生出来ない。俺はその後者だ。
そんな事を喋っているとみんな解ったかのように
彼女はそう言ってきた。
カケル「ええ、そりゃ欲しいですけど」
カナエ「じゃあ決まり♪」
カケル「でもあなたも解ってるでしょ?この世にそんな女居ませんよ」
カナエ「あなたが知らないだけですよ」
そして俺は後日、美穂子という女を紹介された。
でもその時、彼女は俺のそばに居なかった。
カナエさんが撮ってきた写メでその彼女の姿を見せられただけで、
実際は会っていない。
しかもその写真はなぜかブレており、
何度見ても記憶に残らなかった。
実際それを見てもどんな人だか分からないのだ。
でも俺はその美穂子を自分の元へ迎え入れようとした。
ト書き〈アパート〉
そしてある時、アパートへ帰ってみると、
俺が住む2階の部屋前の廊下から、
1人の女がこちらに向かって歩いてきた。
美穂子「あ、カケルさんよね?カケルさんでしょ?あーよかった。待ってたわ〜」
あっけらかんとそう言い不思議な感じ。
でも彼女はなんだか、俺の部屋から出てきたように見えた。
でも次の瞬間、俺の部屋の隣がその美穂子に借りられており
そうなのかと分かった。
カケル「なぁんだ、隣に居たのか♪じゃあこれからもよろしくね」
俺と美穂子は付き合った。
まぁプラトニックな純愛だ。
これまでの経験があり、俺をそうしていた。
ト書き〈トラブル〉
でもやっぱりその直後、トラブルがやってきた。
女が自分の元へ来ると、必ず別の女も来るものだ。
心に余裕ができて、周りにも余裕ができて、
触覚を張り巡らせたように「俺に女が出来た事」を知り、
まるで「その幸せをどうにかしてやろう」なんか思ったかのようにして、
そんな彼女達はやってくるんだろう♪
実によく出来た展開だ。ちょっと笑っちゃった。
そして俺は流れで別の女と付き合った。
美穂子を自分の部屋に残しながら。
でもなんだか、周りの空気にそうさせられた感じだ。
(自宅)
そして自宅アパートの部屋に戻った時。
「おかえりなさい」と美穂子が言って、
いつものように昭和のムードを携えながら
丸テーブルの上にお茶を入れてくれた後…
美穂子「ウフフ、今日も在宅ワーク、手伝っておいたわよ♪ライティングの仕事も大変ね?私も小説、最近書き始めたのよぉ♪あなたに見てもらおうと思ってぇ♪」
カケル「あはは〜♪そうかぁい?」
美穂子「うん〜♪ところであなたさぁ、浮気してたでしょう〜?」
カケル「んん〜?浮気ぃ〜♪?そんなのーしてるわけーないじゃないかぁ〜♪」
美穂子「うっそ〜♪してたくせにィ〜♪」
美穂子「だからさぁ〜♪今度はあなたにぃ〜、私の欲望、聞いてもらわなきゃねぇ~♪ね?」
そして俺は闇の中へ消えていった♪
もう二度と起きる事のない闇の中へ。
その闇の中に光が見えて…。
そして文字通り、俺の周りにあったその世界も消えていった♪
もう二度と甦らない闇の中へw
そこは美穂子の夢の中だった。
そして俺が従来見て来た夢の中でもあったらしいw
ト書き〈アパートを外から眺めながら〉
カナエ「よかったわね〜。これであなたは二度と現実に起きることなく、また起きないからその現実に傷つけられる事もなくて、ずっとありきたりで平安な夢を見ていられる」
カナエ「ううん、その夢はありきたりじゃないか♪美穂子が公園で見えたのは、あなたの欲望が世間を充満していたからよ。見た場所も、また乙(オツ)なものだったわね」
カナエ「それに部屋の中から美穂子が出てきたように見えたのは決して幻なんかじゃない。感覚的なものじゃなくてその通りだったの。あなたの欲望が作り出したから、あなたの部屋から出てきたわけよ。隣の部屋を美穂子が借りてるように思えたのは単なる後付け♪」
カナエ「あなたにとって、この世で理想の愛や結婚や恋愛を叶える事はー、あなたの言うように、文字通り、夢そのものだったのね?夢の中でしか叶えられない。現実はそんなじゃないのよ…」
動画はこちら(^^♪
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