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消えた人

タイトル:消えた人

「きゃあっ!」
通勤中、私はヒールが引っかかって派手に転んでしまった。
「痛ツツぅ〜、んもう!なんでこんな事になんのよ!」
としていたら、
男性「あの、大丈夫ですか?ケガありません?」
声をかけてくれた人がいた。

「え?…あ、大丈夫です…」
私のもろタイプの人。
そこら辺に居そうな人ではあるが、
私にとっては理想のタイプだった。

男性「よかった♪」
その男性はなぜか腕に書類を持っており、
そのとき吹いた突風でその書類が散ってしまった。

「あ、私も拾います!」
男性「ごめんなさい!」
なぜこの人がこんな所で書類をもってたのか?
よくわからなかったが、
でもこれで彼との接点を持つことができ、
それから私たちはそこで少し喋ったりしていた。
今日、早めに家を出てきてよかった。まだ時間が少しある。

「お早くから仕事されてるんですね?」
男性「あはは、僕このビルで仕事してるんですよ」
私たちの横には大きなビルが立っている。

「え?ここなんですか?へぇすごい♪一流企業じゃないですか」
男性「いえいえ、建物こそ大きいですけど中流ですよ」
それからなぜか男性は、少し深い話をしてきた。

「え?そうなんですか?」
男性「ええ。やっぱりこう言う場所で働いてると、空回りすることも多いんですよね」

その男性の趣味は、人に優しくしてあげること。
でもそれが日常ではなかなか空回りして、
自分の思うようにはいかないとのこと。

「あーそう言うのってありますよねぇ」
男性「ええ。だから最後にもう1度だけ、誰かに優しくしてあげたいって、そう思って…」

「…最後ってwこれからあなたの優しさをわかってくれる人っていくらでも現れると思いますよ?…それに、素敵な人と出会うことだって」

男性「(微笑)そうですねぇ。…ありがとう。でも、もうすぐ僕、そこへ落ちて来ると思いますから…」

と言った瞬間、
バタン!!!!!
とニブイながらめちゃくちゃ大きな音を立て、
上から何か降って来た。

「きゃあ!!」
と叫んで同時に今落ちて来たモノを見ると、人。
スーツを着て、このビルの屋上から落ちて来たみたい。

「…え…え…」
目の前に居たその人がふっと消えた。
最後に誰かに優しくしてあげたかった…?
それで適当に選ばれたのが…私?
さっきの人…。

適当に選ばれたのが少し悔しく思えたが、
それ以上に人と出会えるタイミングのズレに、
めちゃくちゃ悔しい思いと怒りを感じた。

動画はこちら(^^♪
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